突発性難聴が治らないとどうなる?後遺症や今後の生活を解説

突発性難聴が治らないとどうなる?後遺症や今後の生活を解説

「このまま治らなかったら、どうなってしまうのだろう」

突発性難聴と診断されてから2週間、3週間と過ぎても思うように聞こえが戻らず、このような不安を抱えていませんか。

インターネットを見ると、「一生治らない」「後遺症が残る」といった情報もあり、本当に元の生活に戻れるのか、不安が大きくなっている方もいると思います。

しかし、「治らない」という言葉だけで、その後の生活が決まるわけではありません。

突発性難聴では、聴力が完全には戻らなくても、日常生活への影響が小さい方もいます。

一方で、耳鳴りや音の響き、言葉の聞き取りにくさなどが残り、仕事や生活に影響する方もいます。

また、聴力検査の数値が元に戻らないこと、耳鳴りなどの自覚症状が残ること、生活に支障があることは、同じ意味ではありません。

つまり、「治らない」といっても、残る症状や生活への影響は一人ひとり異なります。

この記事では、突発性難聴が治らないとどうなるのか、残る可能性がある後遺症や日常生活への影響、改善の可能性、今できることについて、診療の手引きや論文、当院の臨床経験をもとに解説します。

1.治らない状態には個人差がある

1.治らない状態には個人差がある

突発性難聴が治らなかったと聞くと、全く聞こえなくなり、今までどおりの生活ができなくなるのではないかと不安になる方もいるでしょう。

しかし、実際には「治らない」という状態にもさまざまなケースがあります。

例えば、次のような違いがあります。

  • 聴力はある程度回復したものの、発症前の状態までは戻らない
  • 特定の高さの音だけが聞こえにくい
  • 静かな場所では会話できても、騒がしい場所では聞き取りにくい
  • 聴力検査の数値は改善しても、耳鳴りや耳の詰まりが残る
  • 音は聞こえても、響いたり割れたりして言葉を聞き取りにくい

このように、聴力検査の結果と本人が感じる聞こえ方、日常生活への影響は、必ずしも一致しません。

また、突発性難聴は、一般的には発症後も聴力が際限なく悪化し続ける病気ではありません。

一定の経過をたどったあと、残った症状と付き合いながら生活している方もいます。

ただし、聴力が再び悪化する、聞こえ方が大きく変動する、難聴を繰り返す、反対側の耳にも症状が現れるといった場合は、別の病気が関係している可能性もあります。

このような変化がある場合は、突発性難聴の後遺症だと自己判断せず、耳鼻咽喉科で再評価を受けることが大切です。

2.残る可能性がある後遺症

2.残る可能性がある後遺症

突発性難聴では、聴力が十分に回復しなかった場合、難聴や耳鳴りなどの症状が残ることがあります。

すべての方に同じ症状が現れるわけではありません。

複数の症状が重なることもあれば、特定の症状だけが残ることもあります。

2-1.難聴

代表的な後遺症は、回復しきらなかった難聴です。

聞こえにくさの程度は人によって異なり、日常生活への影響が小さい方もいれば、会話や仕事に支障を感じる方もいます。

また、すべての音が同じように聞こえにくくなるとは限りません。

低い音は聞こえても高い音が聞こえにくいなど、障害される音域によって困り方も変わります。

片耳の聴力が低下すると、騒がしい場所で言葉を聞き分けにくくなったり、音が聞こえてくる方向を判断しにくくなったりすることもあります。

2-2.耳鳴り

突発性難聴のあとに、耳鳴りが残ることがあります。

「キーン」「ジー」といった音が続き、周囲が静かなときや就寝前に強く感じる場合があります。

聴力がある程度改善しても、耳鳴りだけが気になるケースもあります。

耳鳴りの感じ方は、睡眠不足、疲労、ストレス、周囲の静かさなどによって変化することがあります。

耳鳴りを完全に消すことが難しい場合でも、音響療法、補聴器、睡眠や生活環境の調整などによって、日常生活で感じる負担を軽減できることがあります。

2-3.音の響き・聞き取りにくさ

音が割れて聞こえる、自分の声が大きく響く、大きな音をつらく感じるなど、音の響き方や大きさの感じ方が発症前と変わることがあります。

音自体は聞こえていても言葉として聞き取りにくいため、周囲からは症状を理解されにくいこともあります。

特に、人の多い場所、複数人での会話、テレビや音楽が流れている場所などでは、聞き取りに負担を感じやすくなります。

2-4.めまい・ふらつき

発症時にめまいを伴っていた方では、ふらつきやバランスの取りにくさが残る場合があります。

めまいは時間の経過とともに改善することもありますが、ふらつきが長く続くケースもあります。

強いめまいが新たに現れた場合、繰り返す場合、手足のしびれや言葉の出にくさなどを伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。

3.日常生活への影響と対策

3.日常生活への影響と対策

突発性難聴の後遺症は、聞こえ方だけでなく、会話や仕事、精神面にも影響することがあります。

ただし、その影響は聴力検査の数値だけで決まるものではありません。

仕事内容、生活環境、周囲の理解によっても大きく変わります。

3-1.会話で聞き返すことが増える

日常生活で困りやすいのが会話です。

特に騒がしい場所では、相手の声と周囲の雑音を聞き分けにくくなり、「音は聞こえるのに、何を言っているのか分からない」と感じることがあります。

聞き返す回数が増えたり、会話についていこうとして疲れたりする方もいます。

会話するときは、次のような工夫が役立つことがあります。

  • 聞こえやすい側の耳を相手に向ける
  • できるだけ静かな場所で話す
  • 相手の顔や口元が見える位置で話す
  • 聞こえにくいことを家族や周囲に伝える
  • 大切な内容は文字でも確認する

聞こえにくさを我慢するだけでなく、周囲に具体的な対応を伝えることも大切です。

3-2.仕事に影響する

接客、電話対応、会議などが多い仕事では、聞き取りにくさが仕事の負担につながることがあります。

一方で、仕事内容や職場環境を調整することで、これまでどおり働ける方もいます。

例えば、座席の位置を変える、電話の使用を調整する、会議内容を文書で共有してもらうといった方法があります。

めまいやふらつきが残っている場合は、運転、高所作業、機械操作などに注意が必要です。仕事内容への影響が大きい場合は、担当医や職場と相談しながら、安全に働ける方法を検討してください。

「治らない=仕事を続けられない」と決めつけるのではなく、現在の症状に合わせて環境を整えることが重要です。

3-3.精神的な負担が大きくなることもある

難聴や耳鳴りは外見から分かりにくいため、周囲に理解されず、一人で悩みを抱えてしまう方もいます。

「このまま一生続くのではないか」と考え続けることや、会話で失敗しないように気を張ることが、精神的な疲労につながる場合もあります。

このような負担は、難聴や耳鳴りに伴って生じる心理的な影響です。

眠れない状態や強い不安、気分の落ち込みが続く場合は、一人で抱え込まず、耳鼻咽喉科や必要に応じて専門の医療機関へ相談してください。

4.改善の可能性と今できること

4.改善の可能性と今できること

突発性難聴は、発症後できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査や治療を受けることが重要です。

一般的な医学的治療と、その後の回復経過、当院で行う鍼治療は、分けて考える必要があります。

4-1.耳鼻咽喉科で治療と経過を確認する

突発性難聴の治療では、主にステロイドが使用されます。

状態に応じて、鼓室内ステロイド注入療法や、高気圧酸素療法が検討される場合もあります。

これらの治療は、いつ受けても同じ効果が期待できるわけではありません。

発症からの期間によって検討される治療が異なるため、自己判断で治療を中断したり開始を遅らせたりせず、担当医と相談することが大切です。

特に発症から2~6週間で改善が不十分な場合は、追加治療の適応や実施できる時期について、耳鼻咽喉科で確認してください。

また、回復の程度を本人の感覚だけで判断することはできません。治療後も必要に応じて聴力検査を受け、どの音域がどの程度改善しているのかを確認することが重要です。

4-2.回復には個人差がある

突発性難聴は、発症から時間が経つほど聴力が大きく改善する可能性が低くなる傾向があります。

ただし、2週間や1ヶ月の時点で思うような変化がなくても、その時点ですべての経過が確定したとは限りません。発症から1~3ヶ月にかけて、聴力や自覚症状が少しずつ変化する方もいます。

一方、発症から3ヶ月が過ぎた瞬間に、改善する可能性がなくなるわけでもありません。

回復の見通しは、発症時の聴力、難聴の程度や型、めまいの有無、治療開始までの期間などによって異なります。

そのため、経過した日数だけで諦めたり、反対に回復だけを待ち続けたりするのではなく、聴力検査と現在の症状をもとに今後の方針を考えることが大切です。

4-3.当院における鍼治療の位置づけ

鍼治療は、突発性難聴に対する標準治療として確立されたものではなく、耳鼻咽喉科で行われる検査や治療に代わるものではありません。

当院では、耳鼻咽喉科で治療を受けても聴力や耳鳴り、耳の詰まり、音の響きなどが残り、ほかにできることを探している方から相談を受けています。

当院の臨床では、発症から1~3ヶ月で来院し、その後数ヶ月かけて聴力や自覚症状に変化がみられたケースを経験しています。

ただし、鍼治療による変化と自然な回復経過を明確に分けることはできず、すべての方に改善がみられるわけではありません。

当院では、これまでの治療経過や聴力検査の結果、現在の症状を確認したうえで、鍼治療の考え方や見通しを説明しています。

4-4.残った症状への対策も検討する

十分な回復が得られなかった場合でも、できることがなくなるわけではありません。

聞こえにくさが生活に影響している場合は、補聴器や聴覚リハビリテーションについて耳鼻咽喉科や補聴器相談医、言語聴覚士などに相談できます。

耳鳴りが続く場合も、補聴器、音響療法、睡眠や生活環境の調整などによって、感じる負担を軽減できることがあります。

回復を目指すことと、現在の生活をより過ごしやすくすることは、どちらか一方を選ぶものではありません。

聴力や自覚症状の改善を目指しながら、必要に応じて生活上の対策も取り入れることが大切です。

5.まとめ

突発性難聴が十分に回復しなかった場合でも、残る症状や日常生活への影響は一人ひとり異なります。

この記事でお伝えしたかったことは、次の5つです。

  • 治らないからといって、全く聞こえなくなるとは限らない
  • 聴力検査の結果と、自覚症状や生活への影響は一致しないことがある
  • 難聴、耳鳴り、音の響き、めまいなどが残る場合がある
  • 会話や仕事への影響は、環境調整や聴覚支援によって軽減できることがある
  • 発症から間もない場合は、経過を待つだけでなく、耳鼻咽喉科で治療や聴力の状態を確認することが重要

突発性難聴では、発症後できるだけ早く耳鼻咽喉科で診断と治療を受けることが大切です。

すでに治療を受けている場合も、聞こえ方の実感だけで判断せず、聴力検査で経過を確認し、追加治療の適応があるか担当医と相談してください。

それでも症状が残り、ほかにできることを探している場合は、鍼治療を含め、それぞれの治療の位置づけや限界を理解したうえで、自分が納得できる選択肢を検討する方法もあります。

突発性難聴で不安を抱えている方へ

突発性難聴で不安を抱えている方へ

発症から3ヶ月以内で、耳鼻咽喉科で治療を受けても聴力や耳鳴り、耳の詰まり、音の響きなどが残っている方は、今後について迷っているかもしれません。

なかいし鍼灸院では、これまでの治療経過や聴力検査の結果、現在の症状を丁寧にお伺いし、一人ひとりの状態に合わせた施術方針をご提案しています。

鍼治療は耳鼻咽喉科での治療に代わるものではなく、すべての方の改善を保証するものでもありません。

その点も含めて施術の考え方や見通しをご説明しますので、「このまま経過を見てよいのだろうか」「ほかに取り組めることはないだろうか」とお悩みの方は、ご相談ください。

参考文献

1.日本聴覚医学会編.急性感音難聴診療の手引き 2023年版.金原出版,2023.

2.Chandrasekhar SS, Tsai Do BS, Schwartz SR, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss(Update). Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;161(1_suppl):S1-S45.

3.Wilson WR, Byl FM, Laird N. The efficacy of steroids in the treatment of idiopathic sudden hearing loss. Archives of Otolaryngology. 1980;106(12):772-776.

4.Mattox DE, Simmons FB. Natural history of sudden sensorineural hearing loss. Annals of Otology, Rhinology & Laryngology. 1977;86:463-480.

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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