突発性難聴は何時間以内に病院へ行くべき?治療開始の目安を解説

突発性難聴は何時間以内に病院へ行くべき?治療開始の目安を解説

「急に片耳が聞こえにくくなったけれど、今日中に病院へ行くべきなのか」「48時間以内と書いてある記事も、72時間以内と書いてある記事もある」と迷っていませんか。

突発性難聴には、24・48・72時間を過ぎた瞬間に治らなくなるという、すべての患者さんに共通する絶対的な締切はありません。

それでも、急な聞こえの低下に気づいたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

数日経っていても、時間だけを理由に「もう手遅れ」と諦める必要はありません。

まだ病院を受診していない方は、鍼治療から始めるのではなく、まず耳鼻咽喉科で診断と必要な治療を受けてください。

この記事では、受診や治療開始の目安、24・48・72時間という異なる数字が示される理由、すでに時間が経っている場合の行動を解説します。

1.突発性難聴が疑われたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科へ

1.突発性難聴が疑われたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科へ

突然片耳が聞こえにくくなった場合は、受診できる耳鼻咽喉科へ早めに連絡してください。

今日受診できる状況なら、数日間様子を見るよりも、今日の受診につなげることを勧めます。

気をつけたいのは、本人が「難聴」と感じていなくても、聴力が低下している場合があることです。

例えば、片耳が急に詰まった感じがする、電話の声が片側だけ聞き取りにくい、急に耳鳴りが始まり左右の聞こえ方が違う、といった変化が受診のきっかけになることもあります。

耳の詰まりや耳鳴りだけで突発性難聴と決まるわけではありません。

耳あかや中耳の病気など、別の原因によって聞こえにくくなる場合もあるため、耳の診察と聴力検査で確認する必要があります。

症状の印象だけで原因や重症度を判断することはできません。

受診時には、「いつから」「どちらの耳が」「どのように変わったか」を伝えてください。

朝起きたときに気づいたなど、発症した時刻が分からない場合は、最後に普段どおり聞こえていた時間と、異変に気づいた時間を伝えれば構いません。

正確な時刻が分からないことを理由に、受診を遅らせないようにしましょう。

夜間や休診日で受診先が分からない場合は、地域の救急相談窓口や医療機関へ連絡し、受診できる場所と時期を確認してください。

当院でも、まだ耳鼻咽喉科を受診していない方から急な聞こえにくさについて相談を受けた場合は、まず病院へ行くようお伝えしています。

発症時に現れやすい変化については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

【関連記事:突発性難聴の初期症状|耳の違和感・つまり・耳鳴りを放置しないために】

2.24時間・48時間・72時間の意味と違い

2.24時間・48時間・72時間の意味と違い

インターネットで受診時期を調べると、異なる数字が出てくることがあります。

理解するためには、その数字が「早く受診するための目安」なのか、「研究で患者さんを分けた区切り」なのか、「診療ガイドラインの治療時期」なのかを分けて考えることが大切です。

2-1.24時間は絶対的な締切ではない

「当日中」「24時間以内」という表現は、急な聞こえの変化を放置せず、早期受診につなげる目安として理解してください。

一方で、「24時間以内なら治る」「25時間経ったら治らない」と判断できるわけではありません。

主要な診療ガイドラインでも、すべての患者さんの回復可能性を24時間で区切る基準は示されていません。

受診を考えるときは、残り時間を計算することよりも、今受診できる医療機関を探すことが重要です。

すでに24時間以上経っている方も、そのことを理由に受診を諦めないでください。

2-2.48時間・72時間と研究上の区切り

48時間や72時間についても、「その時点を過ぎると回復できなくなる」と一律に判断する根拠にはなりません。

早期治療の研究では、治療開始までの日数で患者さんを分け、改善の程度を比較することがあります。

例えば国内の原著論文では、ステロイド大量療法とPGE1という薬を併用した患者さんを調べ、発症3日以内に治療を始めた群の方が、4~7日に始めた群より治療成績が良かったと報告しています。

これは早期治療の大切さを支える情報ですが、特定の治療を受けた患者さんの集団についての結果です。

「72時間を1分でも過ぎたら治療が効かない」という個人の締切を証明した研究ではありません。

また、この3日という区切りから、48時間が絶対的な期限だと読み替えることもできません。

「72時間を過ぎても可能性がある」ことと、「72時間まで待ってよい」ことは別です。

数字に余裕があるように見えても、急な聴力低下に気づいた時点で受診を進めてください。

2-3.ガイドラインは検査・初期治療・追加治療を分けている

米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会の2019年版ガイドラインでは、次のように目的ごとに異なる時間枠が示されています。

目的

示されている時間の目安

意味

診断のための聴力検査

可能な限り早く、発症14日以内

聴力低下の状態を確認し、診断につなげる

初期治療としてのステロイド

発症2週間以内

初期治療の選択肢として提示できる

改善不十分な場合の鼓室内ステロイド

発症2~6週間

回復が十分でない場合の追加治療として提示する

鼓室内ステロイドとは、鼓膜を通して中耳へ薬を入れる治療です。

初期治療で回復が十分でない場合に行う追加治療は、「救済治療」と呼ばれます。

表の「14日以内」「2週間以内」は、その日まで受診や治療を待ってよいという意味ではありません。

診断する時期、最初の治療を検討する時期、次の治療を検討する時期が、それぞれ異なることを示しています。

3.治療やステロイドは早期に検討する

3.治療やステロイドは早期に検討する

受診時期と同じように、治療開始にも「すべての人が何時間以内でなければならない」という共通の境界はありません。

必要なのは、早く診断を受け、その状態に合った治療を医師と検討することです。

突発性難聴の初期治療では、ステロイドが広く使われています。

米国の診療ガイドラインでも、発症2週間以内の初期治療の選択肢とされています。

ステロイドは炎症を抑える薬ですが、突発性難聴の原因や、どの患者さんにどの程度効果があるかについては、解明されていない点があります。

そのため、全員に同じ方法で投与すれば必ず回復するという治療ではありません。

医師は聴力検査の結果、発症からの期間、持病などを踏まえて、使用するかどうかや投与方法を判断します。

「点滴を受けられる病院を探してから受診しよう」と考えて、最初の診察が遅れてしまうことは避けてください。

まず耳鼻咽喉科で評価を受け、必要に応じて紹介や治療方法の相談を進めましょう。

以前処方された薬を自己判断で飲み始めることも勧められません。

すでに治療を始めている場合は、処方された薬を指示どおり使用し、次の聴力検査の予定を確認してください。

改善が十分でなければ、追加治療の対象になるかを主治医へ早めに相談することが大切です。

薬の効果や副作用、投与方法については、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴のステロイド治療|効果や副作用を解説】

追加治療としての耳への注射については、以下の関連記事で説明しています。

【関連記事:突発性難聴の鼓室内ステロイド|効果や副作用を解説】

4.すでに数日経っていても手遅れと決めつけない

4.すでに数日経っていても手遅れと決めつけない

「耳の詰まりだけだったので様子を見ていた」「仕事があり、数日受診できなかった」という場合でも、今から耳鼻咽喉科を受診してください。

発症後の日数は治療を考えるうえで重要ですが、それだけで治療の可否や回復の程度が決まるわけではありません。

現在どの程度聞こえているか、どの音域の聴力が低下しているか、めまいを伴うか、これまでに治療を受けたかなどを確認して判断します。

まだ未受診なら、まず診断を受けることが先です。

すでに診断されていて、治療開始や追加治療について迷っている場合は、主治医へ「発症から何日経っているが、今検討できる治療はあるか」と確認してください。

当院の臨床上の経験では、病院での治療開始が発症から数日~1週間ほど経っていても、その後に聴力が改善した方はいます。

初期の状態による違いもあり、これは当院に来院された方についての経験です。

同じ日数が経ったすべての方に、同じ回復を約束するものではありません。

早く受診することは大切ですが、過ぎた時間を悔やむだけでは、今の状態を評価できません。

「もう遅いかもしれない」と迷っているときこそ、現在の聴力と治療の選択肢を確認しましょう。

発症からさらに時間が経った場合の考え方については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

【関連記事:突発性難聴はいつから手遅れ?1週間・2週間・1ヶ月後の治療と回復を解説】

5.早く治療を始めても必ず治るわけではない

5.早く治療を始めても必ず治るわけではない

早期受診を勧められると、「すぐに治療すれば元どおりになるはず」と期待する方もいると思います。

早く治療につなげることは大切ですが、それだけで回復が保証されるわけではありません。

突発性難聴の回復には、治療開始までの時間に加えて、初診時の聴力低下の程度、めまいの有無、年齢なども関係します。

研究でも、これらの要因と治療後の回復との関連が報告されています。

こうした要因は、患者さんの集団でみられる傾向です。

例えば、難聴が重い、めまいがある、年齢が高いという理由だけで、個人の回復を断定することはできません。

当院に来院された方の中にも、発症から24~48時間以内にステロイド治療を始めたものの、十分な聴力改善が得られなかった方はいます。

この経験からも、治療を始めた時間だけで結果を説明することはできないと考えています。

早く受診したのに改善しない場合も、「受診が間違っていた」「病院治療を受ける意味がなかった」と結論づける必要はありません。

次の聴力検査で変化を確認し、追加治療を検討できるかを主治医と相談してください。

自覚的な聞こえ方だけでは小さな変化を捉えにくい場合もあるため、治療前後の聴力検査を比較することが、今後の方針を考える手がかりになります。

6.病院治療と当院の鍼治療を考えるタイミング

6.病院治療と当院の鍼治療を考えるタイミング

急な聞こえにくさがあり、まだ耳鼻咽喉科を受診していない方は、まず病院で診断と必要な治療を受けてください。

当院への相談や鍼治療の予約を理由に、病院受診を後回しにしないことが大切です。

そのうえで、病院治療中や治療終了後も聞こえにくさ・耳鳴りが残り、鍼治療について知りたい方は、補完的な選択肢として相談できます。

鍼治療は病院での診断や標準治療に代わるものではなく、聴力の回復を保証するものでもありません。

当院では、病院治療と併用する方は発症から2週間前後、病院での治療が終了してから来院する方は1ヶ月以降が多い傾向があります。

これは実際の来院時期についての当院の印象であり、その時期まで待つことを勧めているわけではありません。

また、当院では、聴力改善を目的とする相談について、発症3ヶ月以内の時期を重視しています。

これは当院の診療方針です。

医学的に「3ヶ月以内なら鍼で治る」「3ヶ月を過ぎると一切改善しない」という境界が確立しているという意味ではありません。

病院治療の改善が十分でない場合は、追加治療の適応や再検査の予定を主治医へ確認しながら、鍼治療を併用するかどうかを考えてください。

病院の薬を自己判断で中止したり、必要な通院をやめたりすることは避けましょう。

7.まとめ

突発性難聴が疑われるときに大切なのは、「何時間以内なら間に合うか」を調べ続けることよりも、今の聞こえを早く確認することです。

24・48・72時間という数字は、回復できる人とできない人を分ける絶対的な線ではありません。

まだ病院を受診していない方は、急な片耳の聞こえにくさや耳の詰まりに気づいた時点で、耳鼻咽喉科へ連絡してください。

数日経っていても、時間だけを理由に諦めず、診断と治療の相談を進めましょう。

すでに治療中の方は、治療を始めた時間だけで結果を判断せず、聴力検査で経過を確認し、改善が十分でない場合の選択肢を主治医と相談することが次の行動になります。

病院治療中・治療後も症状が残る方へ

病院治療中・治療後も症状が残る方へ

広島市中区のなかいし鍼灸院では、突発性難聴と診断され、病院治療を受けている方や、治療後も聞こえにくさ・耳鳴りが残る方からの相談を受けています。

「病院治療と鍼治療を併用するか迷っている」「治療が終了したが、今の状態で相談できるか知りたい」という方は、発症した日、これまでに受けた治療、現在残っている症状をお知らせください。

聴力検査の結果がある場合は、相談時にその内容もお伝えいただくと、経過を確認しやすくなります。

当院では、聴力改善を目的とする場合、発症3ヶ月以内の時期を重視して相談を受けています。

鍼治療の効果には個人差があり、回復を保証するものではありませんが、病院治療の状況を踏まえて、当院での対応についてご説明します。

急に聞こえにくくなり、まだ病院を受診していない方は、LINEの返信を待たず、まず耳鼻咽喉科を受診してください。

参考文献

1.日本聴覚医学会 編.『急性感音難聴診療の手引き 2018年版』.金原出版,2018.

日本聴覚医学会:関連ガイドライン・公開資料

2.Chandrasekhar SS, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update). Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;161(1_suppl):S1–S45.

https://doi.org/10.1177/0194599819859885

学会公式:推奨事項の概要

3.窪田俊憲,ほか.突発性難聴に対するステロイド大量・PGE1併用療法の早期治療開始による効果.日本耳鼻咽喉科学会会報.2012;115(5):540–545.

https://doi.org/10.3950/jibiinkoka.115.540

4.原田博文,ほか.突発性難聴の予後 ロジスティック回帰分析による検討.Audiology Japan.2000;43(2):93–97.

https://doi.org/10.4295/audiology.43.93

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

耳鳴り・突発性難聴について詳しくはこちら

この記事に関する関連記事

なかいし鍼灸院