突発性難聴は難病指定されている?医療費助成・手続きについて解説

突発性難聴は難病指定されている?医療費助成・手続きについて解説

突発性難聴と診断され、「難病に指定されているのだろうか」「医療費の助成を受けるために、何か申請できるのだろうか」と調べている方もいると思います。

2026年10月現在、突発性難聴は国の指定難病には含まれていません。

そのため、突発性難聴の指定難病番号や、国の指定難病として医療費助成を申請する手続きはありません。

一方、静岡県や名古屋市のように、自治体独自の制度で突発性難聴の医療費を助成している地域はあります。

また、指定難病に含まれていないことは、症状が軽いことや、必ず治ることを意味しません。

制度上の扱いと、聴力の回復の見通しは分けて考える必要があります。

この記事では、突発性難聴の難病指定の有無、「難病」と「指定難病」の違い、医療費助成や申請手続きの確認方法、治療について大切にしたい考え方を解説します。

1.突発性難聴は国の指定難病ではない

1.突発性難聴は国の指定難病ではない

1-1.2026年現在の指定難病は348疾病

指定難病とは、難病法に基づき、厚生労働大臣が指定する病気のことです。

医療費助成などの制度で使われる区分であり、病気が治りにくいかどうかという印象だけで決まるものではありません。

厚生労働省が公表している2026年4月時点の指定難病は348疾病です。

2026年10月現在、この一覧に突発性難聴は含まれておらず、突発性難聴に対応する指定難病番号もありません。

「原因が分からない病気だから指定難病ではないか」と考えることもあるかもしれません。

しかし、原因が明らかでないことだけで、自動的に指定難病になるわけではありません。

指定には複数の要件があり、国が制度上の対象として定める必要があります。

1-2.指定難病になっている難聴・内耳疾患とは別

難聴に関係する病気のなかには、国の指定難病に含まれているものがあります。

例えば、次の2つです。

指定難病番号

病名

304

若年発症型両側性感音難聴

305

遅発性内リンパ水腫

これらは、いずれも突発性難聴とは別の病気です。

厚生労働省の一覧にも、それぞれ独立した病名で掲載されています。

検索結果に「難聴」「指定難病304」「指定難病305」と表示されても、突発性難聴にその番号を使えるわけではありません。

聞こえにくさやめまいといった症状が共通していても、制度の対象になるかどうかは、医師が診断した病名と、その病気の認定基準に沿って判断されます。

自分の診断名が分からない場合は、検索結果から別の病気に当てはめるのではなく、まず主治医に確認しましょう。

2.「難病」と「指定難病」は同じ意味ではない

2.「難病」と「指定難病」は同じ意味ではない

2-1.指定難病は制度上の区分

日常的に使われる「難病」という言葉には、原因が分からない病気や、治療が難しい病気といった広い意味があります。

一方、「指定難病」は、法律に基づいて国が定める制度上の名称です。

指定難病の検討では、発病の仕組みが明らかでないこと、治療方法が確立していないこと、長期の療養を必要とすることに加え、患者数や客観的な診断基準などの要件が確認されます。

「治りにくい」「原因不明」という説明だけで、国の指定難病に該当すると判断することはできません。

医療費助成について調べるときは、病気の説明に「難病」と書かれているかよりも、どの制度の対象として掲載されているかを確認することが大切です。

2-2.突発性難聴が「難病」と表現される情報もある

突発性難聴について調べると、「難病」や「特定疾患」という言葉を使った情報が見つかることがあります。

その言葉だけを見ると、国の指定難病に含まれているように感じるかもしれません。

こうした表現には、治療が難しい病気という意味で使われている場合や、自治体独自の医療費助成制度を説明している場合があります。

例えば、静岡県では突発性難聴を県が指定する疾患として、特定疾患医療費助成の対象にしています。

これは、国の指定難病とは別の扱いです。

情報を読む際は、「国の制度なのか」「自治体の制度なのか」「いつの情報なのか」を確認しましょう。

国の指定難病に該当するかを調べる場合は、厚生労働省の現行一覧が確認の基準になります。

3.難病指定の手続きと番号

3.難病指定の手続きと番号

3-1.国の指定難病として申請する手続きはない

突発性難聴は国の指定難病に含まれていないため、突発性難聴という診断名で、国の指定難病医療費助成の受給者証を申請する手続きはありません。

「診断書を用意すれば申請できるのではないか」「難病指定医のいる病院へ行けば対象になるのではないか」と考えても、申請書類をそろえることで対象外の病気が指定難病に変わるわけではありません。

一方、国の指定難病として申請できないことと、利用できる制度が何もないことは別です。

自治体独自の助成がある地域では、その制度に沿った申請や認定が必要になります。

手続きを調べる場合は、最初に居住地域で突発性難聴を対象とする助成制度があるかを確認し、その後に必要書類や申請先を調べると整理しやすくなります。

3-2.突発性難聴の指定難病番号もない

指定難病の申請について調べていると、病名に対応する番号を求める情報が出てくることがあります。

しかし、突発性難聴には国の指定難病番号がありません。

1章で紹介した304は若年発症型両側性感音難聴、305は遅発性内リンパ水腫の番号です。

突発性難聴の番号として記入するものではありません。

また、自治体の書類に病気や制度を管理する番号が記載されていても、それが国の指定難病番号とは限りません。

書類の記入で迷った場合は、似た病名の番号を使わず、その書類を扱う窓口へ確認してください。

4.医療費助成は自治体によって異なる

4.医療費助成は自治体によって異なる

4-1.国の指定難病医療費助成の対象ではない

国の指定難病医療費助成は、指定難病にかかり、診断基準や重症度などの一定の条件を満たす方を対象とする制度です。

突発性難聴は指定難病に含まれていないため、この制度による助成の対象ではありません。

広島県の難病医療費助成制度も、厚生労働大臣が定める指定難病を対象としています。

広島県内で突発性難聴と診断された場合も、その診断名だけで、この助成を受けることはできません。

なお、広島市にお住まいの方の制度窓口は広島市です。

ここで区別したいのは、医療費助成と健康保険の扱いです。

国の指定難病に含まれていないことを理由に、病院で受ける治療がすべて自費になるという意味ではありません。

指定難病の助成対象かどうかと、個々の診療に健康保険が適用されるかどうかは、別の確認事項です。

4-2.自治体独自に助成する地域がある

国の指定難病医療費助成とは別に、自治体が独自に突発性難聴の医療費を助成している地域があります。

2026年10月現在、公的な案内で確認できる例が静岡県と名古屋市です。

地域

制度・確認のポイント

静岡県

特定疾患医療費助成の対象に、県が指定する疾患として突発性難聴が含まれています。助成には申請と支給認定が必要です。

名古屋市

名古屋市特定疾患医療給付事業で突発性難聴を対象としています。継続して1年以上市内に住所があることなどの条件があり、委託医療機関での治療等が対象です。

静岡県では県単独の制度に対応した申請書類が用意されています。

名古屋市では委託病院から市へ申請する扱いとなっており、同じ突発性難聴の助成でも、手続きの進め方は共通ではありません。

対象の地域に住んでいれば、誰でも自動的に助成されるわけではありません。

居住条件、病気の認定基準、対象となる医療機関や治療、助成期間などを確認する必要があります。

東京都・神奈川県・千葉県など、ほかの地域について調べる場合も、別の自治体の制度をそのまま当てはめないようにしましょう。

居住する自治体の公式サイトで「突発性難聴 医療費助成」「突発性難聴 特定疾患」と検索し、次の点を確認してください。

  • 現在、突発性難聴を対象とする制度があるか
  • 自分の住所や診断内容が対象条件に合うか
  • 通院先や受けている治療が助成の対象になるか
  • 申請期限、必要書類、申請先はどこか

見つからない場合は、自治体の医療費助成・難病担当窓口や保健所へ「突発性難聴を対象にした独自の助成制度はありますか」と尋ねると、確認したい内容が伝わりやすくなります。

制度は変更されることがあるため、過去の体験談だけで判断せず、申請時点の公式情報を確認しましょう。

5.難病指定と障害者手帳などの制度は別

5.難病指定と障害者手帳などの制度は別

「指定難病ではないなら、聞こえにくさが残っても公的な支援は受けられないのだろうか」と不安になる方もいるかもしれません。

指定難病の医療費助成と、聴覚障害による身体障害者手帳は別の制度です。

手帳については、突発性難聴という診断名だけで決まるのではなく、残っている聴覚障害の程度が認定基準に該当するかなどによって判断されます。

そのため、指定難病ではないから手帳の対象外になるとは限らず、反対に、突発性難聴と診断されたから必ず手帳を取得できるわけでもありません。

聞こえにくさが残り、生活や仕事に支障がある場合は、耳鼻咽喉科で聴力検査の結果を確認し、手帳の対象になる可能性があるかを相談してください。

制度の手続きについては、お住まいの自治体の障害福祉窓口で確認できます。

手帳の認定基準や申請については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

【関連記事:突発性難聴で障害者手帳は取れる?何級になるのか・片耳の場合も解説】

6.難病指定されていないことと治りやすさは別

6.難病指定されていないことと治りやすさは別

6-1.指定難病の有無で回復の見通しは決まらない

指定難病に含まれていないと分かり、「それなら治りやすい病気なのだろう」と受け取る方もいるかもしれません。

逆に、「難病」という表現を見て、回復は期待できないと思ってしまうこともあります。

指定難病かどうかは、個人の聴力がどこまで回復するかを決める基準ではありません。

突発性難聴の回復の見通しには、発症から治療開始までの時間、最初の難聴の程度、めまいの有無など、複数の要素が関係します。

国内の全国調査でも、これらと聴力の回復との関連が報告されています。

指定の有無だけで安心したり、回復を諦めたりするのではなく、聴力検査の結果と治療後の変化をもとに、主治医と今後の方針を確認することが大切です。

回復の可能性や経過の見方については、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴は治るのか?症状と経過から改善の可能性を解説】

6-2.当院での難病指定に関する相談状況

当院では、これまで突発性難聴の患者さんから「難病ですか」「医療費助成を受けられますか」「指定難病だと思っていました」といった相談を受けた経験はありません。

また、突発性難聴について自治体の助成を利用していると確認できた患者さんや、当院から助成制度を案内した経験もありません。

これは当院で把握している範囲の来院状況であり、ほかの地域に助成制度がないことや、制度を調べる必要がないことを意味するものではありません。

当院の来院患者さんでは、発症から時間が経つと改善が難しくなることを理解したうえで、相談に来られている方が多い印象があります。

これは当院の臨床上の印象であり、すべての突発性難聴患者さんに共通する傾向として述べているものではありません。

制度についての確認と、現在の聞こえや治療経過についての相談は、それぞれ必要な窓口で進めることが大切だと考えています。

7.急な聞こえの低下は耳鼻咽喉科受診を優先する

7.急な聞こえの低下は耳鼻咽喉科受診を優先する

難病指定や医療費助成を調べることは、治療費への不安を整理するうえで役立ちます。

しかし、急に聞こえにくくなったばかりで、まだ病院を受診していない場合は、制度の確認を終えるまで受診を待たないようにしてください。

急な聞こえの低下には突発性難聴以外の病気もあり、自覚症状だけでは判断できません。

耳鼻咽喉科で診察や聴力検査を受け、何が起きているかを確認する必要があります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、早期の受診と検査、治療につなげることの大切さを説明しています。

「指定難病ではないから様子を見てもよい」「助成が使えるか分かってから治療を始めよう」と考えず、受診と制度の確認を並行して進めましょう。

当院でも、発症直後で耳鼻咽喉科を受診していない方には、まず病院での診察と治療を受けるようご案内します。

病院治療後も改善が十分でない場合は、聴力を再評価してもらい、追加の治療や今後の対応について主治医と相談することが大切です。

治療の選択肢については、以下の関連記事で詳しく説明しています。

【関連記事:突発性難聴の治療|ステロイド・高気圧酸素療法・鍼治療を解説】

8.まとめ

突発性難聴について制度を確認するときは、国の指定難病、自治体独自の医療費助成、障害者手帳を分けて考えることが大切です。

2026年10月現在、突発性難聴は国の指定難病には含まれず、指定難病番号や国の助成申請手続きはありません。

一方、自治体独自の助成制度がある地域もあるため、医療費については居住地域の公式情報と窓口で確認してください。

指定難病ではないことは、治りやすさを保証するものではありません。

回復の見通しは、発症からの経過や聴力検査の結果をもとに主治医と確認しましょう。

今、急に聞こえにくくなっている方は、制度を調べ続けるよりも耳鼻咽喉科の受診を優先してください。

すでに治療を受けている方は、必要な医療を続けながら、利用できる制度を確認していくとよいでしょう。

病院治療後も聞こえにくさ・耳鳴りが残っている方へ

病院治療後も聞こえにくさ・耳鳴りが残っている方へ

広島市中区のなかいし鍼灸院では、耳鼻咽喉科で突発性難聴と診断され、病院治療後も聞こえにくさ、耳鳴り、耳の詰まり感などが残っている方から、鍼治療についての相談を受け付けています。

特に発症から3ヶ月以内で、改善が十分でなく、今後の対応を考えている方は、現在の症状についてご相談ください。

発症時期、これまでに受けた病院治療、聴力検査の結果、症状の変化を伺い、当院での対応についてご説明します。

鍼治療による聴力の回復を保証することはできません。

病院での診察や必要な治療を大切にしながら、ご自身の状態に合った選択肢を検討するための相談としてご利用ください。

LINEでは、発症した時期、現在困っている症状、病院で受けた治療をお知らせいただくと、ご相談を進めやすくなります。

参考文献

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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