突発性難聴はいつから手遅れ?1週間・2週間・1ヶ月後の治療と回復を解説

突発性難聴はいつから手遅れ?1週間・2週間・1ヶ月後の治療と回復を解説

「聞こえにくくなってから1週間経った。受診が遅れて、もう手遅れなのだろうか」

「病院での治療が終わったけれど、今からできることは残っているのだろうか」

突発性難聴では、発症からの時間が気になり、不安になることがあります。

早期の診断・治療は重要ですが、「発症から○日を過ぎたら、全員が手遅れになる」と一律には判断できません。

時間が経つほど聴力の回復は難しくなる傾向があり、治療ごとに開始を検討する時期の目安があります。

この記事では、1週間・2週間・1ヶ月、その後の時期に分けて、治療と回復の考え方を解説します。

病院治療が終了した方については、聴力と耳鳴り・耳の詰まり感・めまいなどを分け、今の状態で何を確認すればよいか整理します。

まだ耳鼻咽喉科を受診していない方は、この記事を読んで様子見を続けるのではなく、まず受診してください。

1.突発性難聴の「手遅れ」は日数だけでは決められない

1.突発性難聴の「手遅れ」は日数だけでは決められない

突発性難聴は、早く診断を受け、必要な治療を検討することが大切です。

米国国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)も、診断や治療の遅れによって治療の効果が低くなる可能性を説明しています。

ここで気をつけたいのは、「早期治療が重要」という説明を「7日や14日を過ぎた瞬間に、全員が回復できなくなる」という意味に受け取らないことです。

治療を始める時期の目安と、その人の聴力が今後どこまで変化するかは、同じものではありません。

日数だけでなく、聴力検査の結果や、これまでの治療への反応を踏まえて判断する必要があります。

一方で、明確な期限がないからといって、受診を先延ばしにしてよいわけでもありません。

治療を検討できる時期を逃さないために、未受診なら耳鼻咽喉科へ、治療中なら担当医へ現在の状態を確認しましょう。

2.突発性難聴の治療には開始時期の目安がある

2.突発性難聴の治療には開始時期の目安がある

2-1.発症2週間以内は初期治療を検討する重要な時期

米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会の診療ガイドラインでは、急な難聴に対して、できるだけ早く、発症から14日以内に聴力検査を行うことが推奨されています。]

また、初期治療としてのステロイドは、発症から2週間以内に検討する選択肢とされています。

「14日以内」という記載は、14日目まで待ってよいという意味ではありません。

急な聞こえの変化があれば、早い段階で診断を受けるための目安です。

ステロイド治療についても、2週間という数字は、初期治療を検討するうえで重要な時期を示しています。

2週間以内なら必ず治る、2週間を過ぎたら必ず治らない、という線引きではありません。

実際に治療を行うか、どの方法を選ぶかは、診断結果や持病などを踏まえて医師が判断します。

自己判断で薬を始めたり、処方された薬を変更したりせず、担当医と相談してください。

治療方法や副作用については、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴のステロイド治療|効果や副作用を解説】

2-2.改善が不十分な場合に検討する追加治療

最初の治療で聴力が十分に戻らなかった場合にも、発症からの期間によって追加治療が検討されます。

こうした治療は「救済治療」と呼ばれます。

同ガイドラインで示されている主な時期は、次のとおりです。

治療

検討する時期の目安

鼓室内ステロイド

回復が不十分な場合、発症から2~6週間

高気圧酸素療法とステロイドの併用

初期治療として発症から2週間以内

高気圧酸素療法とステロイドの併用

救済治療として発症から1ヶ月以内

鼓室内ステロイドは、鼓膜の内側の空間に薬を投与する方法です。

高気圧酸素療法は、専用の装置で通常より高い気圧のもと、酸素を吸入する治療です。

これらは、時期が合えば全員に必要になる治療ではありません。

期待できる効果や負担、これまでの治療内容などを踏まえ、耳鼻咽喉科で適否を判断します。

また、高気圧酸素療法の目安が1ヶ月以内だからといって、1ヶ月を過ぎれば医療的な選択肢が一切なくなるわけではありません。

鼓室内ステロイドを検討する時期や、その後の聴力評価、残った症状への対応は別に考える必要があります。

詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴の鼓室内ステロイド|効果や副作用を解説】

【関連記事:突発性難聴の高気圧酸素療法|効果や回数・始める時期を解説】

3.発症からの期間別に考える治療と回復

3.発症からの期間別に考える治療と回復

3-1.発症から数日〜1週間

発症から数日~1週間で、まだ受診していない場合は、様子見を続けず耳鼻咽喉科を受診してください。

片耳だけの変化でも、急に聞こえにくくなった場合は受診の対象です。

耳垢や一時的な詰まりだと思い込んで、診断が遅れることにも注意が必要です。

すでに治療を始めている方は、「1週間で変化を感じない」という理由だけで、自分で治療を中断しないようにしましょう。

体感だけで結論を出すのではなく、再検査で聴力の推移を確認し、今の治療を続けるか、追加治療を検討するかを医師と相談することが大切です。

この時期に必要なのは、「もう治らないのか」と結論を急ぐことより、診断と治療の機会を確保することです。

詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴が1週間治らない原因と今後の対応】

3-2.発症から2週間前後

2週間前後は、初期治療を検討する重要な時期を過ぎつつある段階です。

未受診なら、「2週間経ったから受診しても無意味」と考えず、できるだけ早く耳鼻咽喉科で評価を受けてください。

治療中の方は、これまでの聴力検査と現在の結果を比較し、どの程度の変化があったかを確認しましょう。

改善が不十分な場合は、前章で説明した追加治療の適否を担当医へ相談する時期でもあります。

「薬を飲み終えた」「2週間経った」という事実だけでは、今後の対応は決まりません。

受診時には、今の聴力と、追加で検討できる治療があるかを確認すると、次の行動を整理しやすくなります。

詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴が2週間治らない場合|回復の可能性と今後の治療】

3-3.発症から1ヶ月前後

1ヶ月前後になると、病院での治療が終了し、経過観察へ移る方もいます。

「これ以上の聴力回復は難しい」と説明され、今後どうすればよいか迷う時期でもあります。

早期と比べると聴力回復への期待は慎重に考える必要がありますが、1ヶ月経ったという理由だけで、全員の聴力や症状が固定したとは判断できません。

未受診であれば、今からでも耳鼻咽喉科で診断と聴力評価を受けてください。

当院には、病院での治療や高気圧酸素療法が終了し、1ヶ月前後で今後の聴力回復は難しいと説明された後に、相談に来られる方が多くいらっしゃいます。

当院での臨床経験では、発症から1ヶ月程度経過した後に、聴力検査の数値が改善した方を稀に経験しています。

これは当院で経験した個別の経過です。

1ヶ月後でも一般的に回復しやすいという意味ではなく、その変化が鍼治療によって生じたと断定するものでもありません。

この時期は、今の聴力を検査で確認し、医療機関で検討できる治療と残った症状への対応を整理することが大切です。

3-4.発症から2〜3ヶ月

発症から2~3ヶ月経つと、「今から治療を考えても遅いのではないか」と感じる方もいるでしょう。

当院で、発症から時間が経って初めて来院される方に比較的多いのも、この時期です。

当院では、2~3ヶ月経過した後に聴力検査の数値が改善した例を稀に経験しています。

一方で、そうした例があることを理由に、同じ程度の回復を期待できるとは説明していません。

当院の臨床経験を踏まえ、3ヶ月を超えると聴力そのものの改善はかなり難しいとお伝えしています。

これは当院の説明方針であり、「3ヶ月を過ぎたら医学的に絶対に治らない」という期限ではありません。

相談する際は、聞こえをどこまで取り戻したいかだけでなく、耳鳴りや耳の詰まり感など、現在何に最も困っているかも整理しておくと、検討する目的が明確になります。

3-5.発症から3〜6ヶ月

3~6ヶ月の段階では、聴力検査の数値と、自覚症状を分けて考えることが特に大切です。

当院の臨床経験では、この時期に変化がみられる場合、聴力そのものよりも、耳鳴り・耳閉感・音の響き・めまいなどの自覚症状の変化がほとんどです。耳閉感は、耳が詰まったり、ふさがったりするような感覚を指します。

例えば、耳鳴りのつらさが変わることと、聴力検査の数値が改善することは、別の評価です。「症状が楽になった」という変化を、そのまま「聴力が回復した」と受け取らないようにしましょう。

当院では、発症から半年以内を施術検討の目安の1つとしています。3ヶ月を超えている方には聴力改善の難しさを説明し、残った症状や経過を確認したうえで、それでも施術を希望される場合に検討します。

半年は当院の方針上の目安であり、医学的な絶対期限ではありません。また、半年以内なら改善するという保証でもありません。

半年経過後の考え方については、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴は半年経っても回復する?3〜6ヶ月と半年以降の違い】

4.病院治療後は聴力と残った症状を分けて考える

4.病院治療後は聴力と残った症状を分けて考える

4-1.聴力が十分に戻らない場合

病院での治療が終了しても聞こえにくさが残ると、「もう何もできないのか」と感じることがあります。

まず確認したいのは、現在の聴力と、これまでの検査からどの程度変化したかです。診療ガイドラインでは、治療終了時と、治療終了後6ヶ月以内に聴力を再評価することが推奨されています。経過観察となった場合も、次の聴力検査の時期を担当医に確認しましょう。[1]

病院治療が終わったことは、その後に鍼治療を受ければ聴力が戻るという意味ではありません。追加の治療を考える際には、期待できることと、期待しにくいことを確認する必要があります。

聴力低下が残る場合には、聞こえを補う方法や日常生活への支援も相談できます。

ガイドラインでも、残存する難聴や耳鳴りに対して、聴覚リハビリテーションなどの支援について説明することが重視されています。

今後の対応については、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:突発性難聴が治らない場合|改善の可能性と今できること】

4-2.耳鳴り・耳閉感・音の響き・めまいが残る場合

聴力検査の数値だけでは、日常生活で感じるつらさのすべてを表せません。

聴力と自覚症状の経過は、必ずしも一致するわけではありません。

耳鳴りが気になって集中しにくい、耳の詰まり感が続く、音が響いて不快に感じる、めまいで動くことが不安になるなど、聞こえにくさ以外の困りごとが残る場合もあります。

当院に来院された方では、聴力の回復にはあまり期待していなくても、「耳鳴りや詰まり感が少しでも楽になれば」「めまいの負担を減らしたい」と希望される方が多くいらっしゃいます。

こうした相談では、聴力の変化と、症状の強さや生活への影響を分けて確認します。

聴力が変わらないまま自覚症状が変化したとしても、それを聴力回復として説明することはありません。

鍼治療による症状改善を保証することもできません。

病院での経過観察を続けながら、今困っている症状に対して、どのような対応を検討するかを考えていきます。

5.時間が経っていても未受診なら耳鼻咽喉科で確認する

5.時間が経っていても未受診なら耳鼻咽喉科で確認する

「今さら受診しても遅い」と感じていても、まだ診断を受けていない場合は、まず耳鼻咽喉科で確認してください。

聞こえにくさだけでは、突発性難聴かどうかは判断できません。

耳垢や中耳の問題など、音が伝わりにくくなる原因と、内耳などの問題による難聴を区別し、必要に応じて別の病気も調べることが重要です。

発症から時間が経っていても、診断を受け、現在の聴力を把握する意味はあります。

治療の適否だけでなく、その後の検査や聞こえへの支援を考えるためにも、自己判断で受診を諦めないようにしましょう。

当院では、これまで未治療のまま発症から1~2週間経過して直接来院された方はまだいません。

そのような相談があった場合は、当院での施術より先に耳鼻咽喉科の受診を勧める方針です。

受診の際は、聞こえにくくなった時期、左右どちらの耳か、耳鳴りやめまいの有無を伝えてください。

発症日が正確に分からない場合も、覚えている範囲の経過を整理しておくと役立ちます。

6.病院治療後に当院へ相談される方の傾向

6.病院治療後に当院へ相談される方の傾向

ここからは、なかいし鍼灸院での臨床経験と相談時の方針について説明します。

一般的な医学上の回復率や、すべての患者さんに当てはまる経過を示すものではありません。

当院では、「もう手遅れですか」と直接聞かれることは稀にあります。

相談では、その言葉だけで判断せず、発症からの期間、病院で受けた治療、聴力検査の結果、現在残っている症状を整理することを大切にしています。

前章までに述べたとおり、病院での治療が一区切りついた後に来院される方や、2~3ヶ月経ってから初めて相談される方がいます。

そのため、当院では「聴力の回復を希望しているのか」「残った症状の負担を少しでも減らしたいのか」を確認し、それぞれを分けて説明しています。

稀に経験した聴力検査値の改善例を、一般的な見通しとして伝えることはできません。

また、時間が経っている方に対して、聴力回復への期待を過度に高める説明は行いません。

特に3ヶ月を超えている場合は、聴力改善の難しさを共有したうえで、症状と希望に応じて施術を検討します。

自覚症状に変化があった場合も、聴力検査上の回復とは区別して評価する方針です。

7.まとめ

突発性難聴で大切なのは、「手遅れかどうか」という言葉だけで今後を決めず、発症からの期間、受診・治療の状況、現在の聴力と残った症状を整理することです。

未受診なら、時間が経っていても耳鼻咽喉科で診断と聴力評価を受けてください。

治療中なら、検査の推移と追加治療の適否を担当医に確認しましょう。

病院治療が終了している方は、今後の聴力検査の予定を確認するとともに、聞こえにくさと耳鳴り・耳閉感・音の響き・めまいを分けて相談することが大切です。

時間が経つほど聴力回復への期待は慎重に考える必要があります。

それでも、聞こえを補う方法や残った症状への対応まで含めて、今の状態に合った選択肢を検討していきましょう。

病院治療後も症状が残り、今後の選択肢を考えている方へ

病院治療後も症状が残り、今後の選択肢を考えている方へ

広島のなかいし鍼灸院では、突発性難聴の病院治療後も、聞こえにくさや耳鳴り・耳閉感・音の響き・めまいなどが残っている方の相談を受けています。

特に発症から3ヶ月以内で、病院での治療を受けた後も症状が続き、鍼治療を検討している方はご相談ください。

発症時期、これまでの治療、聴力検査の結果、現在最も困っている症状を確認したうえで、当院の方針をお伝えします。

3ヶ月を超えている場合は、聴力そのものの改善はかなり難しいという当院の臨床上の見解を説明しています。

半年以内であれば、残った症状やこれまでの経過を確認し、施術を検討することがあります。

相談や施術によって、聴力回復や症状改善を保証するものではありません。

LINEでは、いつ発症したか、病院でどのような治療を受けたか、今どの症状に困っているかをお知らせください。

聴力検査の結果がお手元にあれば、あわせてお伝えいただくと、経過を整理しやすくなります。

まだ耳鼻咽喉科を受診していない方は、先に病院で診断と治療の相談をしてください。

参考文献

1.Chandrasekhar SS, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update) Executive Summary. Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;161(2):195–210.

聴力検査、初期治療・救済治療の時期、治療後の聴力評価、残存難聴・耳鳴りへの支援について参照。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31369349/

2.American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery Foundation. Sudden Hearing Loss: Update to Guideline to Improve Implementation and Awareness. 2019.

診療ガイドラインの主要な推奨事項を確認。

https://www.entnet.org/resource/aao-hnsf-updated-cpg-shl-press-release-fact-sheet/

3.National Institute on Deafness and Other Communication Disorders(NIDCD). Sudden Deafness.

早期受診の重要性、診断・治療の遅れと治療効果、難聴の鑑別について参照。

https://www.nidcd.nih.gov/health/sudden-deafness

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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