突発性難聴の薬とは?種類・効果・飲む期間をわかりやすく解説

突発性難聴の薬とは?種類・効果・飲む期間をわかりやすく解説

耳鼻咽喉科で突発性難聴と診断され、薬を処方されたものの、

「この薬で本当に治るのだろうか。」

「ステロイドは強い薬と聞くけれど、副作用は大丈夫なのだろうか。」

「飲み始めて何日くらいで効果が現れるのだろう。」

と不安を感じている方もいるでしょう。

突発性難聴では、発症後できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、治療を開始することが重要です。

日本ではステロイド薬が標準的に使用されており、ビタミンB12製剤やATP製剤などが併せて処方されることもあります。

ただし、薬を飲めば必ず聴力が回復するわけではありません。

薬の種類や投与方法、服用期間は、聴力低下の程度や発症からの期間、持病などによって異なります。

この記事では、突発性難聴で処方される薬の種類と役割、服用期間、副作用、効果を判断する時期、十分に改善しない場合の治療について分かりやすく解説します。

1.突発性難聴で使われる薬

1.突発性難聴で使われる薬

突発性難聴では、ステロイド薬を中心に、症状や医療機関の治療方針に応じて複数の薬が処方されることがあります。

それぞれの薬は役割が異なるため、処方された目的を理解して服用することが大切です。

1-1.ステロイド薬

日本では、ステロイド薬が突発性難聴の標準的な治療として広く使用されています。

突発性難聴の原因は現在も明確に解明されていませんが、内耳の炎症や免疫反応などが関係している可能性を考え、それらを抑える目的でステロイド薬が使用されます。

海外の診療ガイドラインでも、発症から2週間以内に行う初期治療の選択肢として示されています。

代表的な薬は、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド薬です。

聴力低下の程度や全身状態などに応じて、内服または点滴で投与されます。

点滴であれば必ず内服より高い効果が得られるわけではありません。

投与方法は、難聴の程度、めまいの有無、持病、内服が可能かどうかなどを踏まえて医師が判断します。

ステロイド薬は発症早期に使用することが重要とされていますが、すべての方に同じ効果が現れるわけではありません。

1-2.ビタミンB12製剤

ビタミンB12製剤は、末梢神経の働きを補助する目的で使用される薬です。

突発性難聴では、ステロイド薬などと併用して処方されることがあります。

ただし、ビタミンB12製剤だけで突発性難聴を改善させる効果が確立しているわけではありません。

あくまで治療を補助する位置づけの薬として使用されます。

1-3.ATP製剤や循環改善薬

ATP製剤は、内耳の代謝や循環を改善する目的で処方されることがあります。

そのほか、医療機関の治療方針によって循環改善薬が併用される場合もあります。

これらの薬についても、単独で突発性難聴を改善させる効果が十分に確立しているわけではなく、ステロイド薬などと併用する補助的な位置づけです。

1-4.症状や副作用に応じて処方される薬

突発性難聴に伴う症状や治療中の体調に応じて、次のような薬が処方されることがあります。

  • めまいを和らげる薬
  • 吐き気を抑える薬
  • 胃の不快感を抑える薬
  • 睡眠を補助する薬

これらは、めまいや吐き気などの症状を和らげたり、治療中の体調を管理したりするための薬です。

突発性難聴そのものに対する治療薬とは役割が異なります。

2.薬を飲む期間と効果の判断

2.薬を飲む期間と効果の判断

薬を飲み始めると、

「いつまで飲めば良いのだろう。」

「何日くらいで聞こえが戻るのだろう。」

と気になるかもしれません。

しかし、服用期間や回復の経過には個人差があり、何日飲めば改善すると一律には決められません。

2-1.一般的な服用期間

ステロイド薬は、高用量から開始し、12週間程度で量を減らしながら終了する処方が一般的です。

ただし、実際の投与量や期間、減量方法は、聴力低下の程度、年齢、持病、治療を開始した時期などによって異なります。

ビタミンB12製剤やATP製剤などは、ステロイド薬より長く処方されることがあります。

継続する期間は、聴力検査の結果や症状の経過を見ながら判断されます。

処方された期間がほかの患者さんと違っていても、治療が間違っているとは限りません。

疑問がある場合は、処方した医師に確認しましょう。

2-2.効果が現れる時期

薬を飲み始めても、すぐに聞こえが改善するとは限りません。

治療中から変化が現れる方もいれば、治療後に数週間かけて少しずつ改善する方もいます。

一方で、治療を受けても十分な改善が得られない場合もあります。

そのため、数日間変化がないことだけで、薬が効いていないと判断することはできません。

また、聞こえ方、耳鳴り、耳の詰まり感などの自覚症状と、実際の聴力が一致しないこともあります。

治療の効果は自覚症状だけで判断せず、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けて確認することが大切です。

突発性難聴の改善しやすい時期や経過については、「突発性難聴の回復過程|改善する人にみられやすい経過と変化」の記事で詳しく解説しています。

2-3.ステロイド薬の副作用

ステロイド薬は突発性難聴の治療で広く使用されていますが、副作用が起こる可能性もあります。

短期間の服用でも、次のような症状が現れることがあります。

  • 胃の不快感
  • 食欲の増加
  • 寝つきにくさ
  • 気分の変化
  • 血圧や血糖値の上昇
  • 感染症への注意が必要になる

副作用の現れ方は、投与量、服用期間、年齢、持病などによって異なります。

糖尿病、高血圧、胃潰瘍、緑内障、感染症などの持病がある場合は、治療を始める前に医師へ伝えることが重要です。

副作用が心配な場合や、服用中に気になる症状が現れた場合は、自己判断で中止せず、処方した医師または薬剤師へ相談してください。

2-4.自己判断で薬を中止しない

聞こえが少し改善した場合でも、自分の判断で薬を中止したり、量を変更したりすることは避けましょう。

自覚的には改善していても、聴力検査では十分に回復していない場合があります。

また、ステロイド薬は、あらかじめ決められた量と期間に沿って服用することが大切です。

反対に、変化を感じないからといって、処方された期間の途中で薬をやめることも適切ではありません。

薬の効果や副作用について不安がある場合は、処方した医師へ相談し、聴力検査の結果も踏まえて治療方針を確認しましょう。

3.薬で十分に改善しない場合の治療

3.薬で十分に改善しない場合の治療

ステロイド薬を使用しても、十分な聴力改善が得られない場合があります。

その場合でも、発症からの期間や聴力の状態によって、耳鼻咽喉科で追加治療を検討できることがあります。

まずは処方された薬を自己判断で中止せず、聴力検査を受けて現在の状態を確認することが重要です。

3-1.鼓室内ステロイド注射

鼓室内ステロイド注射は、鼓膜を通して中耳にステロイド薬を注入し、正円窓などを介して内耳へ薬を到達させることを目的とした治療です。

内服や点滴による初期治療で十分な改善が得られなかった場合に、追加治療として検討されることがあります。

また、全身へのステロイド投与が難しい場合に選択されることもあります。

米国の診療ガイドラインでは、十分に回復しなかった方に対する救済治療として、発症後26週間に鼓室内ステロイド治療を行うことが推奨されています。

すべての患者さんが対象になるわけではないため、適応については耳鼻咽喉科での判断が必要です。

3-2.高気圧酸素療法

高気圧酸素療法は、高い気圧環境の中で酸素を吸入し、内耳への酸素供給を高めることを目的とした治療です。

ステロイド治療と併用されることがあり、発症から早い時期ほど検討されやすい治療です。

海外の診療ガイドラインでは、発症2週間以内の初期治療または発症1ヶ月以内の救済治療の選択肢として示されています。

実施できる医療機関は限られており、聴力の状態や持病によっては受けられない場合もあります。

希望する場合は、治療可能な時期を逃さないよう、早めに耳鼻咽喉科へ相談しましょう。

3-3.鍼治療を検討する時期

鍼治療は、ステロイド治療や耳鼻咽喉科で行われる追加治療の代わりになるものではありません。

また、突発性難聴に対する鍼治療の効果は、現在のところ十分に確立していません。

当院では、耳鼻咽喉科での治療を続けながら、鍼治療を併用したい方の相談を受けています。

当院の臨床では、突発性難聴の患者さんに首や肩周辺の強い筋緊張がみられることがあるため、耳の症状だけでなく、首や肩を含めた身体の状態を評価したうえで施術を行っています。

これは当院の臨床経験に基づく施術方針であり、首や肩の筋緊張が突発性難聴の原因であることや、鍼治療によって必ず聴力が改善することを示すものではありません。

薬を飲んでも変化がみられない場合は、まず耳鼻咽喉科で聴力を再検し、鼓室内ステロイド注射や高気圧酸素療法などの適応を確認することが大切です。

そのうえで、標準治療と並行してできることを探している場合は、鍼治療を補完的な選択肢として検討できます。

4.治療中の生活で気をつけること

4.治療中の生活で気をつけること

突発性難聴の治療中は、薬を正しく服用するとともに、体調を崩さないように過ごすことも大切です。

ただし、生活習慣を整えれば必ず聴力が回復するという意味ではありません。

4-1.睡眠と休養を確保する

発症直後は、無理を避けて睡眠と休養を確保しましょう。

仕事や家事を完全に休めない場合でも、残業を減らす、夜更かしを避ける、休憩時間を確保するなど、できる範囲で体への負担を減らすことが大切です。

仕事を休む必要があるか迷う場合は、聴力低下の程度やめまいの有無を踏まえて医師へ相談しましょう。

4-2.飲酒や喫煙を控える

治療中の飲酒については、服用している薬や全身状態によって対応が異なります。

飲酒してもよいか分からない場合は、医師または薬剤師へ確認してください。

喫煙は健康へのさまざまな影響があるため、治療中はできるだけ控えましょう。

4-3.市販薬やサプリメントの併用を確認する

市販薬やサプリメントのすべてが問題になるわけではありませんが、処方薬との飲み合わせに注意が必要な場合があります。

新たに使用したい市販薬やサプリメントがある場合は、自己判断で追加せず、医師または薬剤師へ相談しましょう。

5.まとめ

突発性難聴では、日本ではステロイド薬が標準的な治療として広く使用されています。

ビタミンB12製剤やATP製剤などが併用されることもありますが、これらは補助的な位置づけです。

ステロイド薬の服用期間は12週間程度が一般的ですが、投与量や減量方法は、聴力低下の程度や持病などによって異なります。

治療を始めても、すぐに聞こえが改善するとは限りません。効果は自覚症状だけで判断せず、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けて確認することが大切です。

薬で十分に改善しない場合には、発症からの期間や聴力の状態によって、鼓室内ステロイド注射や高気圧酸素療法が検討されることがあります。

追加治療を受けられる時期には限りがあるため、変化がみられない場合は早めに耳鼻咽喉科へ相談しましょう。

鍼治療は標準治療の代わりではありませんが、耳鼻咽喉科での治療と並行してできることを探している場合には、補完的な選択肢の1つになります。

薬を飲んでも改善せず不安な方へ

薬を飲んでも改善せず不安な方へ

薬を飲み始めたものの、

「聞こえがほとんど変わらない。」

「このまま治らないのではないか。」

と不安を感じていませんか。

薬を飲んでも変化がみられない場合は、まず耳鼻咽喉科で聴力を再検し、追加治療の適応がないか確認することが大切です。

当院では、耳鼻咽喉科での治療を続けながら、耳の症状だけでなく、首や肩周辺の筋緊張を含めて身体の状態を評価し、一人ひとりに合わせた施術を行っています。

鍼治療による改善を保証することはできませんが、発症から3ヶ月以内で、標準治療と並行してできることを探している方は、お早めに当院へご相談ください。

参考文献

1.日本聴覚医学会編. 急性感音難聴診療の手引き 2018年版. 金原出版, 2018.

2.Chandrasekhar SS, Tsai Do BS, Schwartz SR, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing LossUpdate. Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;1611_suppl:S1-S45.

3.厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル(独立行政法人医薬品医療機器総合機構ウェブサイト掲載).

4.MSDマニュアル プロフェッショナル版. 突発性難聴.

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

耳鳴り・突発性難聴について詳しくはこちら

この記事に関する関連記事

なかいし鍼灸院