突発性難聴が治らない場合|改善の可能性と今できること

突発性難聴が治らない場合|改善の可能性と今できること

薬を飲み、点滴を受けたのに、思うように聞こえが戻らない。

発症から数週間、あるいは1ヶ月以上が経過しても、大きな変化がみられない。

耳鼻咽喉科で、

「これ以上の改善は難しいでしょう」

「聴力が固定している可能性があります」

と説明され、

「このまま一生聞こえが戻らないのではないか」

「もう何をしても変わらないのではないか」

と不安を感じているのではないでしょうか。

突発性難聴は、発症後できるだけ早く治療を開始することが重要で、時間が経つほど聴力の回復が難しくなる傾向があります。

しかし、病院での治療が終了した時点で、その後の変化が完全になくなるとは限りません。

突発性難聴の経過は、発症からの期間だけでなく、難聴の程度、聴力が低下している周波数、めまいの有無、治療を始めた時期、これまでに受けた治療などによって異なります。

また、「改善」には、聴力検査の数値が回復することだけでなく、耳鳴りや耳の詰まり、音の響き、日常生活での聞き取りにくさなどの自覚症状が軽くなることも含まれます。

聴力と自覚症状は、必ずしも同じように変化するわけではありません。

大切なのは、「治らない」という言葉だけで結論を出すのではなく、現在の聴力や症状、これまでに受けた治療、発症からの期間を整理し、今からできることが残されていないかを確認することです。

この記事では、突発性難聴が治らない理由、改善の可能性が残されていると考えられるケース、今から検討できることについて、一般的な医学情報と当院の臨床経験を分けて解説します。

1.突発性難聴が治らない理由

1.突発性難聴が治らない理由

突発性難聴の回復には、さまざまな要因が関係しています。

特に大きく影響するのが、発症から治療を開始するまでの期間です。

突発性難聴は早期治療が重要とされており、治療開始が遅くなるほど聴力が回復しにくくなる傾向があります。

また、一般的に次のような場合も、聴力の回復が難しくなる傾向があります。

  • 発症時の聴力低下が大きい
  • 複数の周波数で大きく聴力が低下している
  • めまいを伴っている
  • 治療を開始するまでに時間が経過している
  • 高齢である
  • 治療開始後も聴力に変化がみられない

ただし、これらはあくまで予後に関係する傾向です。

当てはまる項目があるから必ず治らない、反対に当てはまらないから必ず回復するというものではありません。

同じ時期に同じ治療を受けても、回復の程度や治るまでの期間には個人差があります。

一定期間治療を続けても聴力に大きな変化がみられない場合、医師から「これ以上の改善は難しい」「聴力が固定している」と説明されることがあります。

ここでいう固定とは、これまでの経過や聴力検査の結果から、今後、聴力が大きく回復する可能性が低いと判断された状態です。

ただし、聴力が安定している場合でも、耳鳴り、耳閉感、音の響き、聞き取りにくさなどの自覚症状まで、その後一切変化しないとは限りません。

発症から時間が経過している場合や難聴が重い場合は改善しにくい傾向がありますが、それだけで、その後の変化が完全に否定されるわけではありません。

2.改善の可能性が残されているケース

2.改善の可能性が残されているケース

突発性難聴による聴力の回復は、発症後の早い時期にみられることが多いとされています。

一方で、病院での治療が終了した時点ですべての変化が止まるとは限りません。

治療終了時には十分な回復がみられなかった方でも、その後しばらく聴力が変化するケースが報告されています。

ただし、発症から時間が経つほど回復は難しくなるため、「いつまでも同じように改善を期待できる」という意味ではありません。

改善の可能性を考える際は、次の点を確認します。

2-1.発症からの期間が比較的短い

突発性難聴の大きな回復は、発症後の早い時期にみられることが多いものの、すべての方が1ヶ月以内に回復を終えるわけではありません。

病院での治療が終了した後も、聴力が変化するケースがあります。

そのため、発症からの期間が比較的短い場合は、病院での治療が終わったという理由だけで、その後は何も変わらないと決めつけず、経過を確認することが大切です。

ただし、発症から何ヶ月以内なら必ず改善できるという明確な境界があるわけではありません。

発症からの期間だけでなく、難聴の程度、聴力検査の推移、これまでに受けた治療などを含めて判断する必要があります。

2-2.聴力や自覚症状に変化がみられる

聴力検査の数値だけでなく、日常生活で感じる聞こえ方や耳の症状に変化がみられることがあります。

例えば、次のような変化です。

  • 耳鳴りが以前より小さくなった
  • 耳の詰まった感じが軽くなった
  • 音の響き方が変わった
  • 会話が以前より聞き取りやすくなった
  • テレビの音量を以前ほど上げなくなった
  • これまで気づかなかった電子音が聞こえるようになった

こうした変化は、経過を確認するうえで大切な情報です。

ただし、自覚症状が軽くなっていても、聴力検査の数値がほとんど変わっていない場合があります。

反対に、自分では大きな変化を感じていなくても、聴力検査では一部の周波数に回復がみられることもあります。

そのため、改善の可能性を判断するときは、自覚症状だけで結論を出さず、聴力検査の結果とあわせて確認することが大切です。

2-3.検討していない治療が残されている

初期治療としてステロイドの内服や点滴を受けても、十分な改善が得られないことがあります。

その場合、発症からの時期や病状によっては、救済治療として鼓室内ステロイド注入や高気圧酸素療法が検討されることがあります。

海外の診療ガイドラインでは、鼓室内ステロイドによる救済治療は発症後2~6週間、高気圧酸素療法はステロイドとの併用で発症後1ヶ月以内が主な検討時期として示されています。

ただし、治療の適応や実施時期は、患者の状態や医療機関によって異なります。

誰でも受けられる治療ではなく、発症から時間が経過すると適応にならない場合もあるため、まずは耳鼻咽喉科で確認してください。

重要なのは、闇雲に治療を増やすことではありません。

これまでに何を受け、聴力や自覚症状にどのような変化があったのかを整理したうえで、医学的に検討できる治療が残されていないかを確認することです。

3.治らない場合に今できること

突発性難聴が改善しない場合は、「治療を続けるか、諦めるか」という2つだけで考える必要はありません。

現在の状態と発症からの期間に合わせて、今できることを整理していきます。

3-1.現在の聴力を確認する

まずは、現在の聴力を検査で確認します。

日常生活で大きな変化を感じていなくても、一部の周波数で聴力が変化していることがあります。

反対に、耳鳴りや耳閉感が軽くなっていても、聴力そのものは変わっていない場合があります。

治療前後の聴力検査を比較するときは、次の点を確認します。

  • どの周波数が低下しているのか
  • どの程度の難聴が残っているのか
  • 治療前後で変化している周波数があるか
  • 会話の聞き取りにどの程度影響しているか

聴力検査の結果が手元にない場合は、耳鼻咽喉科で説明を受け、可能であれば検査結果を保管しておくと、その後の経過を比較しやすくなります。

3-2.これまでの治療と経過を整理する

今後の選択肢を考えるためには、次の内容を整理することが大切です。

  • 発症した日
  • 耳鼻咽喉科を受診した日
  • ステロイド治療を始めた日
  • 使用した薬や受けた治療
  • 入院または通院で治療した期間
  • 治療前後の聴力検査
  • 耳鳴り、耳閉感、音の響きなどの変化
  • めまいやふらつきの有無

突発性難聴では、発症からどのくらい経過しているかによって、検討できる治療が異なります。

「薬を飲んだけれど治らなかった」という情報だけでなく、治療を始めた時期や聴力の変化まで整理しておくことが重要です。

3-3.耳鼻咽喉科で残された選択肢を確認する

医師から「これ以上の改善は難しい」と説明された場合は、なぜそのように判断されたのかを確認しても問題ありません。

例えば、

  • 発症から時間が経過しているためか
  • 聴力検査に変化がみられないためか
  • 受けられる標準治療をすでに終えているためか
  • 難聴の程度や聴力型から判断しているのか

といった点です。

これは医師の説明を疑うということではなく、現在の状態を正しく理解し、今後の対応について納得して判断するための確認です。

また、治療後も聴力が変動している場合や、これまでと異なる症状が出ている場合は、突発性難聴以外の病気が隠れていないかも含めて、耳鼻咽喉科で再評価を受けることが大切です。

3-4.症状の変化を記録する

耳鳴りや耳閉感、音の響きなどの自覚症状は、日によって変化することがあります。

そのため、次のような内容を簡単に記録しておくと、経過を確認しやすくなります。

  • 耳鳴りの大きさ
  • 耳の詰まり
  • 音の響きや割れ
  • 会話の聞き取りやすさ
  • テレビや電話の聞こえ方
  • めまいやふらつき
  • 症状が強くなる時間帯や状況

ただし、症状を細かく確認し続けることで、かえって耳鳴りなどが気になってしまう方もいます。

毎日のわずかな違いに一喜一憂するのではなく、1週間単位などで全体の傾向を確認する程度で構いません。

3-5.難聴が残った場合の対策を考える

聴力の回復が難しいと判断された場合でも、できることがすべてなくなるわけではありません。

難聴の程度や生活上の困りごとに応じて、補聴器などの聴覚リハビリテーションを検討することがあります。

片耳の難聴であっても、騒がしい場所で会話が聞き取りにくい、音の方向が分かりにくい、仕事に支障があるといった問題が生じることがあります。

聴力を元に戻す治療と、残った難聴による生活上の負担を減らす対策は、分けて考えることが大切です。

耳鳴りが残っている場合も、音響療法や補聴器、生活上の対処などが検討されることがあります。

補聴器が必要かどうかは、聴力検査の数値だけでなく、日常生活でどの程度困っているかも含めて、耳鼻咽喉科や補聴器外来で相談します。

4.当院における鍼治療の考え方

4.当院における鍼治療の考え方

ここまでは、突発性難聴に関する一般的な医学情報を中心に説明してきました。

ここからは、当院の臨床経験と考え方です。

突発性難聴に対する鍼治療は、病院で行われる標準治療の代わりになるものではありません。

当院でも、発症後はまず耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査と治療を受けることが重要だと考えています。

そのうえで、病院での治療後も聴力や耳鳴り、耳閉感、音の響きなどが残っている場合に、鍼治療を選択肢の1つとして検討する方がいます。

当院では、発症から3ヶ月以内に鍼治療を開始し、その後、聴力または自覚症状に変化がみられた方を経験しています。

ただし、これは当院における臨床経験です。

鍼治療を受ければ必ず改善するという意味ではなく、自然経過や病院で受けた治療の影響と明確に区別できるものでもありません。

また、同じような症状や聴力であっても、経過には個人差があります。

当院では、発症からの期間、現在の聴力、これまでに受けた治療、自覚症状の変化などを確認したうえで、鍼治療を検討できる状態かを判断しています。

病院で受けられる治療が残されている時期であれば、鍼治療だけを優先するのではなく、耳鼻咽喉科で治療の適応を確認することが大切です。

5.まとめ

突発性難聴が治らない場合、もう改善する可能性はないと受け止めてしまうかもしれません。

突発性難聴は発症後の早い時期ほど回復しやすく、時間が経過するほど聴力の回復が難しくなる傾向があります。

しかし、病院での治療が終了した時点で、その後の変化が完全になくなるとは限りません。

治療終了後もしばらく聴力が変化するケースがあり、聴力が固定している場合でも、耳鳴り、耳閉感、音の響きなどの自覚症状が変化することがあります。

大切なのは、「治らないと言われた」という言葉だけで判断するのではなく、次の点を整理することです。

  • 発症からどのくらい経過しているか
  • 現在どの程度の難聴が残っているか
  • これまでにどのような治療を受けたか
  • 治療前後で聴力に変化があったか
  • 耳鳴りや耳閉感などの自覚症状が変化しているか
  • 医学的に検討できる治療が残されているか
  • 難聴が残った場合に生活上の負担を減らす方法があるか

今後の対応について医師と相談し、治療の目的や期待できることを理解したうえで、自分が納得できる選択をすることが大切です。

発症から3ヶ月以内で改善せずお悩みの方へ

発症から3ヶ月以内で改善せずお悩みの方へ

当院では、発症から3ヶ月以内で、病院の治療後も聴力低下や耳鳴り、耳閉感、音の響きなどにお悩みの方からの相談を受けています。

発症から時間が経つほど改善は難しくなるため、鍼治療を選択肢の1つとして検討されている場合は、できるだけ早い時期にご相談ください。

現在の聴力、発症からの期間、これまでに受けた治療などを確認したうえで、当院で対応できる状態かをご案内します。

鍼治療による改善を保証することはできませんが、

「病院での治療が終わった後にできることを探している」

「このまま治療を終えて後悔しないか迷っている」

という方は、ご相談ください。

参考文献

1.日本聴覚医学会.急性感音難聴診療の手引き 2018年版.金原出版.2018.

2.Yeo SW, et al. Hearing outcome of sudden sensorineural hearing loss: long-term follow-up. Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;136(2):221-224.

3.Na G, et al. Delayed Recovery in Idiopathic Sudden Sensorineural Hearing Loss. J Clin Med. 2022;11(4):1092.

4.Chandrasekhar SS, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss(Update). Otolaryngol Head Neck Surg. 2019;161(1_suppl):S1-S45.

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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