【症例】投球時ズキンとする左肘内側の痛み 10代男性

主訴

  • 左肘内側が投球時ズキンと痛む。
  • 5ヵ月前から少しずつ痛くなってきた。
  • 中学の軟式野球部でファーストを守っているが、半年前からピッチャーをしていた。(以前より投球数が増したため痛みが出てきた可能性あり)
  • 最近は投げた後も痛みが残っている状態。
  • 2ヵ月ほど近所の整骨院に通っていたが変化がないとのこと。(病院には行っていない)

症状

・日常生活で痛みはない。

・投球時のみ痛みがある。

・瞬間的な鋭い痛みである。

トリガーポイント鍼療法

左肘内側上顆付着部の腱、及び骨膜のMPSと判断し、トリガーポイント鍼治療を行いました。

【治療部位】

左肘内側上顆付着部の腱、左肘内側上顆後面骨膜など

橈側手根屈筋トリガーポイント

野球の投球時での肘の痛みは、ほとんど内側の骨周辺です。

この部分は、円回内筋や手根屈筋などが付いており、投球により疲労が蓄積され痛みとなります。

内側上顆の骨膜と内側上顆に付着する筋肉や腱にトリガーポイントが形成されるので、そこが治療するポイントです。

1回目:エコーで左肘内側の骨に異常がないか確認。特に剥離骨折などの所見なし。左肘内側の腱、骨膜に集中して鍼を打つ。患部に鍼が当たると痛みの再現あり。

2回目:前回の治療後、痛みの程度が半分になった。軽くキャッチボールをするよう指導。

3回目:初回10の痛みが3になった。痛みがなければスローイングの距離をのばすよう指導。

数ヵ月後、肩の痛みで来院された際、肘の痛みは3回目の治療後スッキリなくなったとの報告。

まとめ

野球肘の症例でした。

病院で診察を受けていないとのことだったので、まず、鍼治療が適応な状態かエコーで確認しました。

その結果、適応と判断し治療を開始しました。

治療期間は2週間に1回の治療で約1ヵ月かかりました。

症状の原因としては、投球数の過多、いわゆるオーバーユース(使い過ぎ)による痛みです。

我慢して投げていると、骨に異常が出ることもあります。

その場合は、病院で診察を受けた方がいいでしょう。

今回のケースは、肘関節周辺の腱や骨膜など軟部組織からの痛みだったので、鍼治療で改善しました。

私もそうでしたが、野球少年は、我慢して練習する傾向があります。

将来のことも考えて、痛みがあれば早急に治療した方が治りも早いです。

野球肩・野球肘について詳しくはこちら

この記事に関する関連記事

なかいし鍼灸院