突発性難聴で運動してもいい?運動禁止・運動制限と再開の目安を解説

突発性難聴で運動してもいい?運動禁止・運動制限と再開の目安を解説

突発性難聴と診断されたあと、「運動してもいいのか」「治療中は運動禁止なのか」と迷う方もいるでしょう。

結論からいうと、突発性難聴だからといって、散歩や家事を含むすべての活動が一律に禁止されているわけではありません。

発症直後や治療中は、ランニング、強度の高い筋トレ、激しいスポーツなどを無理に続けず、治療と休養を優先することが大切です。

めまいやふらつきがある場合は、転倒や事故を防ぐために運動を控える必要があります。

運動を再開できる時期は、聴力の状態、めまいの有無、全身状態、治療内容、運動の強度によって異なります。

「発症から何日後なら大丈夫」と一律に判断せず、主治医へ確認しながら段階的に戻しましょう。

この記事では、突発性難聴の発症直後や治療中における運動の考え方、運動の種類ごとの注意点、再開の目安について解説します。

1.突発性難聴は運動してもいいのか

1.突発性難聴は運動してもいいのか

突発性難聴になったからといって、すべての運動や日常活動が禁止されるわけではありません。

一方で、発症直後から普段どおりに激しい運動を続けてよいともいえません。

次のような点を確認して判断する必要があります。

  • 発症してからどのくらい経過しているか
  • 聴力が悪化していないか
  • めまいやふらつきがあるか
  • ステロイドなどの治療を受けているか
  • 発熱、強い倦怠感、吐き気などがないか
  • 糖尿病や高血圧などの持病があるか
  • 主治医から安静や運動制限を指示されているか
  • 再開したい運動の強度や危険性はどの程度か

参照した突発性難聴の診療ガイドラインや公的資料では、すべての患者に共通する運動禁止期間は示されていません。

運動再開は、耳の症状だけでなく、全身状態や治療内容も含めて個別に判断することが基本です。

突発性難聴は早期の診断と治療が重要な疾患です。

運動の可否を考える前に、まず耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査と治療を受けてください。

2.発症直後・治療中は激しい運動を控える

2.発症直後・治療中は激しい運動を控える

突発性難聴の発症直後や治療中は、日常生活まで極端に制限する必要はありませんが、息が大きく上がる運動や体調を消耗する運動は控えたほうがよいでしょう。

運動そのものが突発性難聴を必ず悪化させるという意味ではありません。

発症直後は治療を速やかに開始し、睡眠や食事を確保しながら体調を整えることが優先されるためです。

2-1.発症直後は休養を優先する

突発性難聴は、突然起こる原因不明の感音難聴です。

耳鳴り、耳のつまり、音の響き、めまいなどを伴うことがあります。

米国国立聴覚・コミュニケーション障害研究所は、突然の感音難聴を医療上の緊急性がある症状として扱い、速やかに受診するよう案内しています。

また、診断や治療が遅れると、必要な治療の効果が得られにくくなる可能性があります。

そのため、発症直後に優先したいのは、運動によって血流をよくしようとすることではなく、耳鼻咽喉科を受診して診断と治療を受けることです。

受診前に「運動すれば治るかもしれない」と考えて、ランニングや筋トレを行うことはおすすめできません。

治療開始後も、睡眠不足や疲労が強い状態で無理に運動を続ける必要はありません。

通勤、家事、買い物などの日常活動についても、体調に合わせて負担を減らしましょう。

2-2.ステロイド治療中の運動

突発性難聴では、内服、点滴、鼓室内注射などによるステロイド治療が行われることがあります。

ステロイドを使用しているという理由だけで、すべての運動が禁止されるわけではありません。

薬の種類や投与量、治療期間、持病によって注意点が異なります。

内服や点滴など全身に作用するステロイドでは、一時的な血糖値や血圧の上昇、不眠、胃腸症状などが生じる場合があります。

糖尿病や高血圧などがある方は、運動の強度だけでなく、全身状態の確認も必要です。

次のような場合は、運動を始める前に主治医へ相談してください。

  • 点滴治療や入院治療を受けている
  • 強い倦怠感や体調不良がある
  • 血糖値や血圧について注意を受けている
  • ステロイドの副作用が疑われる症状がある
  • 医師から安静や活動制限を指示されている

薬を自己判断で減量したり中止したりしてはいけません。

運動の予定がある場合も、処方どおりに使用し、治療方針を主治医に確認しましょう。

2-3.めまいがある場合の運動

突発性難聴にめまいやふらつきが伴っている場合は、安全面から運動を控える必要があります。

特に注意が必要なのは、次のような運動です。

  • 屋外でのランニング
  • 自転車
  • 水泳
  • 高所で行う運動
  • 接触や急な方向転換を伴うスポーツ
  • 重い器具を扱う筋トレ
  • 1人で行う登山や長距離の運動

めまいがある状態では、耳の症状への影響以前に、転倒、衝突、溺水などの危険があります。

車やバイクの運転についても、めまいやふらつきが残っている間は自己判断で再開しないでください。

めまいが強くなる、吐き気が続く、歩きにくい、手足のしびれや力の入りにくさがあるなどの場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

3.運動の種類ごとの考え方

3.運動の種類ごとの考え方

突発性難聴の治療中にできる運動は、症状と運動強度によって異なります。

軽い散歩と競技スポーツを同じ「運動」として扱うことはできません。

それぞれの特徴を理解し、負担の小さい活動から検討しましょう。

3-1.散歩・ウォーキング

めまいがなく、全身状態が安定し、主治医から安静を指示されていなければ、短時間の散歩やゆっくりしたウォーキングから再開を検討できます。

最初は平坦で安全な場所を選び、会話ができる程度の速さから始めます。長時間歩く必要はありません。

途中で次のような変化が出た場合は、いったん中止して休んでください。

  • めまいやふらつき
  • 吐き気
  • 強い疲労感
  • 動悸や息苦しさ
  • 耳鳴りや耳のつまりが明らかに強くなる
  • 聞こえ方が急に変わる

運動中に耳鳴りが一時的に気になりやすくなることはありますが、その変化だけで聴力が悪化したとは判断できません。

症状が続く場合や聞こえ方にも変化がある場合は、耳鼻咽喉科へ相談しましょう。

なお、ウォーキングには一般的な健康維持の効果が期待できますが、突発性難聴そのものを治す運動として確立されているわけではありません。

3-2.ランニング・球技など

ランニング、サッカー、テニス、バスケットボールなど、息が上がる運動や急な動きを伴うスポーツは、発症直後から無理に再開しないほうがよいでしょう。

再開するときは、いきなり発症前と同じ練習量へ戻すのではなく、日常生活、短時間の散歩、速歩や軽いジョギングというように、運動時間と強度を少しずつ戻します。

競技への復帰時期は、治療が終わった日だけで決めるものではありません。

めまいの有無、聴力の経過、体力の低下、競技中の接触や転倒の危険性なども考慮する必要があります。

3-3.筋トレ

軽い負荷の筋トレまで一律に禁止されているわけではありません。

発症直後や体調が安定していない時期は、高重量を扱う筋トレや、息を止めて強くいきむ運動を無理に行わないほうが安全です。

筋トレを再開する場合は、次の点を意識しましょう。

  • 発症前より軽い重量から始める
  • 限界まで追い込まない
  • 息を止め続けない
  • セット数や運動時間を減らす
  • めまいや吐き気が出たら中止する
  • 水分を適切に取る
  • 体調不良の日は休む

高負荷の筋トレが突発性難聴を直接悪化させると断定することはできません。

しかし、発症直後に体へ強い負担をかける必要もありません。

競技レベルのトレーニングをしている方は、主治医に競技内容と負荷を具体的に伝えて相談しましょう。

3-4.水泳・ダイビング

水泳は、めまいやふらつきがある間は控えてください。

水中で平衡感覚を失うと、重大な事故につながるおそれがあります。

症状が落ち着いてから再開する場合も、最初は1人で泳がず、監視者がいる環境で短時間から始めることが大切です。

ダイビングは水圧の変化を伴うため、一般的な運動とは分けて考える必要があります。

潜水後に耳が聞こえにくくなった場合は、突発性難聴だけでなく、耳の圧外傷などとの鑑別が必要です。

自己判断で潜水を再開せず、耳鼻咽喉科や潜水医学に詳しい医師へ相談してください。

4.運動を再開する時期

4.運動を再開する時期

突発性難聴の運動再開について、「発症から1週間」「ステロイド治療が終わった翌日」など、すべての人に当てはまる日数は決められません。

再開時期は、主に次の点から判断します。

  • 聴力が安定しているか
  • 聞こえ方が急に悪化していないか
  • めまいやふらつきがないか
  • 発熱、吐き気、強い倦怠感がないか
  • 食事や睡眠を取れているか
  • ステロイド治療中の全身状態に問題がないか
  • 主治医から運動制限を受けていないか
  • 予定している運動に転倒や事故の危険がないか

再開するときは、次のような段階を一例として考えるとよいでしょう。

  • 第1段階 日常生活:室内の移動、着替え、簡単な家事などを行い、めまいや強い疲労が出ないか確認する。
  • 第2段階 軽い活動:短時間の散歩やストレッチなど、息が上がらない活動を行う。
  • 第3段階 通常の運動:軽いジョギング、低負荷の筋トレなどへ進む。発症前より時間と強度を落として始める。
  • 第4段階 高強度の運動:競技スポーツ、高重量の筋トレ、長距離走などは、症状が安定したことを確認し、必要に応じて主治医へ相談してから再開する。

運動後に軽い疲労が出ても、休むことで戻るのであれば、ただちに聴力の悪化を意味するわけではありません。

一方、運動後から聞こえ方の低下が続く、新しい耳鳴りやめまいが現れるといった場合は、運動を中止して耳鼻咽喉科へ相談してください。

【関連記事:突発性難聴の回復過程|改善する人にみられやすい経過と変化】

5.運動不足は突発性難聴の原因になるのか

5.運動不足は突発性難聴の原因になるのか

運動不足だけを、突発性難聴の直接的な原因と判断することはできません。

突発性難聴は、明らかな原因を特定できない急性感音難聴です。

内耳の循環障害やウイルス感染など複数の仮説がありますが、原因が確定しているわけではありません。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、適度な身体活動が循環器病、2型糖尿病、がんなどの予防や、心身の健康維持に役立つことが示されています。

しかし、これは身体活動による一般的な健康効果です。

「運動不足だから突発性難聴になった」「有酸素運動をすれば内耳の血流が増えて治る」「運動によって再発を防げる」とまではいえません。

治療中に休養を取ったことで、一時的に運動量が減っても焦る必要はありません。

症状が落ち着いてから、健康管理の一環として無理のない運動を再開しましょう。

6.運動後に耳が聞こえにくくなった場合

6.運動後に耳が聞こえにくくなった場合

運動中や運動後に片方の耳が急に聞こえにくくなった場合は、「疲れただけ」「運動すれば元に戻る」と自己判断せず、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

特に次のような症状には注意が必要です。

  • 片方の耳が突然聞こえにくくなった
  • 耳が急に詰まったように感じる
  • 突然耳鳴りが始まった
  • 音が響く、割れる、二重に聞こえる
  • めまいやふらつきを伴う
  • 数時間休んでも聞こえ方が戻らない

聞こえにくさの原因には、突発性難聴以外にも耳垢、外耳や中耳の病気、音響外傷、メニエール病、耳の圧外傷などがあります。

運動後に起きたからといって、運動が原因とは限りません。

聴力検査などを受け、原因を確認することが大切です。

また、顔の動かしにくさ、手足のしびれ、ろれつの回りにくさ、激しい頭痛などを伴う場合は、耳だけでなく脳や神経の病気も考慮する必要があります。

速やかに医療機関を受診してください。

7.回復期は段階的に運動を戻す

7.回復期は段階的に運動を戻す

突発性難聴になっても、すべての運動を長期間禁止する必要があるとは限りません。

発症直後や治療中は、激しい運動を無理に続けず、耳鼻咽喉科での治療と体調管理を優先してください。

めまいがある場合は、転倒や事故につながる運動を避ける必要があります。

再開する場合は、日常生活、散歩、軽い運動、通常の運動という順番で段階的に負荷を戻します。

重要なのは、運動だけで回復をコントロールしようとしないことです。

運動の有無にかかわらず、聴力検査を受けて経過を確認し、処方された治療を継続しましょう。

聞こえ方が悪化した場合や、新たな耳鳴り・めまいが現れた場合は、運動を中止して主治医へ相談してください。

8.まとめ

突発性難聴では、すべての運動が一律に禁止されるわけではありません。

発症直後や治療中は、ランニング、高負荷の筋トレ、激しいスポーツなどを無理に行わず、治療と休養を優先します。

運動を再開するときのポイントは次のとおりです。

  • 発症直後は耳鼻咽喉科の受診と治療を優先する
  • ステロイド治療中も一律に運動禁止ではない
  • めまいやふらつきがある間は事故につながる運動を避ける
  • 散歩などの軽い活動から段階的に再開する
  • 激しい運動や競技復帰は主治医へ確認する
  • 運動不足を突発性難聴の直接的な原因と決めつけない
  • 運動だけで突発性難聴が改善するとは考えない
  • 運動後に聞こえ方が変化した場合は耳鼻咽喉科を受診する

体調や治療経過には個人差があります。主治医から具体的な指示を受けている場合は、その指示を優先してください。

突発性難聴の鍼治療を検討している方へ

突発性難聴の鍼治療を検討している方へ

突然聞こえにくくなった場合は、まず耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査と治療を受けてください。

広島市中区のなかいし鍼灸院では、病院で治療を受けても聞こえにくさ、耳鳴り、耳のつまりなどが残り、鍼治療も選択肢として検討している方の相談を受け付けています。

当院では、特に発症から3ヶ月以内の方へ、早めの相談をご案内しています。

鍼治療による変化には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。

現在の症状や発症時期、病院で受けている治療を確認したうえでご案内します。

参考文献

1.Chandrasekhar SS, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update). Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;161(1_suppl):S1-S45.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31369359/

2,National Institute on Deafness and Other Communication Disorders. Sudden Deafness.
https://www.nidcd.nih.gov/health/sudden-deafness

3.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.難聴について
https://www.jibika.or.jp/owned/hwel/hearingloss/

4.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.耳科・聴覚
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=6

5.厚生労働省.健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf

6.MedlinePlus. Barotrauma.
https://medlineplus.gov/barotrauma.html

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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