突発性難聴は遺伝する?子供への影響・遺伝性難聴との違いを解説

突発性難聴は遺伝する?子供への影響・遺伝性難聴との違いを解説

「自分が突発性難聴になった。子供にも遺伝するのだろうか」「親も突発性難聴だったから、自分も発症しやすいのだろうか」

家族の聞こえに関わることだからこそ、気になる方はいると思います。

突発性難聴は、典型的な遺伝性難聴のように、決まった遺伝形式で親から子へ受け継がれる病気としては確立していません。

一方、家族内での発症や遺伝的な要因を示唆する研究があり、遺伝との関係を完全に否定することもできません。

この記事では、突発性難聴と遺伝性難聴の違い、家族歴や子供への影響について、現在分かっている範囲を整理します。

家族に難聴の方がいる場合に確認したいことや、急に聞こえが変わったときの対応もお伝えします。

1.突発性難聴は遺伝するのか

1.突発性難聴は遺伝するのか

突発性難聴は、親が発症すると子供にも一定の確率で受け継がれる病気としては確立していません。

そのため、親が突発性難聴になったというだけで、子供も将来発症すると考える必要はありません。

一方で、家族内に発症者が集まる傾向や、遺伝的な素因について調べた研究はあります。

ここでいう「素因」とは、発症への関わりが研究されている体質上の要素です。

家族内で発症がみられたとしても、それだけで「親から子へ突発性難聴が遺伝した」とは判断できません。

家族の難聴が同じ病気だったかどうかも確かめる必要があります。

つまり、「突発性難聴は必ず遺伝する」とも「遺伝はまったく関係ない」とも言い切れないのが現状です。

まずは、突発性難聴と遺伝性難聴がどう違うのかを見ていきましょう。

2.突発性難聴と遺伝性難聴は同じではない

2.突発性難聴と遺伝性難聴は同じではない

2-1.突発性難聴の特徴

突発性難聴は、突然聞こえが悪くなる感音難聴です。

感音難聴とは、音を感じ取る内耳や、音の情報を伝える神経などに関わる難聴を指します。

片耳の聞こえ方が急に変わり、耳鳴り、耳が詰まった感じ、めまいを伴うこともあります。

診察や検査をしても明らかな原因を特定できない場合に、突発性難聴と診断されます。

「原因が分からない」ということは、「遺伝が原因だと分かった」という意味ではありません。

また、急な難聴には別の原因が隠れている場合もあるため、症状だけで病名を決めることはできません。

聞こえ方の変化や症状、原因については、以下の関連記事でも説明しています。

【関連記事:突発性難聴の初期症状|耳の違和感・つまり・耳鳴りを放置しないために】

【関連記事:突発性難聴の原因は?ストレスやイヤホンとの関係も解説】

【関連記事:突発性難聴の症状|聞こえ方・耳鳴り・耳のつまり・めまいを解説】

2-2.遺伝性難聴の特徴

遺伝性難聴は、遺伝子の変化が難聴に関わるものです。

生まれつき聞こえにくい場合だけでなく、成長してから症状が現れたり、徐々に進行したりする場合もあります。

発症する時期や受け継がれ方は、難聴の種類によって異なります。

そのため、家族に「難聴の人がいる」と聞いただけでは、その方も突発性難聴だったとは分かりません。

突然聞こえなくなったのか、以前から聞こえにくかったのか、少しずつ進んだのかによって、考えるべき病気は変わります。

家族の診断名や経過を区別することが、遺伝について考える出発点になります。

3.家族に突発性難聴の人がいると発症しやすいのか

3.家族に突発性難聴の人がいると発症しやすいのか

家族の中で同じ病気がみられることを「家族内集積」といいます。

2024年の研究レビューでは、突発性難聴について家族内集積を示唆する疫学的な報告があると整理されています。

研究の数や方法には限界があり、家族歴がある人それぞれの発症確率を計算できる段階ではありません。

「親が発症したから自分も発症する」「兄弟が発症したから自分も高い確率で発症する」といった判断はできません。

また、家族にいる難聴の方が、実際には突発性難聴とは別の難聴だった可能性もあります。

当院に来院された方の中には、「親も突発性難聴だった」と話された方が何人かいます。

一方、当院の臨床上の印象として、患者さんの家族にも突発性難聴が多いとは感じていません。

これは当院への来院状況についての印象であり、家族歴がある方の医学的な発症リスクを示すものではありません。

4.突発性難聴と遺伝子の関係はどこまで分かっているのか

4.突発性難聴と遺伝子の関係はどこまで分かっているのか

突発性難聴に関わる可能性を調べるため、これまで複数の遺伝子の違いと発症との関連が研究されてきました。

遺伝子の違いが見つかったという報告は、病気の仕組みを考える手がかりになります。

しかし、2024年のレビューでは、報告された遺伝子との関連は、別の集団で同じ結果が得られるかという確認が十分ではないとされています。

一般的な突発性難聴を1つの遺伝子で説明したり、遺伝子を調べれば将来の発症が分かるとしたりできる状況ではありません。

「遺伝子との関連が研究されている」ことと、「その遺伝子が原因だと確定した」ことは違います。

研究結果をそのままご自身や子供の診断・発症予測に当てはめないことが大切です。

5.突発性難聴は子供に遺伝するのか

5.突発性難聴は子供に遺伝するのか

親が突発性難聴になった場合でも、子供に何%の確率で遺伝するかという、確立した数値は示せません。

突発性難聴には、典型的な遺伝性難聴のように一定の遺伝形式が確認されておらず、関連が研究されている遺伝子だけで発症を予測することもできないためです。

これは「遺伝する確率が0%」という意味でも、「家族歴があれば子供も発症する」という意味でもありません。

親の発症歴だけを理由に、子供の将来を決めつけないことが大切です。

なお、当院ではこれまで、子供への遺伝を心配する相談を受けた経験はなく、小児の突発性難聴患者さんの来院経験もありません。

当院に来院された方の中で最も若かった方は20代後半です。

これらは当院での経験であり、小児の突発性難聴の頻度を示すものではありません。

6.家族に難聴がある場合に確認したいこと

6.家族に難聴がある場合に確認したいこと

家族に難聴の方がいる場合は、「難聴」という言葉だけで突発性難聴の家族歴と判断せず、分かる範囲で次の点を確認してみてください。

  • 診断名:耳鼻咽喉科で突発性難聴と診断されたのか、それとも別の難聴だったのか
  • 聞こえが変わった時期:ある日突然聞こえにくくなったのか、生まれつき・幼少期からだったのか
  • その後の経過:徐々に進行したのか、両耳に症状があるのか、聞こえの低下を繰り返したのか

たとえば、親が年齢とともに徐々に聞こえにくくなった場合と、ある日片耳が急に聞こえなくなり突発性難聴と診断された場合では、同じ「親に難聴がある」でも意味が異なります。

当院にも、家族が突発性難聴だった方と、家族に一般的な難聴があった方の両方が来院されています。

診断名が分からない場合や、若い頃からの難聴、両耳の難聴、聞こえの低下を繰り返すといった経過が気になる場合は、耳鼻咽喉科で相談してください。

家族の話だけをもとに、ご自身やお子さんの病名を判断する必要はありません。

聞こえの低下を繰り返す場合の考え方は、以下の関連記事でも説明しています。

【関連記事:突発性難聴は再発する?繰り返す場合に考えたいこと】

7.家族歴があっても遺伝を心配しすぎる必要はない

7.家族歴があっても遺伝を心配しすぎる必要はない

家族歴を知って「遺伝子検査を受けるべきだろうか」と考える方もいるでしょう。

現時点では、一般的な突発性難聴について、家族に発症者がいるという理由だけで全員に遺伝子検査を勧める根拠は確立していません。

家族の難聴の診断名や経過によって相談内容は変わるため、気になる場合は耳鼻咽喉科で個別に確認するのがよいでしょう。

また、突発性難聴を確実に防ぐ方法も確立していません。

「生活習慣を整えれば発症しない」と考えたり、特別な予防法を探し続けたりする必要はありません。

家族歴があるかどうかにかかわらず、実際に聞こえ方が急に変わったとき、その変化を見過ごさないことが大切です。

8.急に聞こえにくくなったら家族歴にかかわらず耳鼻咽喉科へ

8.急に聞こえにくくなったら家族歴にかかわらず耳鼻咽喉科へ

片耳が急に聞こえにくくなった、左右で聞こえ方が違う、急な耳鳴りや耳の詰まりを感じる。

そのようなときは、家族に突発性難聴の方がいてもいなくても、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

「家族に誰もいないから突発性難聴ではない」とは判断できません。

耳鼻咽喉科では耳の状態を診察し、聴力検査などを通じて難聴の種類や程度を確認します。

突発性難聴が疑われる場合は、早期の評価と治療の検討が重要です。

当院でも、遺伝を心配して様子を見続けることより、急な聞こえの変化があれば耳鼻咽喉科を早く受診することを優先しています。

診断後の治療の選択肢や薬の種類、初期治療に用いられるステロイドについては、以下の関連記事で詳しく説明しています。

【関連記事:突発性難聴の治療|ステロイド・高気圧酸素療法・鍼治療を解説】

【関連記事:突発性難聴の薬とは?種類・効果・飲む期間をわかりやすく解説】

【関連記事:突発性難聴のステロイド治療|効果や副作用を解説】

9.病院の治療で改善が十分でない場合

9.病院の治療で改善が十分でない場合

突発性難聴を発症した場合は、まず耳鼻咽喉科で診断を受け、必要な治療について医師と相談してください。

治療を受けても聞こえにくさや耳鳴りなどが残る場合は、聴力検査の結果と症状の経過を確認し、今後の対応を相談することが大切です。

なかいし鍼灸院では、広島で突発性難聴について相談できる鍼灸院として、病院の治療を受けたうえで改善が十分でない方から、鍼治療についての相談を受けています。

鍼治療は遺伝への対策ではなく、すべての方に効果を保証できるものでもありません。

当院では病院での診断や治療を否定せず、現在の症状や発症からの経過を伺ったうえで、選択肢の1つとしてご案内しています。

治療後の見通しや回復までの期間、回復過程については、以下の関連記事も参考にしてください。

【関連記事:突発性難聴が治らない場合|改善の可能性と今できること】

【関連記事:突発性難聴が治るまでの期間|いつまで改善する可能性があるのか】

【関連記事:突発性難聴の回復過程|改善する人にみられやすい経過と変化】

10.まとめ

突発性難聴は、典型的な遺伝性難聴のように親から子へ一定の確率で受け継がれる病気としては確立していません。

家族内での発症や遺伝的な要因を示唆する研究はありますが、子供への遺伝確率を数字で示したり、家族歴だけで将来の発症を予測したりはできません。

家族に難聴の方がいる場合は、その方の診断名と、いつ・どのように聞こえが変わったかを区別して考えてください。

そして、ご自身やご家族の聞こえが急に変わったときは、遺伝の有無を考えて受診を遅らせず、耳鼻咽喉科で確認することが最も大切です。

突発性難聴でお悩みの方へ

突発性難聴でお悩みの方へ

耳鼻咽喉科で突発性難聴と診断され、病院の治療を受けているものの改善が十分でない方は、現在の症状や経過についてなかいし鍼灸院へご相談いただけます。

発症から3ヶ月以内の方は、今受けている治療や聴力検査の結果も踏まえてお話を伺います。

参考文献

1.Yélamos Lorente A, et al. “A Systematic Review on Heritability of Sudden Sensorineural Hearing Loss.” The Laryngoscope, 2024. https://doi.org/10.1002/lary.31308

2.Chandrasekhar SS, et al. “Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update).” Otolaryngology–Head and Neck Surgery, 2019. https://www.entnet.org/quality-practice/quality-products/clinical-practice-guidelines/sudden-hearing-loss-update/

3.National Institute on Deafness and Other Communication Disorders. “Sudden Sensorineural Hearing Loss (SSHL).” https://www.nidcd.nih.gov/health/sudden-deafness

4.Centers for Disease Control and Prevention. “About the Types of Hearing Loss.” https://www.cdc.gov/hearing-loss-children-guide/parents-guide-genetics/about-the-types-of-hearing-loss.html

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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