突発性難聴の治療を受けているのに、耳鳴りだけがなかなか治らない。
聴力は少し改善したものの耳鳴りは変わらず、このまま一生続くのではないかと不安を感じているのではないでしょうか。
実際、突発性難聴では聴力が改善しても耳鳴りだけが残ることは珍しくありません。
しかし、耳鳴りが続いているからといって、改善する可能性がなくなったとは限りません。
耳鳴りは聴力とは異なる経過をたどることがあり、少しずつ軽くなる方もいれば、音の高さや大きさが変化しながら改善していく方もいます。
また、当院の臨床では、耳鳴りに何らかの変化がみられるケースは改善につながることが少なくありません。
この記事では、突発性難聴で耳鳴りが治らない理由や改善の可能性、改善しやすい耳鳴りの特徴、そして今できる対処法について詳しく解説します。
1.突発性難聴の耳鳴り
1-1.耳鳴りが残る理由
突発性難聴では、発症時に耳鳴りを伴うことが多く、治療によって聴力が改善しても耳鳴りだけが残ることがあります。
これは決して珍しいことではなく、多くの患者さんが経験する症状の一つです。
耳鳴りが残る理由としては、内耳の障害が完全に回復していないことに加え、音を感じ取る仕組みである聴覚神経や脳の働きが関係していると考えられています。
音の情報が十分に脳へ伝わらなくなると、その不足を補おうとして脳の活動が過剰になり、実際には存在しない音を耳鳴りとして感じることがあります。
そのため、聴力が回復したからといって、耳鳴りも同じように改善するとは限りません。
反対に、聴力の変化がほとんどなくても、耳鳴りだけが軽くなるケースもあります。
1-2.聴力と耳鳴りは回復時期が異なる
耳鳴りは、聴力よりも改善に時間がかかることがあります。
実際に、聴力は治療開始後数週間で改善したものの、耳鳴りだけが数ヶ月続いたという方もいます。
これは耳鳴りが内耳だけではなく、脳の働きにも影響を受けるためです。
そのため、聞こえは戻ってきたのに耳鳴りだけ治らないという経過も、突発性難聴では十分に起こり得ます。
耳鳴りだけが残っているからといって、改善の可能性がなくなったと判断する必要はありません。
1-3.耳鳴りが後遺症として残るケース
一方で、耳鳴りが後遺症として残る方もいます。
特に、重度の難聴で内耳の障害が大きかった場合や聴力の改善が十分に得られなかった場合には、耳鳴りも長期間続く傾向があります。
ただし、耳鳴りが残ることと今後まったく変化しないことは同じではありません。
耳鳴りが小さくなったり、気になる時間が短くなったりすることで、日常生活への影響が軽くなる方もいます。
まずは、耳鳴りだけが残ることは珍しい経過ではないこと、そして耳鳴りにはさまざまな経過があることを理解しておくことが大切です。
2.耳鳴りの改善
2-1.改善しやすい耳鳴り
耳鳴りの改善には個人差がありますが、当院の臨床では耳鳴りに変化がみられるケースほど改善する可能性が高いと感じています。
例えば、
- 音が「キーン」から「ジー」に変わった
- 音量が日によって違う
- 朝と夜で耳鳴りの強さが変わる
- 耳鳴りが気にならない時間帯がある
このように、耳鳴りの大きさや音質、感じ方に変化がある場合は、内耳や聴覚の働きが少しずつ変化している可能性があります。
もちろん、すべての方が改善するわけではありませんが、このような変化は回復の過程でみられることがあります。
耳鳴りが変化しているのであれば、焦って「もう治らない」と判断する必要はないでしょう。
2-2.改善しにくい耳鳴り
一方で、耳鳴りの種類や大きさが長期間ほとんど変わらないケースは、改善までに時間を要する傾向があります。
例えば、
- 発症から数ヶ月経っても音がまったく変わらない
- 毎日ほぼ同じ大きさで鳴っている
- 強さや音質に変化がみられない
このような場合は、耳鳴りが固定化している可能性も考えられます。
ただし、これは改善しないという意味ではありません。
耳鳴りは数ヶ月かけて少しずつ変化することもあるため、変化が少ないからといって、すぐに諦める必要はありません。
2-3.耳鳴りの変化と改善の可能性
耳鳴りの改善というと、音が完全になくなることをイメージされる方が多いかもしれません。
しかし、実際には改善の現れ方はさまざまです。
例えば、
- 音が少し小さくなった
- 高い音から低い音へ変わった
- 気になる時間が短くなった
- 以前ほど耳鳴りを意識しなくなった
このような変化も改善のサインと考えられます。
また、毎日耳鳴りを気にしていると、小さな変化には気付きにくいものです。
昨日と比べるのではなく、1ヶ月前と比べてどう変化したかという視点で経過を振り返ることで、改善に気付けることもあります。
耳鳴りの変化を正しく捉えることは、不安を減らし、治療を続けるうえでも大切なポイントです。
3.耳鳴りが治らない時の対処法
3-1.耳鼻咽喉科で治療方針を確認する
突発性難聴による耳鳴りが続いている場合は、まず耳鼻咽喉科で治療方針を確認することが大切です。
突発性難聴では、ステロイド治療をはじめ、鼓室内ステロイド注入や高気圧酸素療法などが検討されることがあります。
治療内容や適応は発症からの期間や症状によって異なるため、自己判断せず、主治医と相談しながら治療を進めましょう。
3-2.自己判断で治療を中断しない
耳鳴りがなかなか改善しないと、「もう治らない」と諦めてしまう方もいます。
しかし、耳鳴りは聴力よりも改善が遅れることがあり、少しずつ変化しながら軽くなっていくケースもあります。
特に発症から間もない時期は改善の可能性が残されているため、耳鳴りだけを理由に治療を中断することはおすすめできません。
自分が納得できるところまで治療に取り組むことが大切です。
3-3.ネットの体験談だけで判断しない
インターネットには、「耳鳴りが治った」「一生治らなかった」など、さまざまな体験談があります。
しかし、突発性難聴は重症度や治療開始までの時間、治療内容などによって経過が大きく異なるため、他の人と同じ結果になるとは限りません。
体験談はあくまでも一例として参考にし、不安になり過ぎないことが大切です。
3-4.鍼治療という選択肢
耳鼻咽喉科での治療を受けても耳鳴りが残る場合は、鍼治療を検討することも一つの選択肢です。
当院では、病院での治療を終えた後に来院される患者さんも多く、耳鳴りの大きさや音質に変化が現れ、その後少しずつ改善したケースを経験しています。
発症から3ヶ月以内であれば改善する可能性が残されているため、「もう治らない」と決めつけず、納得できる治療を選択することが大切です。
4.まとめ
突発性難聴で耳鳴りが治らないと、「このまま一生続くのではないか」と不安になります。
しかし、耳鳴りだけが残ることは決して珍しいことではなく、聴力とは異なる経過をたどることがあります。
また、耳鳴りは完全になくなるだけが改善ではありません。
音が小さくなる、音質が変わる、気になる時間が短くなるなど、小さな変化が回復のサインとなることもあります。
今回のポイントをまとめます。
- 耳鳴りだけが残ることは珍しいことではない
- 耳鳴りは聴力より改善が遅れることがある
- 耳鳴りに変化がある場合は改善する可能性が残されていることがある
- 発症から3ヶ月以内は改善が期待できる時期である
- 自己判断で治療を中断せず、納得できる治療を継続することが大切
耳鳴りは、昨日と比べると変化が分からなくても、1ヶ月前を振り返ると少しずつ改善していることがあります。
一方で、改善が期待できる時期は限られています。
「まだできることはないだろうか」と感じているのであれば、その可能性を諦める前に一度専門家へ相談することをおすすめします。
突発性難聴の耳鳴りが治らない方へ
耳鳴りだけが残っていても、改善する可能性はあります。
特に発症から3ヶ月以内は、治療によって変化が期待できる時期です。
改善が期待できる時期を逃さないためにも、「もう治らない」と諦める前に、ご相談ください。
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参考文献
1.日本聴覚医学会
急性感音難聴診療の手引き 2018年版
突発性難聴の診断・治療・予後についてまとめられた国内ガイドライン。
2.Chandrasekhar SS, Tsai Do BS, Schwartz SR, et al.
Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update).
Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;161(1_suppl):S1-S45.
突発性難聴の診断・治療に関する国際ガイドライン。
3.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
耳鳴診療ガイドライン 2019年版
耳鳴りの評価、診断、音響療法、認知行動療法などについてまとめられた国内ガイドライン。
4.Tunkel DE, Bauer CA, Sun GH, et al.
Clinical Practice Guideline: Tinnitus.
Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2014;151(2 Suppl):S1-S40.
耳鳴り診療の国際ガイドライン。
5.Jastreboff PJ.
Phantom auditory perception (tinnitus): mechanisms of generation and perception.
Neuroscience Research. 1990;8(4):221-254.
耳鳴りの発生機序と順応(Habituation)の理論的基盤となる代表的な論文。
運営者情報
| 会社名 | 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」 |
| 代表者 | 代表取締役・院長 中石真人 |
| 経歴 | 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校
トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。 |
| 資格 | 鍼灸師・柔道整復師 |
| 創業 | 平成24年9月3日 |
| 所在地 | 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702 |
| 電話 | 050-1255-9166 |
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