突発性難聴でイヤホンは使ってもいい?使用時の注意点とイヤホン難聴との違い

突発性難聴でイヤホンは使ってもいい?使用時の注意点とイヤホン難聴との違い

突発性難聴と診断され、「イヤホンを使うと回復に悪いのでは」と心配になる方もいるでしょう。

反対に、イヤホンを使った後に聞こえにくくなり、使いすぎが原因だったのか気になっている方もいると思います。

突発性難聴になったという理由だけで、イヤホンを一律に禁止する必要があるとは言い切れません。

大音量で長時間聞くことには、突発性難聴とは別の聴覚障害のリスクがあります。

また、急に聞こえ方が変わったときは、イヤホンのせいと決めつけず、耳鼻咽喉科で確認することが大切です。

この記事では、使用時の注意点と、片耳・骨伝導・ノイズキャンセリングの考え方、イヤホン難聴との違いを説明します。

1.突発性難聴でもイヤホンを一律に禁止する必要があるとは限らない

1.突発性難聴でもイヤホンを一律に禁止する必要があるとは限らない

突発性難聴の治療中に、通常の音量でイヤホンを使うことを一律に禁じれば聴力の回復率が上がる、という確立した治療基準はありません。

当院でも、突発性難聴の患者さんにイヤホンを一律に制限してはいません。

これは、どのような使い方でも問題がないという意味ではありません。

イヤホンを使うかどうかと、大きな音をどれだけ聞くかは分けて考える必要があります。

聞こえにくい側に合わせて音量を上げたり、大きな音を長時間聞き続けたりすることは避けましょう。

また、耳鳴りが強い、音が響く、普段の音までつらく感じるといったときに、無理をして使う必要もありません。

使うと不快になる場合はいったん外し、症状について主治医に相談してください。

診察の結果、医師から個別に使用を控えるよう指示されている場合は、その指示を優先します。

治療中の生活全般については、【突発性難聴でやってはいけないこと|治療中の生活と注意点】でも説明しています。

2.イヤホンの大音量・長時間使用は別の聴覚障害に注意する

2.イヤホンの大音量・長時間使用は別の聴覚障害に注意する

音が大きいほど、また聞く時間や頻度が増えるほど、音による聴覚障害のリスクは高まります。

突発性難聴と診断された方も、残っている聴力を守るために大きな音への曝露には注意が必要です。

世界保健機関(WHO)は、一般向けの安全な聴取方法として、端末の音量を最大値の60%以下に設定することや、音量を確認できる場合は平均80dB未満を目安にすることを示しています。

また、音への曝露の目安として、80dBなら週40時間、90dBなら週4時間を挙げています。

音が10dB大きくなると、同じように聞き続けられる時間は大幅に短くなります。

これらは突発性難聴の治療中に「ここまでなら回復に影響しない」と保証する数値ではありません。

同じ「音量60%」でも、端末やイヤホン、音源によって実際に耳へ届く音の大きさは変わります。

周囲が騒がしくて音量を上げたくなるときは、静かな場所へ移る、使用時間を短くする、途中で休むといった方法も考えてください。

3.イヤホンが突発性難聴の原因になるとは限らない

3.イヤホンが突発性難聴の原因になるとは限らない

イヤホンを使っていた時期に難聴が起きると、「自分の使い方が原因だったのでは」と考えるかもしれません。

しかし、使用した時期と発症した時期が重なっただけで、原因を特定することはできません。

突発性難聴は、突然生じた難聴について検査を行い、明らかな原因を特定できない場合に診断される病気です。

一方、非常に大きな音を浴びた後には、音響外傷など、音による別の聴覚障害が起こることもあります。

両者を含めて確認する必要があるため、「イヤホンが原因だから突発性難聴ではない」とも、「イヤホンは関係ない」とも、使用歴だけでは判断できません。

当院では、これまでに「イヤホンの使用が発症のきっかけだった」と訴えた例は把握していません。

ライブの後に急な難聴を発症し、突発性難聴と診断されて来院した方は1人いますが、ライブの音が原因だったかどうかは断定できません。

原因について詳しくは、【突発性難聴の原因は?ストレスやイヤホンとの関係も解説】をご覧ください。

発症直後は原因を自分で探し続けるより、聞こえの変化を耳鼻咽喉科で確認することが先です。

4.突発性難聴とイヤホン難聴は同じではない

4.突発性難聴とイヤホン難聴は同じではない

「イヤホン難聴」は一般に、大きな音を繰り返し聞くことなどに関連する騒音性難聴を指す言葉として使われます。

突発性難聴は、突然生じた聞こえの低下について、ほかの原因となる病気や音響外傷などを調べたうえで診断されます。

典型的な経過には違いがありますが、「少しずつ悪くなったからイヤホン難聴」「急に悪くなったから突発性難聴」と、経過だけで分けられるわけではありません。

強い音による障害でも急に聞こえにくくなることがあります。

また、耳垢や中耳の病気など、別の原因が隠れていることもあります。

診断には、症状が始まった時期や音への曝露を確認し、耳の診察と聴力検査などを行います。

イヤホンをよく使う方でも、急な難聴を使用歴だけで自己診断しないでください。

5.片耳・骨伝導・ノイズキャンセリングを使う場合の考え方

5.片耳・骨伝導・ノイズキャンセリングを使う場合の考え方

5-1.聞こえる側の片耳だけを使う場合

聞こえにくい耳を避け、聞こえる側だけにイヤホンをつければ、突発性難聴の回復に有利になるという根拠は確立していません。

また、聞こえる側の耳であっても、大音量・長時間の使用による音への曝露は生じます。

片耳で使う必要がある場合も、音量を上げすぎないことが基本です。

聞こえ方の左右差に合わせて使い方を迷う場合は、聴力検査の結果を踏まえて主治医に相談しましょう。

5-2.骨伝導イヤホンを使う場合

骨伝導イヤホンは、振動を通して音を内耳へ伝えます。

耳の穴をふさがない製品でも、内耳に音が届かないわけではありません。

「骨伝導なら耳に負担がかからず、突発性難聴の治療中も安全」とは判断できません。

5-3.ノイズキャンセリングを使う場合

ノイズキャンセリングは周囲の騒音を抑えるため、電車内などで音量を必要以上に上げずに聞く助けになることがあります。

WHOも安全な聴取方法の1つとして紹介しています。

ノイズキャンセリング自体が突発性難聴を治療するわけではなく、使えば大音量でも安全になるわけでもありません。

片耳、骨伝導、ノイズキャンセリングのどれを選ぶか以上に、実際に聞く音の大きさと時間、不快な症状が出ないかを確かめることが大切です。

特定の製品を、突発性難聴の患者さん向けとして医学的に推奨することもできません。

6.イヤホンで聞こえ方を確認しても聴力検査の代わりにはならない

6.イヤホンで聞こえ方を確認しても聴力検査の代わりにはならない

「右と左で同じ音に聞こえるか」「高い音はどこまで聞こえるか」を、イヤホンやヘッドホンで確かめたくなることがあります。

当院でも、どの高さの音を拾えるかをご自身で確認していると患者さんから聞いた経験があります。

左右差や音域による違いに気づくきっかけにはなるでしょう。

その結果は正式な聴力検査とは異なります。

聞こえ方は、イヤホンの左右差、耳への装着具合、再生する音源、端末の音量設定などにも左右されます。

「昨日よりこの音が聞こえた」だけで、聴力が改善したと判断することはできません。

聞こえない音を探して音量を上げたり、何度も繰り返して確認したりすることは避けてください。

変化が気になる場合は、いつから、どちらの耳で、どのように変わったかを医師に伝え、聴力検査などで客観的に確認することが大切です。

7.イヤホン使用後に急に聞こえにくくなったら耳鼻咽喉科へ

7.イヤホン使用後に急に聞こえにくくなったら耳鼻咽喉科へ

イヤホンを外した後も片耳が急に聞こえにくい、耳鳴りが始まった、耳が詰まった感じが続くといった場合は、「使いすぎだから休めば戻る」と決めつけないでください。

イヤホンを使っていたことだけでは原因を判断できず、突発性難聴を含む病気の確認が必要です。

突発性難聴では早期の診断と治療が大切です。

米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の診療ガイドラインは、急な難聴について、発症から14日以内のできるだけ早い時期に聴力検査を行うよう勧めています。

これは「14日間は様子を見てよい」という意味ではありません。

急な変化に気づいたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

病院では、症状が始まった時期や音にさらされた状況を確認し、耳の診察や聴力検査を行います。

受診までの間にイヤホンを使わないようにすることはできても、それを検査や治療の代わりにはできません。

受診を迷う症状については、【突発性難聴の初期症状|耳の違和感・つまり・耳鳴りを放置しないために】も参考にしてください。

8.病院の治療で改善が十分でない場合

8.病院の治療で改善が十分でない場合

突発性難聴と診断され、耳鼻咽喉科で治療を受けても、聞こえにくさや耳鳴りが残ることがあります。

その場合も、イヤホンをやめれば改善すると考えたり、自分の聞こえ方だけで経過を判断したりせず、聴力検査の結果を確認しながら主治医に相談してください。

発症からの時期によって検討される治療や、治療後に必要な支援は異なります。

当院では、耳鼻咽喉科での診断・治療を受けたうえで改善が十分でない方からの相談を受けています。

ご相談の際は、発症からの期間、これまでの治療、聴力検査の結果、耳鳴りやめまいなどの症状を確認します。

鍼治療によって聴力が回復すると保証するものではありません。

病院での治療や、その後の判断については、【突発性難聴の治し方|改善するために今できること】と【突発性難聴が治らない場合|改善の可能性と今できること】でも説明しています。

9.まとめ

突発性難聴になった後のイヤホンは、一律に禁止すべきものとは言い切れません。

聞こえにくさを補おうとして音量を上げることや、大きな音を長時間聞くことには注意が必要です。

耳鳴りや音の響きでつらい場合は無理に使わず、主治医の指示を優先してください。

イヤホンを使った後に急な聞こえの変化が起きた場合は、使用歴から原因を決めず、早めに耳鼻咽喉科で聴力を確認することが最も大切です。

イヤホンでのセルフチェックを、受診の判断材料だけにしないようにしましょう。

突発性難聴でお悩みの方へ

突発性難聴でお悩みの方へ

まずは耳鼻咽喉科で必要な診断と治療を受けてください。

そのうえで、「聞こえにくさや耳鳴りが残っている」「病院の治療と並行して鍼治療も検討したい」とお考えの方は、広島のなかいし鍼灸院へご相談ください。

特に発症から3ヶ月以内の方は、現在の治療状況も含めてお話を伺います。

LINEでは、発症した時期、これまでに受けた治療、現在困っている症状を、分かる範囲でお知らせください。

聴力検査の結果がお手元にあれば、その画像も添えていただくと、経過を確認する参考になります。

いただいた内容をもとに、当院での鍼治療の考え方や通院についてご案内します。

病院での治療や経過観察を大切にしながら、残っている症状について一緒に考えていきます。

鍼治療による聴力の回復や症状の改善を保証するものではありません。

参考文献

1.World Health Organization. Deafness and hearing loss: Safe listening. 2026.

https://www.who.int/news-room/questions-and-answers/item/deafness-and-hearing-loss-safe-listening

2.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.ヘッドホン・イヤホン難聴.

https://owned.jibika.or.jp/headphone

3.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.耳の病気:突発性難聴.

https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=20

4.American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery Foundation. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update), summary. 2019.

https://www.entnet.org/resource/aao-hnsf-updated-cpg-shl-press-release-fact-sheet/

5. Transmission of bone conducted sound: correlation between hearing perception and cochlear vibration.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24047594/

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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