突発性難聴は再発する?繰り返す場合に考えたいこと

突発性難聴は再発する?繰り返す場合に考えたいこと

以前、突発性難聴になった耳が、また聞こえにくくなった。

あるいは、

「今度は反対の耳がおかしい」

「治ったと思ったのに、また耳鳴りや耳の詰まりが出てきた」

このような症状が現れると、突発性難聴が再発したのではないかと不安になりますよね。

インターネットで調べると「突発性難聴は再発しない」という情報がある一方で、再発したという体験談もあります。

結論からいうと、突発性難聴と診断された方が、再び急な難聴を起こすことはあります。

同じ耳に再び起こったのか、反対の耳に起こったのか、聞こえ方が良くなったり悪くなったりしているのかによって、考えられる状態は異なります。

再び急に聞こえにくくなった場合は、以前と同じ症状であっても自己判断で様子を見ず、まず耳鼻咽喉科を早めに受診してください。

現在の聴力を確認し、必要な診断と治療を受けることが大切です。

この記事では、突発性難聴は本当に再発するのか、同じ耳と反対の耳では何が違うのか、何度も繰り返す場合に考えられることについて、当院でみてきた患者さんの経過も交えながら解説します。

1.突発性難聴は再発することがある

1.突発性難聴は再発することがある

突発性難聴は、一度発症した後に再び起こることがあります。

ただし、再発するケースが多いわけではありません。

2022年に発表された突発性難聴の再発に関するレビューでは、7つの研究、合計3,781人を調査したところ、再発率は1.4~17%でした。

また、Pecorariらが2020年に発表した長期追跡研究では、再発率は2年で5.60%、5年で10.34%と報告されています。

研究によって再発率に幅があるのは、対象となった患者さんの違いだけではなく、再発の定義や追跡期間などが異なるためです。

そのため、これらの数値をすべての患者さんにそのまま当てはめることはできませんが、一度突発性難聴になったからといって必ず再発するわけではなく、一方で再発する可能性がないともいえません。

インターネットでは「突発性難聴は再発しない」という情報を目にすることがあります。

これは、突発性難聴が本来、何度も繰り返すことを特徴とする病気ではないためです。

実際、2022年のレビューに含まれた多くの研究では、聴力が良くなったり悪くなったりする変動性の難聴や、メニエール病など別の病気と診断されたケースを除外したうえで、突発性難聴の再発率を調べています。

つまり、難聴を繰り返している方をすべて「突発性難聴の再発」として数えているわけではありません。

以前に突発性難聴と診断された方が再び聞こえにくくなった場合も、前回と同じ病気だと決めつけず、今回の症状と経過を改めて確認する必要があります。

2.再び症状が出たときの3つのパターン

2.再び症状が出たときの3つのパターン

一度突発性難聴になった方に再び耳の症状が現れた場合、大きく3つのパターンに分けて考えることができます。

  • 同じ耳に再び起こった場合
  • 反対の耳に起こった場合
  • 聞こえ方が良くなったり悪くなったりする場合

一見すると、どれも突発性難聴が再発したように感じるかもしれません。

しかし、それぞれ意味が異なります。

2-1.同じ耳に再び起こった場合

前回の発症後に聴力が回復または安定し、一定期間を空けて同じ耳に新たな急性難聴が起こった場合は、突発性難聴の再発として報告されることがあります。

実際に、同じ耳に2回以上の突発性難聴を発症したケースは報告されています。

ただし、再発の定義は研究によって異なります。

前回の聴力が十分に回復していない時期に再び低下した場合や、短期間に何度も改善と悪化を繰り返している場合は、単純に新たな突発性難聴が起こったとは限りません。

同じ耳に再び症状が現れた場合も、前回の聴力検査と現在の結果を比較し、どの周波数の聴力がどの程度低下しているのかを確認することが大切です。

2-2.反対の耳に起こった場合

以前は右耳だったのに、数年後に左耳が突然聞こえにくくなることもあります。

医学論文では、このような反対側への発症も、再発として集計されることがあります。

Pecorariらの長期追跡研究では、再発した方の42.8%が同じ耳、42.8%が反対の耳、14.4%が両耳への発症でした。

ただし、右耳に起こった突発性難聴そのものが、数年後に左耳へ移って再発するわけではありません。前回とは反対の耳に、新たな急性難聴が発症したと考える方が分かりやすいでしょう。

当院でも、10年ほど前に右耳の突発性難聴を発症し、今回は左耳に突発性難聴を発症した方がいました。

本人にとっては「突発性難聴を再発した」という認識になりますが、以前に発症した右耳ではなく、反対の左耳に新たに発症したケースです。

2-3.良くなったり悪くなったりする場合

もう1つ注意したいのが、聞こえ方が良くなったり悪くなったりする経過を繰り返している場合です。

発症後の回復過程では、耳鳴りや耳の詰まり感、自覚的な聞こえ方に多少の波を感じることがあります。

そのため、症状に変化があるだけで、すぐに別の病気と判断できるわけではありません。

一方、当院の臨床経験では、典型的な突発性難聴は、聴力検査で確認できるほどの改善と悪化を短期間に何度も繰り返す経過をとることは一般的ではありません。

例えば、

  • 昨日はよく聞こえていたのに、今日は大きく聞こえにくい
  • 一度かなり戻った聴力が、数日後に再び低下した
  • 同じような急性難聴を短期間に何度も繰り返している

といった明確な変動がある場合は、典型的な突発性難聴とは異なる可能性があります。

当院へ来院される方の中にも、耳鼻咽喉科で突発性難聴と診断されているものの、詳しく経過を確認すると、聞こえ方に大きな波がある方がいます。

このような場合は、「突発性難聴が何度も再発している」と考えるだけではなく、別の病気による難聴ではないかという視点も必要です。

3.診断は経過によって変わることがある

3.診断は経過によって変わることがある

突発性難聴と診断された方の中には、その後の経過によって別の病気と診断される方もいます。

突発性難聴には、特定の検査で陽性になれば病名が確定するという検査がありません。

突然起こった感音難聴に対して、症状の現れ方や聴力検査などを確認し、難聴を引き起こした明らかな原因が見つからない場合に診断されます。

そのため、発症したばかりの段階では突発性難聴と診断されていても、その後に次のような経過が分かることで、別の病気が考えられる場合があります。

  • 一度改善した聴力が再び低下した
  • 聴力検査でも改善と悪化を繰り返している
  • 同じような難聴を何度も繰り返している
  • 難聴や耳鳴りの変動に伴って、めまい発作を繰り返すようになった

実際に当院でも、耳鼻咽喉科で突発性難聴と診断された後にメニエール病と診断された方や、突発性難聴とメニエール病の両方の診断を受けた方がいました。

これは、最初の診断が単純に間違っていたということではありません。

発症したばかりの段階では、その時点で現れている症状や聴力検査の結果などから判断するため、その後の経過をみなければ分からないこともあるからです。

最初の診断が誤っていたのではないかと直ちに考える必要はありませんが、その後の経過によって必要な検査や治療方針が変わることがあります。

再び聞こえにくくなったときは、前回と同じ病気だと自己判断せず、耳鼻咽喉科で現在の状態を確認することが大切です。

4.繰り返す場合に考えられる病気

4.繰り返す場合に考えられる病気

何度も同じような難聴を繰り返したり、聴力が良くなったり悪くなったりする場合は、突発性難聴以外の病気も考える必要があります。

繰り返す難聴の原因は複数ありますが、ここでは突発性難聴と症状が似ていて、患者さんにも関係の深いメニエール病と急性低音障害型感音難聴について説明します。

4-1.メニエール病

メニエール病では、難聴、耳鳴り、耳の詰まり感などの聴覚症状に加えて、めまい発作を繰り返すことがあります。

突発性難聴との違いの1つは、聴覚症状が変動したり、めまい発作を繰り返したりすることです。

そのため、最初は突発性難聴と診断されていても、その後、難聴や耳鳴りの変動に伴ってめまいを繰り返すことで、メニエール病と診断されることがあります。

当院でも、「最初は突発性難聴と言われたけれど、その後メニエール病と診断された」という方がいました。

発症したばかりの時点では判断が難しく、その後の経過によって診断が変わることがあります。

突発性難聴が何度も再発していると思っていたものが、経過をみていくとメニエール病など別の病気だったというケースも考えられます。

4-2.急性低音障害型感音難聴

急性低音障害型感音難聴も、突発性難聴と似た症状が現れる病気です。

主に低い音が聞こえにくくなり、次のような症状が現れることがあります。

  • 耳が詰まった感じがする
  • 自分の声が響いて聞こえる
  • 低い音の耳鳴りがする

急性低音障害型感音難聴は、症状が改善した後に再び悪化するなど、繰り返すことがあります。

そのため、以前に突発性難聴と診断され、同じような耳の症状を何度も繰り返している場合は、急性低音障害型感音難聴など別の病気の可能性も考えられます。

ただし、ご自身で病名を判断する必要はありません。

病名が何であっても、再び急に聴力が低下しているのであれば、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、現在の聴力を確認することが大切です。

5.再び症状が出たときの対応

5.再び症状が出たときの対応

再び耳の症状が現れたときに最初に行うことは、以前の記録を見ながら様子をみることではなく、耳鼻咽喉科を早めに受診することです。

耳鳴りや耳の詰まり感だけに思えても、実際には聴力が低下している可能性があります。

聴力検査を受けなければ、自覚症状だけで現在の状態を正確に判断することはできません。

受診するときは、以前に受けた聴力検査の結果が手元にあれば持参しましょう。

前回の聴力と現在の聴力を比較することで、次のようなことを確認しやすくなります。

  • 前回と同じ周波数の聴力が低下しているのか
  • 前回とは異なる聴力低下が起きているのか
  • 前回どこまで聴力が回復していたのか
  • 同じ耳なのか、反対の耳なのか

難聴を繰り返している場合は、次の内容も記録しておくと、経過を把握するために役立ちます。

  • 症状が現れた日と時間
  • 右耳と左耳のどちらに症状が出たのか
  • 聞こえ、耳鳴り、耳の詰まり感の変化
  • めまいの有無と繰り返し
  • 聴力検査の結果
  • 受けた治療と治療後の変化
  • 症状が改善または悪化した時期

当院へ来院される方の中には、

  • 仕事が忙しくなると聞こえにくくなる
  • 睡眠不足が続いた後に耳の調子が悪くなる
  • 強いストレスがかかると耳の詰まり感が現れる

など、ご自身で症状が変化するタイミングを把握されている方もいます。

ただし、これらは患者さん自身が感じている傾向であり、仕事、睡眠不足、ストレスが突発性難聴の再発を直接引き起こしたと断定できるものではありません。

突発性難聴は原因が明確になっていないため、これをすれば必ず再発を防げるという方法も確立されていません。

それでも、睡眠不足や過度な疲労を避け、生活リズムを整えることは、全身の体調を管理するうえで大切です。

どのようなときに耳の状態が変化しやすいのかを把握しておくことも、医師に経過を伝えるために役立ちます。

重要なのは、何回再発したかだけではなく、これまでどのような経過をたどってきたのかを確認することです。

症状や聴力検査の記録を積み重ねることで、最初の発症時には分からなかった特徴が見えてくる場合があります。

6.まとめ

突発性難聴は、一度発症した後に再び起こることがあります。

ただし、再び耳の症状が現れたからといって、すべてが同じ意味での再発とは限りません。

同じ耳に新たな急性難聴が起こる場合もあれば、前回とは反対の耳に発症する場合もあります。

また、聴力が良くなったり悪くなったりする経過を繰り返している場合は、典型的な突発性難聴とは異なり、メニエール病や急性低音障害型感音難聴など、別の病気が関係している可能性もあります。

突発性難聴は、発症した時点の症状や聴力検査などから診断されるため、その後の経過によって診断が変わることがあります。

何回再発したかだけでなく、

  • 同じ耳なのか、反対の耳なのか
  • どの周波数の聴力が低下しているのか
  • 聴力の改善と悪化を繰り返していないか
  • めまいなどほかの症状を伴っていないか

といった経過を確認することが大切です。

再び急に聞こえにくくなった場合は、前回と同じ突発性難聴だと自己判断して様子を見ず、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

突発性難聴の治療後も症状が残っている方へ

突発性難聴の治療後も症状が残っている方へ

再び急に聞こえにくくなった場合は、まず耳鼻咽喉科を受診し、現在の聴力を確認したうえで、必要な治療を受けることが大切です。

そのうえで、

  • 医療機関で治療を受けても聞こえにくさが残っている
  • 耳鳴りや耳の詰まり感が続いている
  • 発症から3ヶ月以内で、ほかにできることを探している

という方は、当院への相談も選択肢の1つです。

当院では、突発性難聴、耳鳴り、難聴でお悩みの方に対して鍼治療を行っています。

これまでの臨床経験から、当院では発症から3ヶ月以内を、鍼治療による改善を目指すうえで大切な時期と考えています。

以前の聴力検査、今回の聴力低下、発症後の経過、治療内容などを確認したうえで、お身体の状態に合わせて施術を行います。

鍼治療による変化には個人差があり、すべての方に同じ改善がみられるわけではありません。

医療機関での治療後も症状が残り、改善を目指したい方は、一度当院へご相談ください。

参考文献

1.Zhang BY, Wang YC, Chan KC. Recurrent sudden sensorineural hearing loss―A literature review. Laryngoscope Investigative Otolaryngology. 2022;7(3):854-862.

突発性難聴の再発に関する7研究、3,781人を対象としたレビューです。再発率は1.4~17%と報告されています。

2.Pecorari G, Riva G, Naqe N, et al. Recurrences in Sudden Sensorineural Hearing Loss: A Long-Term Observational Study. American Journal of Audiology. 2020;29(1):18-22.

突発性難聴の再発を長期的に追跡した研究です。再発率は2年で5.60%、5年で10.34%と報告されています。

3.Chandrasekhar SS, Tsai Do BS, Schwartz SR, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss(Update). Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;161(1 Suppl):S1-S45.

突発性難聴の診断、検査、治療、経過観察についてまとめられた、米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会の診療ガイドラインです。

4.五島史行, 室伏利久. メニエール病の診断基準. Equilibrium Research. 2015;74(4):299-301.

メニエール病の診断基準について解説した文献です。

5.佐藤宏昭. 急性低音障害型感音難聴の診断と治療. 日本耳鼻咽喉科学会会報. 2017;120(11):1366-1367.

突発性難聴と症状が似ており、再発する場合もある急性低音障害型感音難聴の診断と治療について解説されています。

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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