筋膜性疼痛症候群は完治する?回復期間と通院・改善の目安

筋膜性疼痛症候群は完治する?回復期間と通院・改善の目安

筋膜性疼痛症候群と診断されたり、自分の症状が筋膜性疼痛症候群ではないかと考えたりする中で、「この痛みは完治するのか」「あとどれくらい治療を続ければよいのか」と悩んでいませんか。

すでに複数の病院や治療院へ通っていると、治療方法だけでなく、回復の見通しを知りたいと感じると思います。

筋膜性疼痛症候群は、症状が完全になくなるケースもあります。

一方、長期間痛みが続いている重症例では、改善までに時間がかかります。

なかいし鍼灸院では、長期化した重症例に対して、最初から痛みをゼロにすることだけを目標にはしていません。

まず痛みを少しでも軽くし、日常生活でできることを増やしながら、患者さん自身が痛みをコントロールできる状態を目指しています。

この記事では、完治の考え方、回復期間に影響する要因、通院回数の捉え方、改善を判断する目安を説明します。

1.筋膜性疼痛症候群は完治するのか

1.筋膜性疼痛症候群は完治するのか

1-1.筋膜性疼痛症候群は症状がなくなるケースもある

筋膜性疼痛症候群は、筋肉や筋膜に関係する痛みが続く病態で、MPSとも呼ばれます。

「筋筋膜性疼痛症候群」という名称が使われることもあります。

MPSという病名がついたからといって、一生痛みが続くと決まるわけではありません。

比較的早期のものでは、症状に関係する負担への対応や治療によって軽快し、症状がなくなる経過もあります。

一方、長期間続いている慢性例では、回復が難しくなる傾向があります。

同じMPSでも、発症して間もない局所的な痛みと、何年も続く強い痛みでは、回復の見通しを分けて考える必要があります。

病名だけで「治る」「治らない」を判断せず、症状の経過と生活への影響を確認することが大切です。

1-2.重症例では完治だけを目標にしない

「完治したい」という言葉に込められた希望は、患者さんによって異なります。

痛みを完全になくしたい方もいれば、仕事や家事ができる状態に戻りたい方、痛みを気にせず眠りたい方もいます。

当院では、症状の消失を目指すことを否定していません。

長年強い痛みが続いている場合には、まず目の前の痛みを少しでも和らげるなど、達成できそうな目標を患者さんと考えます。

例えば、今まで痛みが出ていた動作が楽になることや、痛みに妨げられる時間が減ることも、回復を考えるうえで意味のある変化です。

完治を望む気持ちを大切にしながら、現在の状態に合った改善目標を設定することを重視しています。

2.筋膜性疼痛症候群の回復期間はどれくらいか

2.筋膜性疼痛症候群の回復期間はどれくらいか

2-1.比較的早期のMPSと慢性化したMPSの違い

比較的早期のMPSでは、負担のきっかけが明確で、その負担を調整しながら治療を進めることで、短期間に軽快するケースがあります。

慢性化したMPSでは、痛みを長引かせる要因を整理しながら、時間をかけて対応する必要があります。

発症からの期間は、回復を考えるための大切な情報です。

それに加えて、痛みの強さや範囲、動作への影響、これまでの治療経過も確認します。

「発症から半年だから、あと何ヶ月で治る」というように、経過した時間だけから回復日を計算することはできません。

現在の状態を評価し、治療を進めながら見通しを共有していきます。

2-2.発症から1年以上経過した重症例の回復期間

当院の臨床経験では、発症から1年以上経過している重症例は、改善まで長期的な取り組みが必要になる傾向があります。

その中には、30回近く治療を行い、患者さん自身が痛みをコントロールできる状態まで改善する経過があります。

ここでいう改善は、必ずしもすべての痛みが消失することを意味しません。

痛みが軽くなり、日常生活の負担に合わせて活動や休息を調整できるようになることも、重要な到達点です。

30回という数字は、当院が経験している重症例の1つの経過です。

医学的に確立された標準治療回数や、完治までに必要な回数として示しているものではありません。

2-3.治療回数と回復期間は同じではない

治療回数と、回復までにかかる期間は分けて考える必要があります。

同じ回数の治療でも、通院頻度によって経過する期間は変わります。

また、回数を重ねること自体が治療の目的ではありません。

その間に、痛みの強さや生活上の困りごとがどのように変わっているかを確認することが大切です。

通院の見通しを相談するときは、「何回通うか」に加えて、「何を改善の目標にするか」「いつ経過を振り返るか」も共有しましょう。

回数と生活の変化を結びつけることで、治療を続ける意味を考えやすくなります。

3.筋膜性疼痛症候群が長引く理由

3.筋膜性疼痛症候群が長引く理由

3-1.症状の重さと慢性化が回復に影響する

強い痛みや複数の部位の痛み、長い罹病期間は、慢性疼痛の回復を難しくする要因として挙げられています。

日常生活への支障が大きい場合には、その状態に合わせた支援が必要です。

当院でも、長期間強い痛みが続いている重症例では、改善まで時間がかかると考えています。

動くときの痛みだけでなく、じっとしていても痛いか、睡眠が妨げられているかなども確認します。

痛みの重さは、痛みの数値だけでは表せません。

休めない、眠れない、仕事や家事が続けられないといった生活への影響も、治療目標を考えるための大切な情報です。

3-2.痛みに関係する要因が複雑になっている

長引く痛みでは、局所の筋肉や筋膜への負担に加え、痛みを感じる神経の働きの変化が関係することがあります。

これは、痛みの刺激に対して敏感になり、痛みを感じやすい状態になることです。

睡眠の不調、生活上の負担、不安なども痛みと相互に関係します。

慢性疼痛は、身体と生活の両面から評価することが重視されています。

当院では、重症例で複数の筋肉・筋膜が症状に関係していると考えられる場合、その広がりも踏まえて施術部位を判断します。

同時に、関節や神経など、MPS以外の病態が関係していないかという視点も必要です。

心理的・社会的な要因を確認することは、痛みを気のせいと扱うことではありません。

身体に生じている痛みを理解し、回復を妨げている要因に対応するためのものです。

3-3.長引いていても回復の可能性がなくなるわけではない

治療が難しいことと、改善を目指せないことは同じではありません。

長期間痛みが続いている場合には、現在の状態から何を変えられるかを考えます。

慢性疼痛の診療では、痛みの軽減に加えて、身体機能や生活の質の改善も治療目標になります。

当院でも、まず痛みを少し軽くすることや、これまで難しかった動作を楽にすることから目標を設定します。

小さな改善を確認しながら、次に目指す状態を考えていきます。

4.筋膜性疼痛症候群が改善しているか判断する目安

4.筋膜性疼痛症候群が改善しているか判断する目安

4-1.痛みの強さや範囲の変化

改善を判断するときは、「痛みがあるか、ないか」だけで評価しないことが大切です。

痛みが残っていても、強さや範囲、続く時間に変化があれば、治療経過を判断する材料になります。

例えば、次のような点を確認します。

  • 全体的な痛みの強さが弱くなった。
  • 痛む範囲が狭くなった。
  • 痛みが続く時間が短くなった。
  • 痛みが出る頻度が減った。
  • 安静時の痛みが軽くなった。

症状を頻繁に確認し続ける必要はありません。

診察や施術の際に、以前と比べて変わった点を伝えていただくことで、経過を共有できます。

4-2.日常生活でできることが増える

日常動作の変化も、改善を判断する大切な目安です。

痛みの数値が大きく変わらなくても、生活上の負担が軽くなっていることがあります。

例えば、以前は途中で休む必要があった家事を続けられる、仕事中に姿勢を変えやすくなる、痛みを気にせず過ごせる時間が増えるといった変化です。

「どれくらい痛いか」とともに、「何ができるようになったか」を確認してください。

患者さん自身が望んでいた活動に近づいているかが、治療の意味を考える手がかりになります。

4-3.改善する順序は決まっていない

当院の臨床経験では、症状が改善する順序に決まったパターンはありません。

痛みの強さが先に変わる方もいれば、日常動作が先に楽になる方もいます。

「痛む範囲が狭くなってから、痛みが弱くなる」という順番を、全員に当てはめることはしていません。

ある項目がまだ変わっていなくても、ほかの項目に変化がないかを確認します。

他の患者さんの回復経過と同じ順序で進む必要はありません。

自分の初診時の状態と比べて、生活がどう変わったかを振り返ることが大切です。

5.筋膜性疼痛症候群の通院回数と治療継続の考え方

5.筋膜性疼痛症候群の通院回数と治療継続の考え方

5-1.重症例では最初に長期的な治療目標を考える

当院では、長期化した重症例について、20~30回程度を見据えた治療計画を考えることがあります。

短期間での症状消失を前提にせず、初めに長期的な見通しを共有するためです。

この回数は、患者さんの状態に合わせて考える臨床上の目安です。

全員に同じ回数を設定するのではなく、症状の重さや経過、患者さんが目指す生活を踏まえて相談します。

治療開始時に、目標と経過を評価する時期を考えておくことが大切です。

治療計画には、通院回数だけでなく、何をもって改善と判断するかも含まれます。

5-2.毎回の治療で効果を実感するとは限らない

重症例では、1回ごとの施術による変化が分かりにくいことがあります。

施術直後に楽になったかどうかだけでは、長期的な経過を十分に評価できません。

当院では、初回と一定回数を重ねた時点を比べ、痛みと日常生活の変化を確認します。

例えば30回近い治療を行う経過では、初回とその時点で、できる動作や痛みに妨げられる時間がどう変わったかを重視します。

毎回大きな変化を求めると、少しずつ起きている生活上の改善を捉えにくくなります。

その日の反応と、一定期間を通した変化を分けて振り返りましょう。

5-3.改善が乏しい場合は経過を確認する

当院では、数回の施術で変化が分からないという理由だけで、直ちに治療方針を変えるわけではありません。

重症例では簡単に変化が出ないことを踏まえ、症状の経過を確認しながら施術を継続します。

症状が変わった場合には、その変化に合わせて施術内容を調整します。

初めに考えた方針を基本にしながらも、現在の状態を見ずに同じ施術を繰り返すことはしません。

また、適切な期間を通して痛みや生活機能の改善が乏しい場合は、病態や診断を改めて評価する必要があります。

主治医とこれまでの経過を共有し、必要に応じて検査や治療の組み合わせを見直します。

新たな筋力低下、歩きにくさ、排尿・排便の異常、急な強い悪化などがあれば、予定した回数を待たず、速やかに医療機関を受診してください。

長期的に治療することと、必要な医学的再評価を受けることは、両立させて考えます。

病院や鍼灸院で行う治療方法の詳細は、関連記事で説明しています。

【関連記事:筋膜性疼痛症候群の治し方|病院の治療・鍼治療・生活改善を解説】

6.なかいし鍼灸院が考える改善と治療終了の目標

6.なかいし鍼灸院が考える改善と治療終了の目標

6-1.痛みを自分でコントロールできる状態を目指す

当院が重症例で大切にしているのは、患者さん自身が痛みに対処しながら、日常生活を送れる状態になることです。

ここでいうコントロールとは、痛みを我慢して無理に生活することではありません。

自分に負担となる動作や活動量を理解し、必要な休息や対処を取り入れながら、生活を組み立てられる状態を指します。

例えば、どこまで動くと負担が強くなるかが分かり、活動量を調整できることも、その1つです。

痛みが残っていても、痛みに生活全体を妨げられる状態から変わっていくことを重視します。

6-2.治療終了の目標は患者によって異なる

通院を終える目標は、患者さんによって異なります。

痛みの完全な消失を目指す方もいれば、日常生活に支障がなく、自分で対処できる状態を目標にする方もいます。

当院では、痛みが残っているという理由だけで、通院を続けることが当然だとは考えていません。

症状の状態と患者さんの希望を確認し、通院終了を相談します。

一方、患者さんが症状の消失を望んでいる場合には、その希望も含めて今後の目標を考えます。

一律の回数ではなく、現在の状態と患者さんが求める生活を基準に判断します。

6-3.当院では日常動作の変化を重視する

当院では、これまで痛みが出ていた動作が楽になっているかを重視します。

病名や画像所見だけでなく、患者さんが日常生活で感じている変化を確認します。

問診や動作評価に加え、触診では普段感じている症状が再現されるかを参考にします。

必要に応じてエコーで軟部組織の状態も確認しますが、画像だけで回復を判断することはありません。

施術中の反応や検査所見に変化があっても、生活上の困りごとがどう変わったかを確かめることが必要です。

患者さんの実感と評価所見を合わせて、次の目標や通院終了を考えます。

評価や診断の詳しい考え方は、関連記事で説明しています。

【関連記事:筋膜性疼痛症候群の診断・検査|
画像で異常がない痛みの評価】

7.筋膜性疼痛症候群の改善に向けて日常生活で意識すること

7.筋膜性疼痛症候群の改善に向けて日常生活で意識すること

7-1.できる範囲で運動やストレッチを行う

慢性疼痛では、個々の状態に合った身体活動が、痛みや身体機能、生活の質の改善に役立ちます。

適した運動の種類や量は人によって異なるため、症状や体力に合わせた調整が必要です。

まずは無理なくできる動作から考えましょう。

短い時間の歩行や、負担の少ない範囲でのストレッチなども選択肢になります。

痛みが強くなる運動を、回復のためだと考えて無理に続ける必要はありません。

運動後の痛みや疲労が生活に響く場合は、量や強さを減らし、担当者と内容を相談してください。

7-2.痛みにとらわれすぎない生活を目指す

当院では、痛みの変化だけに意識を集中させるのではなく、できる活動を少しずつ増やすことを大切にしています。

「今日は痛みが何点だったか」に加えて、「何ができたか」にも目を向けてみてください。

好きなことに取り組む時間や、無理なく家事を行える時間を持つことも、生活の改善につながります。

痛みが完全になくなるまで、すべての活動を保留にする必要はありません。

これは、痛みを気にしなければ治るという意味ではありません。

痛みへの治療を続けながら、その時点でできる生活を取り戻していくという考え方です。

活動を増やす際も、痛みを我慢することを目標にしないでください。

休息を取り入れ、自分に合ったペースを探していきましょう。

8.筋膜性疼痛症候群の完治と回復期間に関するよくある質問

8.筋膜性疼痛症候群の完治と回復期間に関するよくある質問

8-1.筋膜性疼痛症候群は一生治らない病気ですか?

一生治らないと決まっている病気ではありません。

症状がなくなるケースもありますが、慢性化した重症例では回復まで時間がかかります。

病名だけで将来を決めず、現在の痛みと生活上の支障を確認し、改善の目標を考えることが大切です。

8-2.発症から何年も経っていても改善しますか?

長期化した症状でも、改善を目指すことはできます。

当院では、その時点で達成できそうな目標から治療を進めます。

回復までの期間や、どの状態を到達点にするかは、症状の重さや経過、患者さんの希望を踏まえて考えます。

8-3.筋膜性疼痛症候群は何回の治療で治りますか?

すべての患者さんに共通する治療回数はありません。

当院では、発症から1年以上経過した重症例に30回近く治療を行い、痛みを自分でコントロールできる状態まで改善する経過があります。

この数字は、当院の重症例での経験を示すもので、標準治療回数や完治を保証する回数ではありません。

8-4.治療を受けても毎回変化がないのはなぜですか?

重症例では、1回ごとの変化が小さく、実感しにくいことがあります。

当院では、施術直後の反応に加え、一定期間を通した痛みや日常動作の変化を確認します。

長期的に見ても改善が乏しい場合には、治療を続ける理由や目標を共有し、必要な医学的再評価も検討します。

8-5.痛みが完全になくならなくても治療を終了できますか?

患者さんが目指す状態に達していれば、痛みが残っていても通院終了を相談できます。

当院では、日常生活に支障がなく、痛みを自分でコントロールできる状態を重要な目標にしています。

症状の消失を希望する方には、その希望を踏まえて今後の目標を考えます。

8-6.筋膜性疼痛症候群は再発しますか?

症状が改善した後に、再び痛みが生じることはあります。

筋・筋膜性の痛みでは、症状を持続させたり繰り返させたりする負担への対応も重視されます。

再び痛みが出たときは、以前と同じ原因だと決めつけず、痛みの場所や性質、生活上の負担の変化を確認しましょう。

以前と異なる症状や新たな筋力低下などがあれば、医療機関で評価を受けてください。

9.まとめ

筋膜性疼痛症候群は、症状が完全になくなるケースもあります。

長期化した重症例では、回復に時間がかかることを踏まえ、現在の状態に合った目標を設定することが大切です。

なかいし鍼灸院では、まず痛みを少しでも和らげ、これまでつらかった動作が楽になるなど、日常生活の改善を積み重ねることを重視しています。

患者さん自身が痛みをコントロールできる状態になることが、重要な治療目標です。

今後の見通しに悩んでいる方は、現在の担当者と、目標や評価する時期を共有してみてください。

毎回の施術直後の反応だけでなく、初診時と比べて痛みや生活がどう変わったかを振り返ることが、次の判断につながります。

長期的な治療を進める中でも、改善が乏しい場合の再評価や、新しい症状に対する病院受診を大切にしましょう。

長期間続く痛みについてのLINE相談

病院で検査や治療を受けても痛みが残り、今後の治療や回復の見通しに悩んでいる方へ。

広島市中区のなかいし鍼灸院では、症状が出る動作や姿勢、触診などから筋肉・筋膜を含む軟部組織の関与を評価し、患者さんの目標に合わせて施術を考えています。

当院で対応できる症状か判断に迷う場合は、LINEからご相談ください。

現在困っている動作や、症状が続いている期間、これまで受けた検査・治療についてお聞かせください。

参考文献

1.American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation. Myofascial Pain|PM&R KnowledgeNow

2.慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ 編. 慢性疼痛治療ガイドライン(2018年)

3.International Association for the Study of Pain. Integrative Physical Activity and Exercise to Address Acute and Chronic Pain(2023年)

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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