突発性難聴は両耳にもなる?両耳になる確率と同時・時間差で起こる場合を解説

突発性難聴は両耳にもなる?両耳になる確率と同時・時間差で起こる場合を解説

「突発性難聴は片耳の病気だと思っていたのに、反対側も聞こえにくい」「両耳とも聞こえなくなるのでは」と、不安になる方もいるでしょう。

突発性難聴は片耳に起こることが多いものの、両耳に急な感音難聴が起こるケースも報告されています。

反対側に耳鳴りや違和感が出たことだけで、両耳とも突発性難聴になったとは判断できません。

この記事では、両耳に起こる頻度、同時に起こる場合と時間差で起こる場合の違い、反対側の症状を感じたときの受診の目安を説明します。

1.突発性難聴は両耳にも起こることがある

1.突発性難聴は両耳にも起こることがある

突発性難聴は通常、左右どちらか一方の耳に起こります。

一方で、両耳に急な感音難聴が起こることもあり、「片耳にしか起こらない」とは言い切れません。

感音難聴とは、音を感じ取る内耳や、音を脳に伝える経路に関わる難聴です。

当院でも、医師から両耳の突発性難聴と診断された方が来院されたことはあります。

ただ、院長の記憶では1~2人程度で、当院の来院状況としてはかなりまれです。

これは医学的な発症率を示す数字ではありません。

また、「両耳が聞こえにくい」という自覚だけでは、両耳性の突発性難聴かどうかは分かりません。

まず耳鼻咽喉科で左右それぞれの状態を確認する必要があります。

2.突発性難聴が両耳になる確率

2.突発性難聴が両耳になる確率

両耳に起こる割合は、研究によって数%から1割前後まで幅があります。

「必ず何%」という1つの数字で表すのは適切ではありません。

例えば、324人を調べた2007年の研究では、両耳同時に起こった方が16人で、全体の4.9%でした。

別の2024年の研究では、対象となった1,235人のうち両耳性が100人で、8.09%と報告されています。

また、2024年に11研究をまとめた解析では、対象症例に占める両耳性の割合は推計11.9%(95%信頼区間6.4~18.8%)でした。

数字が異なるのは、研究した病院や対象者に加え、「両耳同時」だけを数えるか、時間差で起こった場合も含めるかなど、調べ方が同じではないためです。

これらは、片耳に発症した個人について「今後、反対側にも起こる確率」をそのまま示す数字でもありません。

3.両耳同時に起こる場合と時間差で起こる場合

3.両耳同時に起こる場合と時間差で起こる場合

両耳性の急な感音難聴には、両耳の変化がほぼ同時に起こる場合と、先に片耳、その後に反対側へ起こる場合があります。

研究でも両方の経過が報告されています。

3-1.両耳同時に起こる場合

両耳の聞こえが同じ時期に急に低下する場合です。

左右で聞こえにくさの程度が同じとは限りません。

「片耳のほうが強く悪い」と感じても、もう片方の聴力にも変化がある可能性があります。

両耳同時の急な感音難聴では、難聴の状態を調べるとともに、背景に別の病気がないかを確認することが大切です。

自己判断で様子を見ず、耳鼻咽喉科を受診してください。

3-2.時間差で起こる場合

先に片耳に急な難聴が起こり、その後、反対側にも聴力低下が起こる場合です。

医学文献では、このような時間差のある両耳性も報告されています。

時間差は「必ず数日後」という意味ではなく、研究によって扱う期間も異なります。

最初の耳を受診した後でも、反対側に新しい聞こえの変化があれば、診察を受けた耳鼻咽喉科へ改めて相談してください。

その変化が新たな難聴なのか、別の症状なのかを確認することが重要です。

4.片耳の発症後に反対側も聞こえにくくなった場合

4.片耳の発症後に反対側も聞こえにくくなった場合

片耳の突発性難聴と診断された後、反対側にも耳鳴り、耳が詰まる感じ、聞こえにくさが出ると、「両耳とも聞こえなくなるのでは」と心配になるものです。

当院でも、右耳の発症から数日後に「左耳も右ほどではないが聞こえにくい」と訴える方には、院長の臨床上の印象として意外と遭遇します。

しかし、反対側に症状を感じることと、反対側にも突発性難聴が起こったことは同じではありません。

耳鳴りや耳閉感だけから聴力の変化を判断することはできず、自覚する聞こえにくさの程度と検査結果が一致しない場合もあります。

逆に、症状が軽いと感じても聴力の変化がないとは限りません。

受診済みであっても、反対側に新しい変化が出たことを耳鼻咽喉科へ伝え、必要に応じて両耳の聴力を調べてもらいましょう。

聴力検査で何を確認するかは、突発性難聴の聴力検査で説明しています。

5.両耳の聞こえにくさは突発性難聴とは限らない

5.両耳の聞こえにくさは突発性難聴とは限らない

両耳が急に聞こえにくくなっても、原因がすべて突発性難聴とは限りません。

耳の診察では、耳垢や中耳の病気など、音が内耳へ伝わりにくくなる原因がないかも確認します。

急な感音難聴が認められる場合には、病歴や診察結果に応じて、自己免疫性疾患、感染症、血管・神経系の病気、薬剤の影響なども検討されます。

当院には、強いストレスなどを訴え、両耳が突然聞こえにくくなったものの、医師から突発性難聴とは診断されなかった方もいます。

この経験から「ストレスが原因だった」「心因性の難聴だった」と決めることはできません。

ストレスの有無だけで病名を判断せず、診察と検査を受けることが大切です。

突発性難聴の診断の考え方は、【突発性難聴の診断基準とは?30dB・3周波数・72時間の基準を解説】で説明しています。

6.両耳に起こった場合の症状

6.両耳に起こった場合の症状

両耳性だからといって、片耳の場合とは別の「特別な初期症状」があるわけではありません。

急な聞こえにくさのほか、耳鳴り、耳が詰まる感じ、めまいなどがみられます。

症状の組み合わせや強さ、左右それぞれの聴力低下の程度には個人差があります。

両耳の聞こえが低下すると、会話を聞き取る、電話を使う、周囲の音に気づくといった日常生活への影響が大きくなる場合があります。

生活上の困りごとの強さだけで病名や回復の見通しは判断できません。

7.両耳の突発性難聴では原因を詳しく確認することが重要

7.両耳の突発性難聴では原因を詳しく確認することが重要

両耳性、特に両耳同時に起こる急な感音難聴では、片耳の場合より全身の病気との関連を慎重に考える必要があります。

2024年の研究をまとめた解析でも、両耳同時の症例には、片耳性より全身性の病態との関連が強い傾向が報告されました。

「両耳なら必ず重大な病気がある」という意味ではありません。

医師は、いつ、どちらの耳から変化したか、服用中の薬やほかの症状があるかなどを確認し、耳の診察と聴力検査を行います。

その結果に応じて追加の検査を検討します。全員が同じ血液検査やMRI検査を受けるわけではありません。

両耳であることを怖い結果に結びつけるより、何が起きているかを早く確かめる理由と捉えてください。

8.両耳に起こった場合の治療と回復の見通し

8.両耳に起こった場合の治療と回復の見通し

治療は、診断された病気、発症からの時間、左右の聴力、ほかの症状などを踏まえて医師が判断します。

突発性難聴として治療する場合には、ステロイド治療などが検討されます。

別の原因が見つかった場合は、その原因に応じた対応が必要です。

2024年のメタ解析では、ステロイド治療後の聴力改善は両耳性の集団で片耳性より乏しい傾向が報告されています。

集団の平均的な傾向から、目の前の方について「両耳だから治らない」と決めることはできません。

左右で聴力や回復の経過が異なることもあります。

早めに診断と治療を受け、その後も聴力を確認することが大切です。

治療の選択肢は、【突発性難聴の治療|ステロイド・高気圧酸素療法・鍼治療を解説】で詳しく説明しています。

9.両耳が急に聞こえにくくなったら耳鼻咽喉科へ

9.両耳が急に聞こえにくくなったら耳鼻咽喉科へ

両耳が急に聞こえにくくなった場合も、片耳の発症後に反対側へ新しい変化が出た場合も、早めに耳鼻咽喉科へ相談してください。

すでに片耳の治療中なら、「いつから、反対側にどのような変化が出たか」を担当医へ伝えます。

耳の診察と聴力検査によって、左右の状態を客観的に確かめられます。

急な難聴に加えて、顔や手足のまひ、ろれつが回らない、強い頭痛など、耳以外の急な神経症状がある場合は、救急での評価が必要になることがあります。

10.病院治療後も聞こえにくさ・耳鳴りが残る場合

10.病院治療後も聞こえにくさ・耳鳴りが残る場合

両耳の急な聞こえの変化では、まず耳鼻咽喉科で診断と必要な治療を受けることが優先です。

その後も聞こえにくさ、耳鳴り、耳が詰まる感じなどが残り、日常生活で困る方もいます。

症状が続く場合は、耳鼻咽喉科で聴力の経過や今後の対応を相談してください。

なかいし鍼灸院では、病院での診断や検査結果、治療経過を確認しながら、残っている症状についてご相談を受けています。

鍼治療によって反対側の発症を予防できる、あるいは両耳の聴力が必ず回復するとはお伝えしていません。

11.まとめ

突発性難聴は片耳に起こることが多いものの、両耳同時、または時間差で両耳に急な感音難聴が起こるケースもあります。

報告される割合には幅があり、研究上の数字から個人の反対側の発症確率を決めることはできません。

最も大切なのは、両耳の症状を自分で病名に結びつけず、聴力を確認することです。

片耳の診断後でも反対側に新しい変化があれば、耳鼻咽喉科へ改めて相談してください。

突発性難聴でお悩みの方へ

突発性難聴でお悩みの方へ

耳鼻咽喉科で診断・治療を受けた後も、「聞こえにくさや耳鳴りが残っている」「病院の治療と並行して鍼治療も検討したい」とお考えの方は、広島のなかいし鍼灸院へご相談ください。

特に発症から3ヶ月以内の方は、これまでの検査結果や治療経過、現在困っている症状をお知らせください。

LINEでは、左右それぞれの症状と発症した時期、病院で伝えられた診断名、これまでに受けた治療を、分かる範囲でお送りください。

聴力検査の結果がお手元にあれば、その画像も添えていただくと、経過を確認する参考になります。

いただいた内容をもとに、当院での鍼治療の考え方や通院についてご案内します。

病院での治療や経過観察を大切にしながら、残っている症状について相談をお受けします。

反対側に新しい聞こえの変化が出た場合は、まず耳鼻咽喉科で確認を受けてください。

参考文献

1.Bhat AM, et al. Prognosis of Bilateral Sudden Sensorineural Hearing Loss: A Systematic Review and Meta-Analysis. Laryngoscope. 2024;134:3883–3891. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38506449/

2.Sara SA, et al. Bilateral versus unilateral sudden sensorineural hearing loss. Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;136:87–91. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17210340/

3.He J, et al. Clinical characteristics of patients diagnosed with bilateral sudden sensorineural hearing loss. Front Neurol. 2024;15:1378017. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38978810/

4.Chandrasekhar SS, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update) Executive Summary. Otolaryngol Head Neck Surg. 2019. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31369349/

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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