突発性難聴は治るのか?症状と経過から改善の可能性を解説

突発性難聴は治るのか?症状と経過から改善の可能性を解説

「突発性難聴」と検索すると、

3分の1は治る」

「半分くらいは治る」

「重症だと治りにくい」

といった、さまざまな情報が出てきます。

しかし、全体の回復率を見ても、自分が治るのかという最も知りたい答えまでは分かりません。

実際に当院へ来院される患者さんからも、

「先生、私は治りますか?」

というご質問をよくいただきます。

突発性難聴は、聴力が元の状態に近づく方もいれば、ある程度まで改善する方、聞こえにくさや耳鳴りなどが残る方もいる病気です。

また、聴力検査では改善していても耳鳴りが残る場合や、聴力の変化が小さくても耳の詰まり感などの自覚症状が軽くなる場合があります。

そのため、「治った」「治らなかった」という2つだけでは、その経過を十分に表せません。

改善の可能性を考えるときは、

  • 発症からどれくらい経過しているか
  • 難聴はどの程度なのか
  • 耳鳴りやめまいを伴っているか
  • 治療開始後に変化がみられるか

などを総合的に確認する必要があります。

この記事では、突発性難聴は治る病気なのかを説明したうえで、発症からの経過、難聴の重症度、耳鳴りやめまいの有無、治療後の変化から、改善の可能性をどのように考えればよいのかを解説します。

現在の自分の状態と照らし合わせながら、読み進めてみてください。

1.突発性難聴の治り方には個人差がある

1.突発性難聴の治り方には個人差がある

結論からお伝えすると、突発性難聴は治る方もいれば、聞こえにくさや耳鳴りなどの症状が残る方もいます。

そのため、「必ず治る病気です」とも「1度発症すると治らない病気です」とも言うことはできません。

研究では一定の割合で聴力が回復することが報告されていますが、治癒率や改善率は、対象となった患者さんの重症度、治療開始時期、治療方法、治癒の判定基準などによって変わります。

また、治療を受けなくても自然に聴力が改善する方がいる一方で、早期に適切な治療を受けても十分に回復しない方もいます。

自然に改善するかどうかを発症時に予測することはできないため、自己判断で様子を見ず、早めに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

突発性難聴の回復には、次のような違いがあります。

  • 聴力検査上、治癒と判定されるまで回復する
  • 聴力は改善したものの、発症前の状態までは戻らない
  • 聴力は回復しても耳鳴りや耳の詰まり感が残る
  • 自覚症状は軽くなっても、聴力検査の変化は小さい
  • 一定のところまで改善した後、変化がみられなくなる

このように、聴力検査上の回復と、耳鳴りや耳閉感などの自覚症状の改善は必ずしも一致しません。

突発性難聴が治るかどうかを考えるときは、「治る」という言葉だけで判断せず、聴力と自覚症状を分けて経過を確認することが大切です。

2.改善の可能性を考える4つのポイント

2.改善の可能性を考える4つのポイント

突発性難聴の予後は、1つの条件だけで決まるものではありません。

ここでは、改善の可能性を考えるうえで特に重要な4つのポイントを説明します。

2-1.発症からの期間

発症からの期間は、改善の可能性を考えるうえで重要な要素の1つです。

一般的に、突発性難聴は発症後できるだけ早く診断を受け、治療を開始することが重要とされています。特に発症から12週間は、初期治療を検討するうえで大切な時期です。

時間が経過するほど改善しにくくなる傾向はありますが、発症からの日数だけで、その後の経過が決まるわけではありません。

2-2.難聴の重症度

一般的には、難聴が軽いほど改善しやすく、高度・重度になるほど回復が難しくなる傾向があります。

ただし、重症だから改善しない、軽症だから必ず治るという意味ではありません。

発症時の聴力に加えて、治療開始時期や治療後の変化、めまいの有無なども合わせて判断する必要があります。

2-3.耳鳴りやめまいの有無

めまいを伴う突発性難聴は、めまいがない場合と比べて聴力の回復が難しい傾向が報告されています。

一方、耳鳴りは突発性難聴でよくみられる症状です。耳鳴りがあることだけで、聴力の予後が悪いと判断することはできません。

耳鳴りと聴力の回復は必ずしも一致しないため、それぞれを分けて経過を確認することが大切です。

2-4.治療開始後の変化

発症時の状態だけでなく、治療を始めてから聴力がどのように変化しているかも重要です。

例えば、

  • 聴力検査で改善がみられる
  • 聞き取れる音が少しずつ増えている
  • 耳鳴りや耳の詰まり感に変化がある
  • めまいが軽くなっている

などの変化がみられることがあります。

ただし、耳鳴りや耳閉感などの自覚症状が変化しても、聴力が同じように回復しているとは限りません。

聴力の経過は、耳鼻咽喉科で検査を受けて確認する必要があります。

当院では、発症から2週間以内に聴力が大きく改善し始めた方が、その後も回復を続けたケースを経験しています。

反対に、治療開始後すぐに変化がみられなくても、その時点で改善の可能性がなくなったとは言い切れません。

発症からの期間や重症度なども含めて、慎重に経過をみる必要があります。

このほか、年齢や聴力低下の特徴なども予後に関係すると報告されています。

大切なのは、1つの条件だけで結論を出さないことです。

3.発症からの経過と改善の可能性

3.発症からの経過と改善の可能性

突発性難聴では、発症からどれくらい経過しているかによって、治療の選択肢や一般的な回復の傾向が変わります。

ここでは、発症からの時期ごとに経過の目安を解説します。

3-1.発症から1週間以内

発症から1週間以内は、早期の診断と治療が特に重要な時期です。

この時期にステロイド治療などが開始され、聴力が回復し始める方もいます。

一方、治療を開始して数日で大きな変化がみられない方もいます。この時点で治らないと判断せず、耳鼻咽喉科で治療を続けながら聴力の経過を確認することが大切です。

まだ耳鼻咽喉科を受診していない場合は、できるだけ早く受診してください。

3-2.発症から1〜2週間

発症から12週間が経過すると、治療後の変化が少しずつ確認できることがあります。

この時期は、

  • 聴力検査で改善しているか
  • 聞き取れる音が増えているか
  • 耳鳴りや耳の詰まり感が変化しているか
  • めまいが軽くなっているか

などを確認します。

自覚的な変化が乏しくても、聴力検査では改善していることがあります。

反対に、聞こえ方が良くなったように感じても、聴力が十分に戻っていない場合があります。

感覚だけで判断せず、聴力検査で経過を確認することが重要です。

3-3.発症から2週間〜1ヶ月

発症から2週間を過ぎると、

「もう改善しないのではないか」

と不安になる方もいると思います。

発症直後と比べると治療の選択肢は限られてきますが、1ヶ月頃まで聴力が改善する方もいます。

この時期は、毎日のわずかな変化だけを見るのではなく、前回の聴力検査や12週間前の状態と比較することが大切です。

初期治療で十分な回復が得られていない場合は、鼓室内ステロイド注射や高気圧酸素療法などが検討されることもあります。

治療ごとに適応や検討される時期が異なるため、早めに主治医へ相談してください。

3-4.発症から1ヶ月以上

発症から1ヶ月以上経過すると、発症初期と比べて聴力の大幅な回復は難しくなる傾向があります。

耳鼻咽喉科で、

「標準的な治療は一区切りです」

「これ以上の聴力改善は難しいかもしれません」

と説明されることもあります。

ただし、1ヶ月を過ぎた時点で全ての方の変化が止まるわけではありません。

当院では、発症から1ヶ月以上経過した後に、数ヶ月かけて聴力や自覚症状が少しずつ改善した患者さんを経験しています。

ただし、これは全ての方に同じ経過が期待できるという意味ではありません。

発症直後と比べると改善しにくくなるため、これまでの聴力検査と現在の症状を踏まえ、今後の方針を主治医と相談することが大切です。

改善しやすい時期や治るまでの期間について詳しく知りたい方は、「突発性難聴が治るまでの期間|いつまで改善する可能性があるのか」の記事も参考にしてください。

4.難聴の重症度と改善の可能性

4.難聴の重症度と改善の可能性

突発性難聴では、発症からの時間だけでなく、どの程度聴力が低下しているかも予後に関係します。

一般的には、難聴が軽いほど改善しやすく、高度になるほど回復が難しくなる傾向があります。

4-1.軽度の難聴

軽度の難聴は、比較的改善しやすい傾向があります。

ただし、日常会話への影響が小さいため、様子を見てしまい、受診が遅れることがあります。

特に高い音だけが聞こえにくい場合は、会話に大きな支障がなく、異常に気付きにくいことがあります。

軽症だから治療が必要ないと判断せず、耳鳴りや耳の詰まり感、左右の聞こえ方の違いを感じた場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

4-2.中等度の難聴

中等度になると、会話が聞き取りにくくなり、日常生活でも不便を感じやすくなります。

この段階では、

  • 発症から何日で治療を開始したか
  • 治療開始後に聴力が改善しているか
  • めまいを伴っているか

などによって、その後の経過が変わります。

中等度という分類だけで予後を判断せず、治療後の聴力検査を継続して確認する必要があります。

4-3.高度・重度の難聴

高度・重度難聴では、軽症と比べて聴力の回復が難しく、改善しても発症前の状態まで戻らないことがあります。

ほとんど聞こえない、大きな音しか分からないという状態では、不安も大きくなると思います。

しかし、重症度だけでその後の経過が決まるわけではありません。

当院でも、発症時はほとんど聞こえなかったものの、発症後早い時期から聴力が改善し始め、その後も回復が続いたケースを経験しています。

反対に、軽症でも改善が十分に進まない場合があります。

重症だから治らない、軽症だから安心と決めつけず、発症からの期間や治療後の変化も含めて考えることが大切です。

4-4.Gradeだけで判断しない

突発性難聴では、複数の周波数の聴力レベルを平均し、重症度をGrade1Grade4に分類することがあります。

数字が大きいほど難聴が重い分類です。

一般的には、Grade12は比較的改善しやすく、Grade34では回復が難しくなる傾向があります。

ただし、Gradeは診断時の重症度を表すものであり、それだけで個人の予後を決めるものではありません。

実際の経過は、

  • 発症から治療開始までの期間
  • 治療後の聴力変化
  • めまいの有無
  • 年齢
  • 聴力低下の特徴

なども含めて判断する必要があります。

Grade3だから治らない」「Grade2だから安心」と考えず、自分の現在の状態を総合的に確認することが重要です。

5.耳鳴りやめまいと改善の可能性

5.耳鳴りやめまいと改善の可能性

突発性難聴では、聞こえにくさだけでなく、耳鳴り、耳の詰まり感、めまいなどを伴うことがあります。

症状によって予後に違いがみられることはありますが、症状の数だけで改善の可能性を判断することはできません。

5-1.耳鳴りがある場合

耳鳴りは、突発性難聴でよくみられる症状です。

耳鳴りがあることだけで、聴力の予後が悪いとは言えません。

また、耳鳴りと聴力は同じように回復するとは限りません。

聴力が改善しても耳鳴りが残る方もいれば、聴力検査の変化は小さくても、耳鳴りが軽くなる方もいます。

当院では、自覚症状の経過をみる際に、

  • 音の高さが変わる
  • 音の大きさが変わる
  • 日によって感じ方が違う
  • 耳鳴りが小さい時間が増える

といった変化も確認しています。

当院の臨床経験では、このような変化がみられる方は、その後も耳鳴りが改善することがあります。

一方、発症から時間が経過しても音の種類や大きさがほとんど変わらない場合は、改善に時間がかかる傾向を感じています。

ただし、これは当院の臨床的な見解であり、耳鳴りの変化だけで聴力や最終的な予後を判断することはできません。

5-2.めまいがある場合

めまいを伴う突発性難聴は、めまいがない場合よりも聴力の回復が難しい傾向があります。

音を感じる蝸牛だけでなく、平衡感覚に関係する前庭にも影響が及んでいる可能性があるため、めまいは予後に関係する要素の1つと考えられています。

しかし、めまいがあるから改善しないわけではありません。

当院でも、めまいを伴っていた患者さんの聴力やめまいが改善したケースを経験しています。

めまいの有無だけで判断せず、

  • 発症からどれくらい経過しているか
  • 治療後に聴力が改善しているか
  • めまい自体が軽くなっているか
  • 他の神経症状が出ていないか

などを確認することが大切です。

激しい頭痛、手足のしびれや動かしにくさ、ろれつが回らない、物が二重に見えるなどの症状を伴う場合は、突発性難聴以外の病気も考えられるため、速やかに医療機関を受診してください。

耳鳴りやめまいが残っている場合の経過については、「突発性難聴で耳鳴りが治らない改善する可能性はある?」「突発性難聴のめまいが治らないいつまで続く?改善の可能性と対処法」の記事で詳しく解説しています。

6.改善の可能性を考える4つの目安

6.改善の可能性を考える4つの目安

ここまでの内容をもとに、現在の状態を整理してみましょう。

以下は、あくまでも一般的な傾向です。個人の予後を判定するものではありません。

6-1.発症から1週間以内で軽症〜中等症

  • 発症から1週間以内
  • 軽症~中等症
  • めまいはない
  • 耳鼻咽喉科で治療を開始している

この状態では、比較的良好な経過が期待されます。

ただし、軽症だから大丈夫と自己判断せず、耳鼻咽喉科で治療を受け、聴力検査で経過を確認することが大切です。

6-2.重症でも治療後に改善がみられる

  • 高度・重度難聴
  • 発症から2週間以内
  • 聴力検査や聞こえ方に改善がみられる
  • めまいがあっても軽くなっている

重症例でも、治療開始後に聴力の改善がみられる場合は、その後も回復が続くことがあります。

一方、初期の改善がみられたからといって、発症前の聴力まで戻るとは限りません。

引き続き聴力検査で経過を確認する必要があります。

6-3.発症から2週間〜1ヶ月で少しずつ改善している

  • 発症から2週間~1ヶ月
  • 聴力が少しずつ改善している
  • 耳鳴りや耳の詰まり感にも変化がある

この状態では、改善のスピードが緩やかでも、その後に回復が続くことがあります。

毎日の変化だけで判断せず、12週間前の状態や前回の聴力検査と比較してみましょう。

6-4.発症から1ヶ月以上経過して変化が乏しい

  • 発症から1ヶ月以上
  • 聴力検査で大きな改善がみられない
  • 耳鼻咽喉科で聴力の回復は難しいと説明された

この状態では、発症初期と比べて聴力が改善する可能性は低くなります。

ただし、改善の可能性が完全になくなったとは言い切れません。

聴力だけでなく、耳鳴り、耳閉感、めまいなどの自覚症状が変化する場合もあります。

これまでの経過と現在の状態を整理し、今後の治療や症状への対処について主治医と相談することが大切です。

7.改善を目指すために今できること

7.改善を目指すために今できること

突発性難聴では、改善が期待できる時期を逃さないことが大切です。

まずは耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査と適切な治療を受けてください。

治療中の場合は、自己判断で薬を中止せず、聴力検査で経過を確認することが基本です。

初期治療で十分な改善が得られない場合は、鼓室内ステロイド注射や高気圧酸素療法などが検討されることもあります。

これらは治療ごとに適応や検討される時期が異なります。

希望すれば必ず受けられる治療ではないため、できるだけ早く主治医へ相談してください。

当院では、耳鼻咽喉科での診断と治療を基本としながら、鍼治療の併用を希望する方の相談に対応しています。

鍼治療は突発性難聴の標準治療に代わるものではなく、全ての方に改善を保証できる治療でもありません。

そのうえで当院では、発症からの期間、聴力検査の経過、耳鳴りや耳閉感、めまいなどの状態を確認しながら、改善を目指して施術を行っています。

患者さんから、

「私は治りますか?」

と聞かれることがあります。

しかし、どの程度まで改善するかを事前に正確に予測することはできません。

だからこそ、全体の回復率や他の人の体験談だけで結論を出さず、現在の状態を確認したうえで、今できる治療や対処を検討することが大切です。

8.まとめ

突発性難聴は、聴力が元の状態に近づく方もいれば、ある程度まで改善する方、聞こえにくさや耳鳴りなどが残る方もいます。

インターネットで紹介されている回復率や体験談だけで、自分の予後を判断することはできません。

改善の可能性を考えるうえでは、

  • 発症からどれくらい経過しているか
  • 難聴の重症度
  • 耳鳴りやめまいの有無
  • 治療開始後の聴力や症状の変化

などを総合的に確認することが大切です。

特に、発症後早い時期に耳鼻咽喉科を受診し、必要な治療を開始することが重要です。

一方、重症だから治らない、めまいがあるから治らないと、1つの条件だけで結果が決まるわけではありません。

現在の聴力とこれまでの経過を正しく把握し、改善が期待できる時期を逃さず治療に取り組みましょう。

まだ改善する可能性があるのか不安な方へ

まだ改善する可能性があるのか不安な方へ

発症から3ヶ月以内で、

  • このまま治らないのではないかと不安な方
  • 耳鼻咽喉科で治療を受けているものの、改善が思わしくない方
  • 現在の状態を整理し、今後できることを相談したい方

当院では、耳鼻咽喉科での治療を基本としながら、鍼治療の併用を希望する方の相談に対応しています。

改善を保証することはできませんが、発症からの期間や聴力検査の経過、自覚症状を確認したうえで、当院で対応できることをご説明します。

1人で悩まず、1度当院へご相談ください。

参考文献

1. 日本聴覚医学会 編.急性感音難聴診療の手引き 2018年版.金原出版,2018

2. Chandrasekhar SS, Tsai Do BS, Schwartz SR, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update). Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2019;161(1_suppl):S1-S45.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31369359/

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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