突発性難聴はストレスが原因?発症との関係や治るのかを解説

突発性難聴はストレスが原因?発症との関係や治るのかを解説

突発性難聴と診断され、

「最近、仕事のストレスがかなり強かった」

「忙しくて睡眠不足が続いていた」

「ストレスが原因で突発性難聴になったのだろうか」

と考えている方もいるでしょう。

また、医師から「ストレスも関係しているかもしれません」と言われ、ストレスを減らせば聞こえも戻るのか、仕事を休んだ方がよいのか気になっている方もいると思います。

突発性難聴は、現在も原因が明確に分かっていない病気です。ストレスや過労、睡眠不足などとの関連は指摘されていますが、ストレスだけが原因で発症すると断定することはできません。

また、休養や気分転換によって耳鳴りや耳の詰まりを楽に感じることはあっても、それだけで聴力が回復するとは限りません。

突然片耳が聞こえにくくなった場合は、ストレスの影響と自己判断せず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

この記事では、突発性難聴とストレスの関係、ストレス性難聴という言葉の注意点、ストレスによる症状の変化、ストレスを解消すれば治るのかについて解説します。

1.突発性難聴とストレスの関係

1.突発性難聴とストレスの関係

突発性難聴は、ある日突然、片方の耳の聞こえが悪くなる感音難聴です。

原因については、内耳の血流障害やウイルス感染など、さまざまな可能性が考えられてきましたが、現在も明確には分かっていません。

そのため、「強いストレスがあったから突発性難聴になった」「仕事が忙しかったことが原因だった」と特定することはできません。

1-1.ストレスだけが原因とは断定できない

突発性難聴を発症した方の中には、発症前に強いストレス、過労、睡眠不足などがあった方もいます。

厚生労働省も、ストレスや過労、睡眠不足などを突発性難聴の発症と関連する可能性がある要因として挙げています。

ただし、ストレスと突発性難聴の関係については研究結果が一定しておらず、ストレスが直接の原因になると証明されているわけではありません。

強いストレスがあったとしても、それだけで発症した理由を説明することはできないということです。

1-2.自律神経や血流との関係は仮説の段階

強いストレスが続くと、自律神経やホルモンの働きなど、身体にさまざまな変化が起こります。

仕事が忙しい時期には、精神的な負担だけでなく、睡眠不足や身体的な疲労が重なっていることもあります。

内耳の働きを維持するためには血流が必要です。

そのため、ストレスや過労に伴う身体の変化が内耳の状態に影響し、突発性難聴の発症に関係する可能性が考えられています。

しかし、「ストレスがかかる→自律神経が乱れる→内耳の血流が悪くなる→突発性難聴になる」という一連の仕組みが証明されているわけではありません。

「ストレス」「自律神経」「血流」という言葉だけで、突発性難聴の原因を説明することはできないのです。

1-3.当院でみられる発症前の状況

当院で突発性難聴の患者さんのお話を伺っていると、次のように話される方がいます。

  • 仕事がかなり忙しかった
  • 人間関係のストレスが続いていた
  • 睡眠時間が短い生活が続いていた
  • 疲労が十分に取れていなかった

一方で、「特にストレスはなかった」「いつも通り生活していたのに突然聞こえなくなった」という方もいます。

これは当院に来院された患者さんについての臨床的な観察であり、ストレスが突発性難聴の原因であることを示すものではありません。

また、本人はストレスを感じていなくても、睡眠不足や疲労が重なっていることがあります。

反対に、ストレスも睡眠不足も思い当たらない状態で発症することもあります。

突発性難聴では原因を1つに特定することよりも、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査と治療を受けることが重要です。

2.ストレス性難聴という言葉の注意点

2.ストレス性難聴という言葉の注意点

インターネットでは「ストレス性難聴」という言葉を見かけることがあります。

しかし、ストレス性難聴は、医学的に1つの病気を指す統一された診断名ではありません。

ストレスを感じている時期に聞こえにくさや耳の詰まりが現れても、その原因としては複数の病気や状態が考えられます。

2-1.ストレスとともに現れる耳症状

当院には、ストレスが強くなると、耳の詰まり、閉塞感、耳鳴り、聞こえ方の変化などを感じる方も来院されます。

詳しくお話を伺うと、次のようなケースがあります。

  • 以前から仕事が忙しくなると耳が詰まっていた
  • 精神的な負担が大きくなると聞こえにくく感じていた
  • ストレスや疲労が軽くなると耳症状も和らいでいた

ただし、このような経過があるからといって、ストレスだけによる症状とは断定できません。

耳の詰まりや聞こえにくさを起こす病気は複数あり、実際に聴力が低下しているのかどうかも含めて確認する必要があります。

2-2.症状の経過だけでは区別できない

典型的な突発性難聴では、それまで普通に聞こえていた片方の耳が突然聞こえにくくなります。

朝起きたときに異常に気づく場合もあれば、日中に突然、耳が詰まって聞こえ方がおかしくなる場合もあります。

聞こえにくさに加えて、耳鳴り、耳の詰まり、音の響き方の変化、めまいなどを伴うこともあります。

一方、ストレスや疲労に伴って耳症状を繰り返す場合には、突発性難聴以外にも、急性低音障害型感音難聴、メニエール病、心因性・機能性難聴、耳管機能の異常など、さまざまな可能性があります。

症状の始まり方やこれまでの経過は診断の参考になりますが、経過だけで突発性難聴とそれ以外の病気を区別することはできません。

2-3.ストレスのせいと自己判断しない

耳の詰まりや聞こえにくさがストレスの強い時期に現れると、「疲れているだけだろう」「ストレスが落ち着けば元に戻るだろう」と考えてしまうことがあります。

しかし、突然聞こえにくくなった場合には、突発性難聴など、早期の治療が重要な病気が隠れている可能性があります。

特に片耳の聞こえ方が急に変わった場合は、ストレスのせいと自己判断して様子を見ず、まず耳鼻咽喉科で聴力検査を受けることが大切です。

ストレスとの関係を考えるのは、耳の状態を確認してからでも遅くありません。

3.ストレスによる症状の変化

3.ストレスによる症状の変化

突発性難聴では、聴力低下だけでなく、耳鳴り、耳の詰まり、音の響き、聞き取りにくさなど、さまざまな症状が現れます。

こうした自覚症状の強さは、常に一定とは限りません。

3-1.耳鳴りや耳の詰まりを強く感じることがある

当院でも、次のように話される方がいます。

  • 仕事中は耳鳴りを大きく感じる
  • 疲れてくると耳の詰まりが強くなる
  • 睡眠不足の翌日は症状が気になる
  • 休日になると症状を少し楽に感じる

ストレスや疲労が強いときに、耳鳴りや耳の詰まりなどの自覚症状を強く感じることはあります。

ただし、自覚症状の強さと、聴力検査で確認される聴力の変化は必ずしも一致しません。

耳鳴りや耳の詰まりを強く感じていても、聴力が低下しているとは限りません。

反対に、自覚症状が大きく変わっていなくても、聴力が変化している可能性があります。

実際に聞こえが悪くなったと感じる場合は、ストレスの影響と決めつけず、聴力検査で確認することが大切です。

3-2.睡眠不足や疲労にも注意する

ストレスを考えるときは、精神的な負担だけでなく、睡眠不足や身体的な疲労にも目を向ける必要があります。

仕事が忙しくなると、帰宅が遅くなり、睡眠時間が短くなり、疲労が抜けない状態が続くことがあります。

このような場合は、「ストレスを完全になくさなければならない」と考えるよりも、まず睡眠時間を確保し、身体を休ませることが現実的です。

すべての方に一律の安静が必要というわけではありませんが、治療中は睡眠不足や過労をできるだけ避け、症状や仕事内容に応じて休養を確保することが大切です。

3-3.急な聴力変化は再受診する

一度突発性難聴が改善した後に、再び耳の詰まりや耳鳴りが現れると、ストレスによって再発したのではないかと考えることがあります。

しかし、ストレスが強くなったからといって、必ず突発性難聴が再発するわけではありません。

また、再び聞こえにくくなった場合も、以前と同じ突発性難聴とは限りません。

急に聞こえ方が変わった場合は、ストレスや再発と自己判断せず、再度耳鼻咽喉科を受診して聴力を確認しましょう。

4.ストレスの解消と突発性難聴の治療

4.ストレスの解消と突発性難聴の治療

ストレスを減らし、睡眠や休養を確保することは、体調管理の面で大切です。

ただし、ストレスを解消するだけで聴力が回復するとはいえません。

突発性難聴の回復には、難聴の程度、めまいの有無、年齢、治療を開始した時期など、さまざまな要因が関係します。

4-1.休養だけで様子を見ない

発症前に強いストレスや疲労があった場合、仕事を休んだり、睡眠時間を確保したりすることは大切です。

旅行や趣味などで気分転換をすることで、耳鳴りや耳の詰まりを楽に感じることもあります。

しかし、突発性難聴はストレスだけを原因として起こる病気ではありません。

休養や気分転換だけを頼りにして、治療開始が遅れることは避ける必要があります。

突然聞こえにくくなった場合は、休んで経過を見る前に、まず耳鼻咽喉科を受診してください。

4-2.耳鼻咽喉科で治療を受ける

突発性難聴では、発症後できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けて治療を開始することが重要です。

治療では、ステロイドの内服や点滴が広く行われています。

ただし、治療内容は難聴の程度、発症からの期間、持病、治療後の経過などによって異なります。

経過によっては、鼓室内ステロイド療法や高気圧酸素療法などが検討されることもあります。

ストレスが原因だと思うから休んで様子を見ようと自己判断するのではなく、まず突発性難聴として必要な検査と治療を受けましょう。

そのうえで、睡眠や休養を確保し、負担の大きい生活を見直すことが大切です。

4-3.仕事の負担が強い場合

突発性難聴になったからといって、すべての方が仕事を休まなければならないわけではありません。

一方で、残業が続いて睡眠時間を確保できない、仕事の負担が大きく十分に休めないといった状況であれば、一時的に働き方を調整することも選択肢になります。

特に発症直後は治療のために通院することもあるため、仕事を優先して受診や治療を後回しにしないことが大切です。

仕事を続けるか休むかは、難聴の程度、めまいなどの症状、仕事内容、通院の必要性によって異なります。

主治医と相談しながら、治療と休養の時間を確保しましょう。

5.治療後も症状が残っている場合

5.治療後も症状が残っている場合

突発性難聴は、治療を開始してすぐに聴力が回復する方もいれば、数週間かけて少しずつ変化する方もいます。

ステロイドなどの治療を受けても、思うように聴力が回復しないこともあります。

また、聴力は改善していても、耳鳴り、耳の詰まり、音の響きなどの自覚症状が残る場合があります。

5-1.改善しない理由をストレスだけに求めない

治療後も症状が残っていると、「まだストレスがあるから治らないのだろうか」「もっと休めば聞こえるようになるのだろうか」と考えることがあります。

しかし、改善しない理由をストレスだけに求めることはできません。

まずは予定されている治療を受け、聴力がどのように変化しているのかを確認することが大切です。

そのうえで、発症からの期間、難聴の程度、これまでに受けた治療、現在残っている症状などを整理し、その後の対応を考えていきます。

5-2.当院での突発性難聴への考え方

当院には、耳鼻咽喉科で突発性難聴の治療を受けているものの、聞こえにくさ、耳鳴り、耳の詰まりなどが残っている方が来院されています。

患者さんのお話を伺うと、発症前に仕事や人間関係で強いストレスが続いていた方や、睡眠不足や疲労が重なっていた方もいます。

しかし、当院では「ストレスが原因だから、自律神経を整えれば治る」といった考え方だけで突発性難聴をみることはありません。

発症からの期間、難聴の程度、これまでに受けた治療、聴力の変化、現在残っている症状などを確認したうえで鍼治療を行います。

耳鼻咽喉科での検査や治療を優先しながら、鍼治療との併用を希望される場合には、当院ではできるだけ早い段階でご相談いただくことをおすすめしています。

ただし、鍼治療は耳鼻咽喉科で行われる治療の代わりになるものではなく、すべての方の聴力や症状が改善することを保証するものでもありません。

6.まとめ

突発性難聴は、現在も原因が明確に分かっていない病気です。

発症前に強いストレス、過労、睡眠不足などがみられる方もいますが、ストレスだけが原因で発症すると断定することはできません。

また、ストレスが強いときに耳鳴りや耳の詰まりを強く感じることはありますが、自覚症状だけでは実際に聴力が変化しているかどうかは分かりません。

「ストレス性難聴」という言葉も、医学的に1つの病気を指す統一された診断名ではありません。

ストレスに伴って聞こえにくさや耳の詰まりが現れた場合でも、原因を自己判断せず、耳鼻咽喉科で確認する必要があります。

大切なのは、ストレスが原因だから休めば治ると考え、受診や治療を遅らせないことです。

突然片耳が聞こえにくくなった場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査と治療を受けましょう。

治療後も聞こえにくさ、耳鳴り、耳の詰まりなどが残っている場合は、ストレスだけに原因を求めず、これまでの治療経過や現在の聴力を確認しながら、その後の対応を考えることが大切です。

突発性難聴の症状でお悩みの方へ

突発性難聴の症状でお悩みの方へ

なかいし鍼灸院では、突発性難聴による聞こえにくさ、耳鳴り、耳の詰まりなどに対する鍼治療を行っています。

耳鼻咽喉科でステロイドなどの治療を受けているものの、思うように聴力や症状が改善していない方はご相談ください。

当院では、特に発症から3ヶ月以内の方に、耳鼻咽喉科での治療と並行して、早めに鍼治療を開始することをおすすめしています。

現在の聴力、発症からの期間、これまでの治療経過、残っている症状を確認し、一人ひとりの状態に合わせて治療を進めていきます。

鍼治療は耳鼻咽喉科での治療に代わるものではなく、改善を保証するものではありません。

病院での検査や治療を受けながら、併用する選択肢としてご検討ください。

参考文献

1.日本聴覚医学会 編.急性感音難聴診療の手引き 2018年版.金原出版,2018.

2.厚生労働省 e-ヘルスネット.突発性難聴について.

3.厚生労働省.広報誌「厚生労働」2024年11月号「聞こえる」を大切にする「聞こえにくい」「聞こえない」に寄り添う(後編).

4.野口佳裕.急性感音難聴の診断と治療.日本耳鼻咽喉科学会会報.2020;123:71-77.

5.神崎仁.ストレスと感音難聴に関する考察.Audiology Japan.2013;56:137-143.

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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