突発性難聴は妊娠中・授乳中でも治療できる?ステロイドや薬の影響を解説

突発性難聴は妊娠中・授乳中でも治療できる?ステロイドや薬の影響を解説

妊娠中や授乳中に突然耳が聞こえにくくなると、「赤ちゃんへの影響が心配で薬を使えないのでは」と受診をためらうかもしれません。

妊娠中・授乳中でも、突発性難聴が疑われる症状について検査や治療の相談はできます。

薬を使えるかどうかを自分で判断して、受診を遅らせないことが大切です。

まず耳鼻咽喉科で聞こえ方を調べ、妊娠週数や授乳の状況を伝えてください。

この記事では、妊娠中・産後・授乳中の治療の考え方と、ステロイドや漢方薬について確認したい点を説明します。

1.妊娠中・授乳中でも突発性難聴は早めの受診が重要

1.妊娠中・授乳中でも突発性難聴は早めの受診が重要

片方の耳が急に聞こえにくくなった、耳が詰まった感じがする、耳鳴りが始まった。このような変化があれば、妊娠中や授乳中でも早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

症状だけで突発性難聴と決めることはできません。

耳の診察や聴力検査を受け、聞こえにくさの原因を調べる必要があります。

突発性難聴の診療ガイドラインも、突然の難聴に対して速やかに評価を進めるよう勧めています。

「妊娠中だから治療できない」「授乳中だから薬は使えない」と決めつける必要はありません。

診断を受けたうえで、本人と赤ちゃんの状況に合う方法を医師と検討します。

受診先については【突発性難聴は何科・どの病院へ行く?受診のタイミングと病院の選び方】、検査については【突発性難聴ではどんな検査をする?検査方法と診断までの流れを解説】でも説明しています。

2.妊娠中に突発性難聴になることはある

2.妊娠中に突発性難聴になることはある

2-1.妊娠と突発性難聴の関係

妊娠中に突発性難聴を発症した例は報告されています。

妊娠したこと自体が発症の原因だとは分かっていません。

妊娠に伴うホルモンや体内の循環の変化などが関係する可能性は研究されていますが、個々の方の難聴について原因を特定できるわけではありません。

また、妊娠中の聞こえにくさがすべて突発性難聴とも限りません。

2-2.妊娠初期・妊娠後期で自己判断しない

妊娠初期でも後期でも、急な聞こえの変化は耳鼻咽喉科に相談してください。

「初期だから薬を使えない」「後期だから治療は出産後まで待つ」と一律には決められません。

治療を検討する際には、妊娠週数に加え、聴力検査の結果、発症からの時間、母体の健康状態などを確認します。

3.妊娠中の突発性難聴ではどのような治療を行うのか

3.妊娠中の突発性難聴ではどのような治療を行うのか

3-1.ステロイド治療

突発性難聴では、発症早期のステロイドが治療の選択肢になります。

治療による回復を保証するものではなく、妊娠中に使用するかどうかも個別の判断です。

耳鼻咽喉科の医師が必要性を検討し、必要に応じて産婦人科と相談します。

治療方法の一般的な説明は、【突発性難聴のステロイド治療|効果や副作用を解説】で詳しく扱っています。

3-2.鼓室内ステロイド

鼓室内ステロイドは、耳鼻咽喉科で鼓膜を通して中耳に薬を投与する治療です。

妊娠中の患者に用いられた報告もあります。

妊娠中なら必ず鼓室内投与を選ぶ、という意味ではありません。

妊娠中の治療に関する研究は限られており、使用する薬や治療の時期、期待できる利益とリスクを医師と確認する必要があります。

治療の内容は、【突発性難聴の鼓室内ステロイド|効果や副作用を解説】でも紹介しています。

3-3.その他の治療

検査結果や症状によっては、ほかの治療や経過観察について説明されることもあります。

「薬以外なら妊娠中でも必ず安全」とは考えず、提案された方法ごとに妊娠中の注意点を確認しましょう。

4.妊娠中のステロイドは赤ちゃんに影響するのか

4.妊娠中のステロイドは赤ちゃんに影響するのか

4-1.妊娠中でも必要に応じて使用される薬

ステロイドは、妊娠中に一律に使用できない薬ではありません。

プレドニゾン・プレドニゾロンに関する資料では、妊娠中の使用によって先天異常の可能性が大きく高まるとは考えられていません。

これは突発性難聴の妊婦全員に処方してよいという意味ではなく、ほかのステロイド製剤にもそのまま当てはまりません。

「ステロイド」という名前だけで治療を断ったり、反対に「使える薬だから心配ない」と判断したりせず、実際に提案された薬について説明を受けてください。

4-2.妊娠週数・用量・期間で判断が変わる

医師は妊娠週数、薬の種類、用量、使用期間、母体の持病などを踏まえて治療を検討します。

長期間の使用に関する研究結果を、突発性難聴に対する短期間の治療へそのまま当てはめることもできません。

薬が心配なときは、妊娠週数やほかに飲んでいる薬を伝えたうえで、治療を受ける場合と受けない場合の見通しを耳鼻咽喉科と産婦人科に確認しましょう。

5.授乳中に突発性難聴になった場合の治療

5.授乳中に突発性難聴になった場合の治療

5-1.授乳中でも治療を諦める必要はない

授乳中に発症した場合も、まず耳鼻咽喉科で診断を受けます。

薬が必要になっても、必ず授乳をやめることになるわけではありません。

授乳中であることに加え、赤ちゃんの月齢や健康状態を医師・薬剤師に伝え、処方される薬ごとに確認してください。

5-2.ステロイドと母乳への移行

プレドニゾロンについて、米国国立医学図書館の医薬品・授乳データベース「LactMed」は、母乳中に移る量が少ないと説明しています。

また、服用後に一律で4時間授乳を避ける必要はないとしています。

この情報だけで、すべてのステロイドの投与量や方法について授乳中の対応を決めることはできません。

5-3.授乳を中断するかは薬ごとに確認

授乳を続けられるか、時間を空ける必要があるかは、薬の種類や投与量、赤ちゃんの状態によって確認します。

自己判断で薬を中止したり、必要だと決めつけて断乳したりせず、処方した医師や薬剤師に相談してください。

ステロイド以外の薬については、【突発性難聴の薬とは?種類・効果・飲む期間をわかりやすく解説】も参考にしてください。

6.産後に突発性難聴を発症した場合

6.産後に突発性難聴を発症した場合

出産後も、急に聞こえにくくなることはあります。

睡眠不足や疲労、生活の変化が重なっていても、それだけで難聴の原因を決めることはできません。

ストレスとの関係は、【突発性難聴はストレスが原因?発症との関係や治るのかを解説】で詳しく扱っています。

赤ちゃんの世話で受診の時間を取りにくい時期ですが、「疲れが取れれば治るだろう」と様子を見続けず、耳鼻咽喉科に相談してください。

授乳している場合は、そのことも受診時に伝えましょう。

7.妊娠中・授乳中に漢方薬は使えるのか

7.妊娠中・授乳中に漢方薬は使えるのか

「漢方薬なら赤ちゃんへの影響を心配しなくてよい」とは言えません。

漢方薬にも複数の成分が含まれ、妊娠中や授乳中の使用について十分な情報がないものもあります。

市販薬や漢方薬を含め、服用前に製品名を医師・薬剤師へ伝えて確認してください。

漢方薬を、耳鼻咽喉科での検査や提案された治療の代わりに自己判断で使うことは避けましょう。

8.妊娠中・授乳中の突発性難聴に対する鍼治療

8.妊娠中・授乳中の突発性難聴に対する鍼治療

8-1.病院での診断・治療を優先

鍼治療は、突発性難聴に対する耳鼻咽喉科での診断や治療に代わるものではありません。

特に聞こえ方が急に変わった直後は、聴力検査を受け、病院での治療について説明を受けることを優先してください。

妊娠中・授乳中だから鍼治療の効果や安全性が保証されるわけでもありません。

「薬を使わずに済むから鍼だけでよい」とは判断しないことが大切です。

8-2.当院で鍼治療を行う場合の考え方

ここからは、なかいし鍼灸院の施術方針です。

当院では、まず耳鼻咽喉科で診断と治療を受けていただき、そのうえで鍼治療を補完的な選択肢として検討します。

病院での治療を中断するよう勧めることはありません。

妊娠中・授乳中の相談では、その状況と医療機関での治療内容を確認し、鍼治療について慎重に検討します。

鍼治療によって突発性難聴が改善する、あるいは妊娠中・授乳中でも必ず安全であるとは断定できません。

9.妊娠中・授乳中に聞こえにくくなったときの受診の流れ

9.妊娠中・授乳中に聞こえにくくなったときの受診の流れ
  1. 耳鼻咽喉科を受診する。急に聞こえ方が変わった時期と症状を伝えます。
  2. 妊娠・授乳の状況を伝える。妊娠中なら妊娠週数、授乳中なら赤ちゃんの月齢などを伝えます。
  3. 診察と聴力検査を受ける。診断や治療を考えるために、現在の聞こえ方を確認します。
  4. 治療について相談する。提案された薬や治療法について、期待できることと注意点を確認します。
  5. 必要に応じて他の専門職にも確認する。妊娠中は産婦人科、授乳中は小児科や薬剤師への確認が必要になる場合があります。

10.まとめ

妊娠中・授乳中に突然聞こえにくくなったら、薬への不安だけで受診を遅らせず、まず耳鼻咽喉科で検査を受けてください。

ステロイドを含む薬の使用は、一律に「使えない」「安全」と決められるものではありません。

妊娠週数や授乳の状況を伝え、医師・薬剤師と個別に判断することが大切です。

治療や授乳を自己判断で中止する前にも相談しましょう。

広島で突発性難聴について相談したい方へ

広島で突発性難聴について相談したい方へ

広島のなかいし鍼灸院では、耳鼻咽喉科での診断・治療を受けたうえで、鍼治療の併用について相談を受けています。

病院での治療後も改善が十分でない方や、治療と併用できる方法を探している方は、現在の症状と発症からの期間をお知らせください。

当院では、特に発症から3ヶ月以内のご相談を重視しています。

参考文献

1.American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery Foundation. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update). 2019.

URL:https://www.entnet.org/quality-practice/quality-products/clinical-practice-guidelines/sudden-hearing-loss-update/

2.Sudden sensorineural hearing loss during pregnancy: etiology, treatment, and outcome. 2021.

URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7925942/

3.MotherToBaby. Prednisone/Prednisolone.

URL:https://mothertobaby.org/fact-sheets/prednisoneprednisolone-pregnancy/

4.U.S. National Library of Medicine. Prednisolone: Drugs and Lactation Database (LactMed®).

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501076/

5.National Health Service. Breastfeeding and medicines.

URL:https://www.nhs.uk/baby/breastfeeding-and-bottle-feeding/breastfeeding-and-lifestyle/medicines/

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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