突発性難聴が1週間治らない原因と今後の対応

突発性難聴が1週間治らない原因と今後の対応

突発性難聴と診断されて1週間が経ったものの、聞こえがほとんど改善せず、

「このまま治らないのだろうか。」

「もう少し様子を見ても大丈夫なのだろうか。」

「ほかに受けられる治療はないのだろうか。」

と不安になっているのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、発症から1週間で改善を感じられなくても、その後に聴力が回復する可能性は残されています。

ただし、1週間後の聴力変化は、その後の経過を予測する材料の1つです。

この時点で自己判断による経過観察を続けるのではなく、再度聴力検査を受け、現在の治療内容や今後の治療方針を主治医に確認することが大切です。

この記事では、突発性難聴が1週間で改善しない背景、1週間後の状態と予後の関係、今後確認したい治療の選択肢について解説します。

1.突発性難聴が1週間で改善しない背景

1.突発性難聴が1週間治らない原因

突発性難聴は、治療を開始してから聴力が回復するまでの経過に個人差があります。

数日で聞こえ方の変化を感じる方もいれば、1週間経ってもほとんど変化がなく、その後2~4週間ほどかけて徐々に改善する方もいます。

そのため、1週間で改善しないからといって、治療が失敗した、あるいは今後も治らないと判断することはできません。

一方で、1週間経っても改善しない背景には、次のような要因が関係している可能性があります。

  • 発症時の難聴が高度である
  • 広い周波数で聴力が低下している
  • めまいを伴っている
  • 発症から治療開始までに時間が経っている
  • 年齢や持病などが影響している

特に、発症時の難聴が重い場合は、軽度の場合に比べて改善までに時間がかかり、十分に聴力が戻らない傾向があります。

また、めまいを伴う場合や、発症から治療開始までに時間が経っている場合も、一般的に予後へ影響する要因とされています。

突発性難聴の発症には、内耳の血流障害、ウイルス感染、炎症などが関係しているという説があります。

しかし、現在も明確な原因は分かっておらず、一人ひとりの発症原因や、1週間で改善しない理由を特定できるケースは多くありません。

同じようにステロイド治療を受けても経過が異なるのは、発症時の聴力や内耳の状態、治療開始時期などが患者ごとに異なるためと考えられます。

2.発症1週間後の改善と予後の関係

2.発症1週間後の改善と予後の関係

発症から1週間ほど経った時点の聴力変化は、その後の経過を予測する指標の1つになります。

Shimanukiらの研究では、治療開始後6~7日までの聴力改善が、最終的な聴力予後を予測する指標になり得ると報告されています。

早い段階で聴力が改善した方ほど、最終的な回復も良好な傾向があり、1週間経っても改善が乏しい方では、回復に時間がかかったり、難聴が残ったりする可能性が高くなるという結果です。

ただし、この研究結果は、1週間で改善しなければ、その後は回復しないという意味ではありません。

発症から1週間で十分な改善がみられなくても、その後2~4週間ほどかけて聴力が改善することがあります。

また、自分では聞こえ方が変わっていないと感じていても、聴力検査では一部の周波数が改善している場合があります。

反対に、少し聞こえやすくなったと感じても、聴力検査では難聴が残っていることもあります。

耳鳴りや耳の詰まり、音の響きなどの自覚症状と、聴力検査の結果が同じように変化するとは限りません。

そのため、1週間後の状態を自覚症状だけで判断せず、再度聴力検査を受け、発症時の結果と比較することが重要です。

1週間後の聴力は、回復を諦めるための基準ではありません。現在の経過を確認し、今後の治療方針を考えるための判断材料です。

3.突発性難聴が1週間治らない場合の対応

3.突発性難聴が1週間治らない場合の対応

発症から1週間経っても改善を感じられない場合は、自己判断で治療を中断したり、そのまま長期間様子を見たりせず、耳鼻咽喉科で現在の状態を確認してください。

3-1.聴力の変化を確認する

まず確認したいのは、発症時と1週間後の聴力検査の違いです。

聴力検査では、次のような点を確認します。

  • 全体的な聴力がどの程度変化しているか
  • どの周波数が改善しているか
  • 難聴が残っている周波数はどこか
  • 反対側の耳との聴力差がどの程度あるか

自覚的な変化が乏しくても、一部の周波数では改善していることがあります。今後の治療方針を考えるためにも、聴力検査による客観的な確認が必要です。

3-2.現在の治療内容を確認する

発症後すぐに耳鼻咽喉科を受診し、ステロイド治療を開始している場合は、1週間で大きな変化がなくても、その後に改善する可能性があります。

自己判断で薬を減らしたり中断したりせず、治療の継続や終了について主治医の指示を受けてください。

特に、次のような場合は今後の治療方針を早めに確認することが大切です。

  • 発症から数日経って治療を開始した
  • ステロイド治療後も聴力にほとんど変化がない
  • めまいを伴っている
  • 高度難聴と診断されている
  • 聴力がさらに低下している
  • 治療内容や今後の予定について十分な説明を受けていない

経過や検査結果によっては、突発性難聴以外の病気を除外するため、追加の検査が検討されることもあります。

3-3.追加治療について相談する

初期治療で十分な改善がみられない場合は、経過や難聴の程度に応じて、鼓室内ステロイド注入療法が検討されることがあります。

鼓室内ステロイド注入療法は、鼓膜から中耳へステロイドを注入し、内耳へ薬を届けることを目的とした治療です。

全身へのステロイド投与が難しい場合や、初期治療で十分な改善が得られなかった場合などに検討されます。

また、発症から比較的早い時期であれば、ステロイド治療と高気圧酸素療法の併用が選択肢になる場合もあります。

ただし、これらの治療は、1週間で改善しないすべての方に必要なわけではありません。難聴の程度、治療開始時期、持病、これまでに受けた治療などを踏まえて、耳鼻咽喉科の医師が適応を判断します。

すべての医療機関で受けられる治療ではないため、現在通院している耳鼻咽喉科で対応していない場合は、治療を受けられる医療機関への紹介が可能か相談してみてください。

3-4.別の症状が現れた場合は早めに受診する

突発性難聴に加えて、次のような症状が現れた場合は、通常の診察日を待たず、早めに医療機関を受診してください。

  • ろれつが回らない
  • 顔や手足にしびれや力の入りにくさがある
  • 激しい頭痛がある
  • まっすぐ歩けない
  • 意識がもうろうとする

突発的な難聴やめまいが、まれに脳の病気に伴って現れることがあるためです。

4.鍼治療を検討する場合

4.鍼治療を検討する場合

病院で標準的な治療を受けても十分な改善がみられない場合、病院での治療を続けながら鍼治療の併用を検討する方もいます。

ただし、突発性難聴に対する鍼治療の効果は、現時点で確立しているとは言えません。

鍼治療は、耳鼻咽喉科で行われる検査や標準治療の代わりになるものではありません。

当院にも、

「病院の治療を受けているが、ほかにできることも検討したい。」

「聞こえにくさや耳鳴りが残っている。」

と相談に来られる方がいます。

当院の臨床では、発症から比較的早い時期に鍼治療を開始した方で、聴力や耳鳴り、耳の詰まりなどに変化がみられることがあります。

一方で、発症から1ヶ月、2ヶ月と時間が経ってから来院された場合は、早い時期に来院された場合と比べて改善が難しい傾向も経験しています。

これは当院に来院された患者の経過から得た臨床的な見解であり、鍼治療を早く開始すれば必ず改善するという意味ではありません。

また、鍼治療による変化と、病院での治療や自然経過による変化を完全に分けて判断することも困難です。

まずは耳鼻咽喉科で必要な検査と治療を受け、現在の聴力や治療内容を確認してください。

そのうえで十分な改善がみられず、ほかの方法も検討したい場合は、鍼治療の併用も選択肢の1つです。

5.まとめ

突発性難聴が1週間治らなくても、その後に聴力が回復する可能性は残されています。

一方で、発症から1週間後の聴力変化は、その後の経過を考えるうえで重要な判断材料です。

この記事のポイントは、次のとおりです。

  • 1週間で改善しなくても、治療が失敗したとは限らない
  • 発症時の難聴の程度やめまいの有無などが予後に関係する
  • 1週間後の聴力変化は、最終的な予後を予測する指標の1つになる
  • 自覚症状だけで判断せず、聴力検査で変化を確認する
  • 自己判断で治療を中断せず、今後の治療方針を主治医に確認する
  • 経過によっては、鼓室内ステロイド注入療法や高気圧酸素療法が検討される
  • 病院での治療を受けたうえで、鍼治療の併用を検討する方もいる

1週間で改善していないからといって、今後の回復を諦める必要はありません。

ただし、何も確認しないまま待ち続けるのではなく、まずは耳鼻咽喉科で聴力の変化と現在の治療内容を確認することが大切です。

そのうえで、今の段階で検討できる治療について主治医と相談し、自分が納得できる治療方針を選んでください。

発症から2週間経過した場合の見通しや対応については、こちらの記事「突発性難聴が2週間治らない場合|回復の可能性と今後の治療」で詳しく解説しています。

突発性難聴が1週間治らずお悩みの方へ

突発性難聴が1週間治らずお悩みの方へ
  • 発症から1週間経っても改善がみられない
  • 病院で治療を受けているが、聞こえ方が変わらない
  • このまま様子を見るだけでよいのか不安
  • 病院での治療と並行して、ほかにできることも検討したい

このような方は、一度当院へご相談ください。

当院では、耳鼻咽喉科での治療内容や聴力検査の結果を確認したうえで、現在の状態や当院で対応できることについてご説明しています。

特に発症から3ヶ月以内で、病院での治療を受けながら改善を求めている方は、現在の状況をご相談ください。

鍼治療で必ず改善するわけではありませんが、少しでも後悔のない治療を選ぶための選択肢の1つとしてご検討ください。

参考文献

1. 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会. 急性感音難聴診療ガイドライン 2025年版.

2. 日本聴覚医学会. 急性感音難聴診療の手引き 2018年版.

3. Shimanuki MN, Shinden S, Oishi N, et al. Early hearing improvement predicts the prognosis of idiopathic sudden sensorineural hearing loss. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2021;278(11):4251-4258.

4. Mattox DE, Simmons FB. Natural history of sudden sensorineural hearing loss. Ann Otol Rhinol Laryngol. 1977;86(4 Pt 1):463-480.

5. Byl FM Jr. Sudden hearing loss: eight years’ experience and suggested prognostic table. Laryngoscope. 1984;94(5 Pt 1):647-661.

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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