ストレス性難聴とは?症状や治るまでの期間、突発性難聴との違い

ストレス性難聴とは?症状や治るまでの期間、突発性難聴との違い

仕事や人間関係などで強いストレスが続いているときに、耳が聞こえにくくなったり、耳鳴りや耳の詰まりを感じたりすると、

「ストレスが原因で難聴になったのだろうか」

「これはストレス性難聴なのだろうか」

と心配になる方もいると思います。

また、

「ストレスを減らせば自然に治るのだろうか」

「どれくらいの期間で聞こえが戻るのだろう」

と気になっている方もいるでしょう。

一般に「ストレス性難聴」という言葉が使われることがありますが、これは特定の病気を指す正式な病名ではありません。

ストレスが強い時期に聞こえにくくなった場合でも、突発性難聴や急性低音障害型感音難聴、メニエール病、心因性難聴など、複数の病気が考えられます。

そのため、「最近ストレスが多かったから」と原因を決めつけるのではなく、何が起きているのかを検査で確認することが大切です。

特に、突然片耳が聞こえにくくなった場合は、早期の治療が重要な突発性難聴の可能性があります。

ストレスによる一時的な症状だと思って様子を見ず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

この記事では、ストレスが続いているときに現れる難聴の症状、考えられる病気、突発性難聴との違い、治るまでの期間、検査や治療について解説します。

1.ストレス性難聴とは

1.ストレス性難聴とは

ストレス性難聴とは、強いストレスや疲労が続いている時期に、聞こえにくさや耳鳴り、耳の詰まりなどが現れた場合に使われることがある言葉です。

ただし、ストレス性難聴という名称の1つの病気があるわけではありません。

同じような症状でも、実際に起きている病気によって、発症の仕方、聴力検査の結果、治療方法、その後の経過は異なります。

また、耳の症状が現れる前に強いストレスがあったとしても、それだけでストレスが難聴の直接的な原因だったと判断することはできません。

ストレスや疲労が症状の発症や変動に関係すると考えられる病気はありますが、すべての仕組みが明らかになっているわけではないためです。

ストレス性難聴かどうかを自分で判断するのではなく、耳鼻咽喉科で聴力検査を受け、どのような難聴が起きているのかを確認することが大切です。

2.ストレスが続く時期にみられる耳の症状

2.ストレスが続く時期にみられる耳の症状

ストレスが強い時期に現れる耳の症状には、聞こえにくさ、耳の詰まり、耳鳴り、音の響き、めまいなどがあります。

ただし、これらの症状は複数の耳の病気でみられるため、症状だけで病気を見分けることはできません。

2-1.聞こえにくさ・耳の詰まり

ストレス性難聴を疑うきっかけとして多いのが、聞こえにくさや耳の詰まりです。

次のような症状が現れることがあります。

  • 片方の耳だけ聞こえにくい
  • 耳に水が入ったような感じがする
  • 音がこもって聞こえる
  • 周囲の声が聞き取りにくい
  • 左右の耳で聞こえ方が違う

特に、片耳の聞こえ方が突然変わった場合は、突発性難聴の可能性があります。

一方、両耳が聞こえにくくなる難聴もあります。片耳か両耳かだけで、ストレス性難聴や原因となっている病気を判断することはできません。

2-2.耳鳴り

聞こえにくさと同時に、耳鳴りが現れることもあります。

耳鳴りは「キーン」という高い音だけでなく、「ゴー」「ブーン」といった低い音に感じる場合もあります。

突発性難聴や急性低音障害型感音難聴、メニエール病などでは、難聴と耳鳴りを伴うことがあります。

本人が聞こえにくさを自覚していなくても、聴力検査をすると聴力の低下が見つかる場合があります。

急に耳鳴りが始まった場合や、片耳だけに続く場合は、耳鼻咽喉科で聴力を確認することが大切です。

2-3.低い音の聞こえにくさ

低い音を聞き取る聴力が低下すると、次のような症状を感じることがあります。

  • 耳が詰まった感じがする
  • 自分の声が響いて聞こえる
  • 低い音の耳鳴りがする
  • 聞こえ方に左右差を感じる

このような場合に考えられる病気の1つが、急性低音障害型感音難聴です。

急性低音障害型感音難聴は、主に低い周波数の聴力が低下する病気で、ストレスや疲労との関連が指摘されています。

ただし、自覚症状だけで低音域の聴力が低下しているかを判断することはできません。

聴力検査を受け、どの周波数の聴力がどの程度低下しているのかを確認する必要があります。

2-4.めまい・ふらつき

聞こえにくさや耳鳴りに加えて、めまいやふらつきを感じる場合もあります。

めまいを伴う耳の病気として代表的なのがメニエール病です。

また、突発性難聴でもめまいを伴うことがあります。

ストレスが続いていると、めまいもストレスによるものだと考えやすくなりますが、難聴や耳鳴りを伴っている場合は、耳の病気が関係していないか確認することが大切です。

3.ストレスで聞こえにくくなる場合に考えられる病気

3.ストレスで聞こえにくくなる場合に考えられる病気

ストレスが続いてから耳が聞こえにくくなった場合でも、原因となっている病気は1つではありません。

代表的な病気には、次のようなものがあります。

  • 突発性難聴:突然、片耳が聞こえにくくなる
  • 急性低音障害型感音難聴:低い音が聞こえにくくなり、耳の詰まりなどを伴う
  • メニエール病:難聴や耳鳴りなどの耳症状とめまいを繰り返す
  • 心因性難聴:心理的・社会的な要因が関係すると考えられる

このほか、耳垢、外耳や中耳の病気、耳管機能の問題、騒音、薬剤などによって聞こえにくくなる場合もあります。

症状には個人差があり、症状だけで病気を診断することはできません。

3-1.突発性難聴

突発性難聴は、突然または数日以内に聞こえが悪くなる原因不明の感音難聴です。

多くは片耳に起こり、朝起きたときに聞こえにくくなっていたり、仕事中や日常生活の中で急な変化に気づいたりします。

難聴だけでなく、耳鳴り、耳の詰まり、音の響き、めまいなどを伴うこともあります。

突発性難聴の原因は現在も明確に分かっていません。

発症前にストレスや疲労を感じていた方もいますが、ストレスが直接の原因だと断定することはできません。

また、ストレスによる難聴だから休めば治ると考えて様子を見るのは避けた方がよいでしょう。

突発性難聴は、発症後できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、必要な治療を開始することが重要です。

突発性難聴とストレスの関係については、「突発性難聴はストレスが原因?発症との関係や治るのかを解説」で詳しく解説しています。

3-2.急性低音障害型感音難聴

急性低音障害型感音難聴は、主に低い周波数の聴力が低下する病気です。

低い音が聞こえにくくなるほか、次のような症状がみられることがあります。

  • 耳が詰まった感じがする
  • 自分の声が響いて聞こえる
  • 低い音の耳鳴りがする

ストレスや疲労との関連が指摘されており、比較的若い女性にもみられます。

治療によって改善する場合がありますが、症状を繰り返すこともあります。

また、経過によってはメニエール病との関連を考える必要があります。

3-3.メニエール病

メニエール病は、難聴や耳鳴り、耳の詰まりなどの耳症状と、めまいの発作を繰り返す病気です。

内耳にある内リンパ液が過剰になる内リンパ水腫が関係していると考えられています。

初期には低い周波数の聴力が低下することがあり、急性低音障害型感音難聴と似た症状が現れる場合があります。

ストレス、疲労、睡眠不足などが症状の発症や悪化に関係することもありますが、ストレスによるめまいと自己判断することはできません。

難聴、耳鳴り、耳の詰まりとめまいを繰り返している場合は、耳鼻咽喉科で診断を受けることが大切です。

3-4.心因性難聴

心因性難聴は、心理的・社会的な要因が関係すると考えられる機能性難聴の1つです。

学校生活、家庭環境、人間関係などの負担が関係することがあり、子どもに多くみられますが、大人に起こる場合もあります。

診断では、一般的な聴力検査だけでなく、本人の意思に左右されにくい他覚的聴力検査などを行い、それぞれの検査結果が一致しているかを確認します。

本人が意図的に聞こえないふりをしているという意味ではありません。

また、ストレスが強いという理由だけで心因性難聴と判断することもできません。

まず耳鼻咽喉科で検査を受け、聴力低下を起こすほかの病気がないか確認することが必要です。

4.ストレス性難聴と突発性難聴の違い

4.ストレス性難聴と突発性難聴の違い

ストレス性難聴と突発性難聴は、同じ意味ではありません。

ストレス性難聴は、ストレスが強い時期に起こった難聴に対して一般的に使われることがある表現です。

原因となっている病気によって、症状や経過、治療方法は異なります。

一方、突発性難聴は、突然または数日以内に発症する原因不明の感音難聴です。

両者の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目

ストレス性難聴

突発性難聴

位置づけ

特定の病気を指すとは限らない一般的な表現

医学的な病名

発症の仕方

原因となる病気によって異なる

突然または数日以内に起こる

片耳・両耳

原因となる病気によって異なる

多くは片耳

耳鳴り・耳の詰まり

起こることがある

伴うことがある

めまい

原因となる病気によって異なる

伴うことがある

ストレスとの関係

原因となる病気によって異なる

関連は指摘されるが原因は明確ではない

必要な対応

原因となる病気を確認する

早期の受診と治療が重要

特に注意したいのは、強いストレスが続いているときに、突然片耳が聞こえにくくなった場合です。

本人はストレス性難聴だと思っていても、実際には突発性難聴の可能性があります。

耳鳴りや耳の詰まりだけが目立つ場合もあるため、「ほとんど聞こえない状態ではないから大丈夫」と判断せず、聴力検査を受けることが大切です。

5.ストレス性難聴が治るまでの期間

5.ストレス性難聴が治るまでの期間

ストレス性難聴が治るまでの期間は、原因となっている病気や難聴の程度、治療を始めた時期などによって異なります。

比較的短期間で改善する場合がある一方、症状が長く続いたり、一度改善しても再び現れたりする場合もあります。

ストレス性難聴という1つの病気があるわけではないため、「何日で治る」「何週間で治る」と一律に示すことはできません。

急性低音障害型感音難聴は、治療によって比較的早く改善する場合がありますが、症状を繰り返すことがあります。

メニエール病では、めまいや耳の症状が落ち着く時期がある一方で、発作を繰り返したり、聴力低下が進んだりする場合があります。

心因性難聴の経過は、心理的・社会的な要因や生活環境、年齢などによって異なります。

耳鼻咽喉科だけでなく、必要に応じてほかの診療科や学校、家族などと連携して対応することがあります。

突発性難聴では、発症後の早い段階で聴力が改善する方がいる一方、治療を受けても聞こえにくさや耳鳴りなどが残る方もいます。

そのため、治るまでの期間を予測する前に、まず原因となっている病気を確認し、必要な治療を受けることが重要です。

突発性難聴の回復期間については、「突発性難聴が治るまでの期間|いつまで改善する可能性があるのか」で詳しく解説しています。

6.ストレスを減らせば自然に治るのか

6.ストレスを減らせば自然に治るのか

ストレスや睡眠不足、過労を減らすことは、体調管理や症状を悪化させないために大切です。

しかし、ストレスを減らすだけで難聴が治るとは限りません。

急性低音障害型感音難聴、メニエール病、突発性難聴などが起きている場合は、それぞれの病気に合った検査や治療が必要になります。

一部の難聴では自然に聴力が改善する場合もありますが、発症時点で自然に改善するかどうかを判断することはできません。

特に突発性難聴は、治療を始める時期が重要です。

自然に治る可能性に期待して受診を遅らせることは避けましょう。

休養は治療の代わりではありません。

耳鼻咽喉科で必要な治療を受けながら、睡眠や休養を確保し、身体に大きな負担をかけないことが大切です。

7.聞こえにくいときの検査と治療

7.聞こえにくいときの検査と治療

ストレスが続いている時期に聞こえにくさや耳鳴りが現れた場合は、まず耳鼻咽喉科を受診します。

診察では、次のようなことを確認します。

  • 症状がいつから始まったのか
  • 急に始まったのか、徐々に始まったのか
  • 片耳か両耳か
  • 耳鳴りや耳の詰まりを伴っているか
  • めまいやふらつきがあるか
  • 症状を繰り返しているか
  • 騒音や薬剤などの影響が考えられないか

そのうえで聴力検査を行い、聴力低下の程度、聞こえにくい周波数、左右差などを調べます。

必要に応じて、語音聴力検査、ティンパノメトリー、耳音響放射、聴性脳幹反応などの聴覚検査や、MRIなどの画像検査が行われることもあります。

すべての検査を全員が受けるわけではありません。

症状や聴力検査の結果に応じて、必要な検査が選択されます。

治療方法も、原因となっている病気によって異なります。

  • 突発性難聴:ステロイドによる治療が中心となる
  • 急性低音障害型感音難聴:利尿薬やステロイドなどが使用されることがある
  • メニエール病:薬による治療に加え、睡眠や生活習慣などを見直す
  • 心因性難聴:心理的・社会的な要因や生活環境を確認し、必要に応じてほかの診療科などと連携する

同じようにストレスが続いて耳が聞こえにくくなった場合でも、必要な治療は同じではありません。

自己判断でストレスだけを原因と考えず、診断された病気に合った治療を受けることが大切です。

8.生活上で気をつけたいこと

8.生活上で気をつけたいこと

難聴や耳鳴りなどの治療中は、できるだけ身体に大きな負担をかけない生活を心がけましょう。

十分な睡眠を取り、過労や睡眠不足を避け、休める時間を確保することが大切です。

仕事については、必ず休まなければならないわけではありません。

ただし、聞こえにくさやめまいが強い場合は無理をせず、仕事量を減らしたり、休養を取ったりすることも検討します。

突発性難聴と診断された場合は、病院の治療を優先しながら、体調に合わせて仕事を続けるか休むかを判断します。

突発性難聴で仕事を休む目安については、「突発性難聴で仕事は休むべき?休めない場合の対処法」で詳しく解説しています。

また、次のような症状がある場合は、ストレスによるものだろうと様子を見ず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 突然、片耳が聞こえにくくなった
  • 朝起きたら片耳の聞こえ方が変わっていた
  • 急に耳が詰まった感じがして聞こえにくい
  • 聞こえにくさと同時に耳鳴りが始まった
  • 難聴にめまいやふらつきを伴っている
  • 一度改善した難聴や耳鳴りが再び現れた

特に、突然片耳の聞こえが悪くなった場合は、突発性難聴の可能性があります。受診を先延ばしにしないことが重要です。

9.まとめ

ストレス性難聴は、特定の病気を指す正式な病名ではありません。

ストレスが強い時期に聞こえにくさや耳鳴り、耳の詰まりが現れた場合でも、突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、メニエール病、心因性難聴など、複数の病気が考えられます。

原因となっている病気によって、治療方法や治るまでの期間は異なります。

ストレスを減らして休養を取ることは大切ですが、それだけで治るとは限りません。

特に、突然片耳が聞こえにくくなった場合は、早期の治療が重要な突発性難聴の可能性があります。

ストレスによるものだと自己判断して様子を見ず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けましょう。

原因となっている病気を確認したうえで、必要な治療と無理のない生活を続けることが大切です。

ストレスが続く時期に耳の症状が現れた方へ

ストレスが続く時期に耳の症状が現れた方へ

突然聞こえにくくなった場合や、耳鳴り、耳の詰まり、音の響きなどが現れた場合は、まず耳鼻咽喉科を受診してください。

耳の症状には複数の病気が考えられるため、最初に聴力や耳の状態を確認し、必要な治療を受けることが大切です。

なかいし鍼灸院では、耳鼻咽喉科で検査や治療を受けたうえで、突発性難聴などによる聞こえにくさや耳鳴り、耳の詰まりが続いている方からご相談をいただいています。

当院では、病名だけで判断するのではなく、次のような点を確認したうえで鍼治療をご提案しています。

  • いつ発症したのか
  • 聴力がどのように変化しているのか
  • 現在どのような症状が残っているのか
  • これまでどのような治療を受けてきたのか
  • 睡眠不足や疲労、首や肩の緊張などが重なっていないか

これは当院の臨床経験に基づく対応であり、鍼治療による改善を保証するものではありません。

また、病院の検査や治療に代わるものでもありません。

当院では、発症から3ヶ月以内で、病院の治療と並行して、または病院での治療後も改善を目指したい方を中心にご相談を受けています。

現在の耳の症状に鍼治療が適しているか分からない方は、LINEでご相談ください。

参考文献

1.日本聴覚医学会.急性感音難聴診療の手引き2018年版.金原出版,2018.

2.日本めまい平衡医学会.メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2025年版.金原出版,2025.

3.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.機能性難聴.

4.日本聴覚医学会.耳鳴診療ガイドライン2019年版.金原出版,2019.

5.Chandrasekhar SS, Tsai Do BS, Schwartz SR, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss(Update). Otolaryngol Head Neck Surg. 2019;161(1_suppl):S1-S45.

6.National Institute on Deafness and Other Communication Disorders. Sudden Sensorineural Hearing Loss.

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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