突発性難聴の入院レベルは?基準、期間、費用、治療内容を解説

突発性難聴の入院レベルは?基準、期間、費用、治療内容を解説

突発性難聴と診断され、

「入院した方がよいのでしょうか。」

「通院でも治療できるのでしょうか。」

と悩んでいる方もいると思います。

医師から入院を勧められても、仕事や家庭の事情を考えると、1週間以上入院するのは難しい場合もあるでしょう。

一方で、

「通院より入院した方が治りやすいのではないか。」

「入院しなかったことで回復しなかったら後悔する。」

と考えると、簡単には決められないと思います。

突発性難聴には、全国共通の明確な入院基準があるわけではありません。

聴力低下の程度、めまいの有無、基礎疾患、全身状態、外来通院が可能かなどを確認したうえで、入院が必要か判断されます。

また、入院そのものが聴力を回復させるわけではありません。

大切なのは、現在の状態に合った治療をできるだけ早く開始することです。

この記事では、突発性難聴で入院が検討される状態、入院する理由、治療内容、期間、費用について解説します。

入院した方が治りやすいのか、入院できない場合はどうするのか、入院中や退院後に改善しない場合に考えたいこともお伝えします。

1.突発性難聴で入院が検討される状態

1.突発性難聴で入院が検討される状態

突発性難聴には、「この数値を超えたら必ず入院する」という全国一律の基準はありません。

一般的には、次のような場合に入院が検討されやすくなります。

  • 聴力低下が強い
  • 強いめまいや吐き気を伴っている
  • 糖尿病などの基礎疾患がある
  • ステロイド治療中の全身管理が必要
  • 自宅での生活や外来通院が難しい

実際の判断は、患者さんの状態や医療機関の治療方針によって異なります。

1-1.聴力低下が強い場合

入院の必要性を判断するうえで、まず確認されるのが聴力低下の程度です。

耳鼻咽喉科では、純音聴力検査の結果をもとに、突発性難聴の重症度をGrade1~4に分類します。

重症度

5周波数の平均聴力レベル

Grade1

40dB未満

Grade2

40dB以上60dB未満

Grade3

60dB以上90dB未満

Grade4

90dB以上

平均聴力レベルは、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzの5周波数の聴力から算出します。

この重症度分類は、原則として発症後2週間までの症例に適用されます。

また、初診時にめまいがある場合には「a」、めまいがない場合には「b」を付けて区分します。

数字が大きいほど患側の聴力低下が強いことを示しますが、実際の日常生活での聞こえ方は、反対側の耳の聴力や聞こえにくい周波数などによっても変わります。

突発性難聴263例を重症度別に検討した研究では、Gradeが高くなるほど予後が悪くなり、特にGrade4でめまいを伴う症例では予後が不良だったと報告されています。

そのため、Grade3となる60dB以上の高度難聴やGrade4は、入院が検討されやすくなる1つの目安です。

ただし、この重症度分類は入院の可否を直接決めるものではありません。

60dB以上なら必ず入院し、60dB未満なら入院する必要がないということではなく、ほかの症状や全身状態を含めて判断されます。

1-2.めまいが強い場合

突発性難聴に強いめまいを伴っている場合も、入院が検討されることがあります。

特に、次のような状態では、聴力だけでなく安全に生活できるかという点からも入院が必要になることがあります。

  • 強い回転性のめまいがある
  • 吐き気や嘔吐が続いている
  • ふらつきが強く歩くことが難しい
  • 1人で日常生活を送ることが難しい
  • めまいによって外来通院ができない

また、めまいを伴う突発性難聴は、めまいのない場合と比べて予後が悪くなる傾向が報告されています。

1-3.基礎疾患や全身状態の管理が必要な場合

糖尿病などの基礎疾患がある場合も、入院が検討されることがあります。

突発性難聴の治療で使用されるステロイドには、血糖値を上昇させる作用があります。

そのため、糖尿病がある方では、血糖値を確認しながら治療を行う必要があります。

そのほか、年齢、全身状態、使用する薬、外来通院が可能かなどによっても、入院の必要性は変わります。

入院を勧められた場合は、自分がどのような理由で入院した方がよいと判断されたのかを主治医に確認しましょう。

2.突発性難聴で入院する目的

2.突発性難聴で入院する目的

突発性難聴で入院を勧められると、

「薬や点滴なら通院でも受けられるのではないか。」

と思う方もいるでしょう。

入院する目的は、入院そのものによって聴力を回復させることではありません。

重症度や全身状態に合った治療を継続しながら、聴力や体の状態を確認できることが入院の大きな目的です。

入院中は、次のような対応を受けやすくなります。

  • ステロイドの点滴などを計画どおりに継続する
  • 定期的に聴力検査を行う
  • 聴力の変化に応じて治療方針を検討する
  • 血糖値などを確認しながら副作用を管理する
  • 強いめまいや吐き気に対応する
  • 転倒などの危険を避けながら療養する

特に、強いめまいや吐き気がある場合には、自宅で生活しながら通院すること自体が難しいこともあります。

一方で、聴力低下が比較的軽く、全身状態に問題がなく、外来で必要な治療を継続できる場合には、通院で治療することもあります。

入院は特別な治療法ではなく、必要な治療と全身管理を行いやすくするための治療環境の1つと考えると分かりやすいでしょう。

3.入院した方が治りやすいのか

3.入院した方が治りやすいのか

入院を勧められたときに最も気になるのは、通院より入院した方が治りやすいのかということではないでしょうか。

結論からいえば、入院すれば必ず聴力が回復しやすくなるとまではいえません。

突発性難聴の治療ではステロイドが中心となり、症状や重症度、基礎疾患などに応じて、内服や点滴などによる治療が行われます。

入院治療と外来治療を比較した後ろ向き研究では、入院群の方が聴力回復率が高かったという報告があります。

ただし、入院と外来では、患者さんの状態、治療内容、治療を開始するまでの期間、療養環境などに違いがある可能性があります。

そのため、この研究だけで、入院そのものが聴力を回復させたと判断することはできません。

つまり、入院するか通院するかだけで治療結果が決まるわけではありません。

ただし、これは入院する意味がないということではありません。

高度な聴力低下、強いめまい、糖尿病などがある場合には、入院することで全身状態を確認しながら安全に治療を継続できます。

大切なのは、入院すれば治る、通院だから治りにくいと単純に考えるのではなく、現在の重症度や全身状態に合った方法で、必要な治療をできるだけ早く受けることです。

入院するか迷っている間に治療開始が遅れないよう、主治医と相談して方針を決めましょう。

4.入院期間・費用・治療内容

4.入院期間・費用・治療内容

4-1.入院期間

突発性難聴の入院期間は、一般的に1~2週間程度です。

ただし、実際の期間は次のような条件によって異なります。

  • 聴力低下の程度
  • めまいや吐き気の状態
  • ステロイドの投与方法
  • 基礎疾患や全身状態
  • 治療による聴力の変化
  • 医療機関の治療方針

1週間程度で退院する方もいれば、状態によっては2週間以上の入院が必要になることもあります。

4-2.入院費用

突発性難聴の入院費用は、3割負担の場合、1週間で数万円から十数万円程度になることがあります。

ただし、これはあくまで目安です。

実際の自己負担額は、次の条件によって大きく変わります。

  • 入院日数
  • 自己負担割合
  • 検査や治療の内容
  • 高気圧酸素療法などの実施
  • 入院する医療機関
  • 個室を利用するか
  • 高額療養費制度の所得区分

保険診療による医療費の自己負担額が一定額を超えた場合には、高額療養費制度を利用できることがあります。

ただし、入院中の食事代や差額ベッド代などは、高額療養費制度の対象に含まれません。

費用が心配な場合は、入院前に医療機関の相談窓口で概算を確認しておくとよいでしょう。

4-3.入院中に行われる検査

入院中または外来で、必要に応じて次のような検査が行われます。

4-3-1.聴力検査

純音聴力検査などを行い、どの周波数の音がどの程度聞こえにくいのかを確認します。

入院中も定期的に検査を行い、治療によって聴力がどのように変化しているのかを確認します。

必要に応じて、言葉の聞き取りを調べる語音聴力検査などが行われることもあります。

4-3-2.血液検査

血糖値をはじめとした全身状態や、治療を行ううえで問題となる異常がないかを確認します。

検査項目は基礎疾患や使用する薬によって異なります。

4-3-3.MRI検査

聴神経腫瘍など、突発性難聴と似た症状を起こすほかの病気を除外するため、必要に応じてMRI検査が行われます。

MRIの実施時期や必要性は患者さんの状態によって異なり、すべての方が入院直後に受けるわけではありません。

4-4.入院中に行われる治療

4-4-1.ステロイド療法

突発性難聴では、ステロイドの全身投与が中心的な治療として行われています。

入院では数日間ステロイドを点滴し、その後、量を減らしながら内服へ切り替える場合があります。

ただし、使用する薬、投与量、投与方法、治療期間は医療機関や患者さんの状態によって異なります。

治療中は、血糖値の上昇、胃腸症状、不眠などの副作用に注意しながら経過を確認します。

4-4-2.補助的な薬物療法

医療機関によっては、血流改善薬、ビタミン剤、代謝改善薬などが補助的に使用されることがあります。

使用する薬や組み合わせは医療機関によって異なり、すべての患者さんに同じ治療が行われるわけではありません。

4-3-3.高気圧酸素療法

高気圧酸素療法は、高い気圧の環境で酸素を吸入し、内耳への酸素供給を増やすことを目的とした治療です。

ステロイド治療と組み合わせて行われることがありますが、実施できる医療機関は限られています。

発症からの期間、聴力低下の程度、ほかの治療の経過などを考慮して適応が検討されます。

4-3-4. 鼓室内ステロイド療法

初期治療で十分な改善がみられなかった場合には、鼓膜から中耳へステロイドを投与する鼓室内ステロイド療法が検討されることがあります。

また、糖尿病などによってステロイドの全身投与が難しい場合に選択されることもあります。

どの治療を行うかは、聴力低下の程度、発症からの期間、基礎疾患、これまでの治療内容、医療機関の方針などによって異なります。

なお、1~2週間で退院するからといって、その時点で聴力の回復が終わるわけではありません。

退院後も聴力が変化することがあるため、引き続き耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けながら経過を確認することが大切です。

5.入院できない場合の治療

5.入院できない場合の治療

医師から入院を勧められても、仕事や育児、介護などの事情で入院できないこともあると思います。

突発性難聴は、必ず入院しなければ治療できない病気ではありません。

患者さんの状態や医療機関の方針によっては、外来で治療を受けられる場合があります。

外来では、次のような治療が検討されます。

  • ステロイドの内服
  • 通院によるステロイドの点滴
  • 鼓室内ステロイド療法
  • 実施可能な医療機関での高気圧酸素療法

例えば、入院では数日間続けて行うステロイドの点滴を、毎日通院して受ける方法があります。

ステロイドの内服薬を使用して治療を進めることもあります。

ただし、重度の難聴、強いめまいや嘔吐、糖尿病などがあり、治療中の管理が必要な場合には、入院した方が安全なこともあります。

入院を勧められたものの難しい場合は、自分だけで通院へ変更せず、入院できない事情を主治医に伝えてください。

そのうえで、外来で受けられる治療、通院頻度、自宅で注意する症状などを確認しましょう。

入院が難しいことを理由に治療を受けず、治療開始が遅れてしまうことは避けたいところです。

6.入院中や退院後に改善しない場合

6.入院中や退院後に改善しない場合

入院中はステロイドの点滴などを受けながら、定期的に聴力検査を行い、聞こえの変化を確認します。

しかし、

「何日経っても聞こえ方が変わらない。」

「入院までしたのに、本当に治るのだろうか。」

と不安になる方もいると思います。

突発性難聴は、治療開始後すぐに聴力が変化する方もいれば、数日から数週間かけて変化していく方もいます。

そのため、入院中に自覚的な改善を感じられないからといって、その時点で治らないと決まったわけではありません。

自覚的には変化が分かりにくくても、聴力検査では改善している場合があります。

まずは予定されている治療を受け、検査結果を確認することが大切です。

一方で、初期治療を行っても十分な改善がみられない場合には、鼓室内ステロイド療法や高気圧酸素療法など、追加治療の適応について検討されることがあります。

退院後も耳鼻咽喉科への通院を続け、現在の聴力、発症からの期間、これまでに受けた治療を確認したうえで、追加治療を行うのか、経過を観察するのかを主治医と相談しましょう。

睡眠や休養を確保し、できるだけ体調を整えることも大切です。

ただし、睡眠やストレス対策、禁煙、飲酒を控えることによって、聴力が回復する効果が確立しているわけではありません。

治療中の生活については、主治医の指示を確認してください。

当院には、入院中に思うような改善を感じられず、ほかにできることはないかと調べて当院を知り、退院後に来院される方がいます。

病院での初期治療を受けても聞こえが十分に戻っていない場合、鍼治療も選択肢の1つとして検討できます。

ただし、鍼治療は耳鼻咽喉科で行われる標準的な治療に代わるものではありません。

また、鍼治療によって必ず聴力が改善するわけではなく、経過には個人差があります。

当院では、現在の聴力、発症からの期間、耳鳴りや耳の詰まり、めまいなどの症状、これまでに受けた治療を確認したうえで、鍼治療をご提案しています。

入院中は主治医の治療方針を優先し、退院後も耳鼻咽喉科で聴力検査を受けながら経過を確認することが大切です。

7.まとめ

突発性難聴で入院が検討される状態、入院期間、費用、検査、治療内容について解説しました。

突発性難聴には、全国共通の明確な入院基準があるわけではありません。

入院が必要かどうかは、聴力の重症度だけでなく、めまいの程度、基礎疾患、全身状態、外来通院が可能かなどを考慮して判断されます。

Grade3となる60dB以上の高度難聴やGrade4は、入院が検討されやすくなる1つの目安ですが、数値だけで入院が決まるわけではありません。

入院期間は一般的に1~2週間程度です。3割負担の場合、入院費用は1週間で数万円から十数万円程度になることがありますが、入院日数や治療内容、個室の利用、高額療養費制度の所得区分などによって異なります。

入院すれば必ず治る、通院だから治りにくいというわけでもありません。

大切なのは、入院か通院かにかかわらず、自分の状態に合った治療をできるだけ早く開始することです。

入院中に思うような改善を感じられなくても、その時点で治らないと決まったわけではありません。

聴力検査で経過を確認し、追加治療の適応や今後の方針を主治医と相談しましょう。

病院での治療を受けても聞こえが十分に戻っていない場合には、耳鼻咽喉科での経過観察を続けながら、鍼治療を選択肢の1つとして検討することもできます。

突発性難聴の治療後も改善していない方へ

突発性難聴の治療後も改善していない方へ

入院や外来でステロイド治療を受けているものの、思うように聞こえが改善していないと、

「このまま治らないのではないか。」

と不安になると思います。

当院には、入院中に当院を知り、退院後に鍼治療を開始される方もいます。

耳鼻咽喉科での急性期治療は、発症後できるだけ早く開始することが重要です。

そのうえで当院では、臨床経験をもとに、主に発症から3ヶ月以内で改善を求めている方のご相談を受けています。

鍼治療は病院での治療に代わるものではなく、効果には個人差があります。

入院や外来で治療を受けても聞こえが十分に戻っていない方は、現在の聴力とこれまでの治療内容をご確認のうえ、一度当院へご相談ください。

参考文献

1.佐藤美奈子ほか.突発性難聴の重症度分類と予後との関係.日本耳鼻咽喉科学会会報.2001;104(3):192-197.

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7.厚生労働省.高額療養費制度を利用される皆さまへ.

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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