関連痛と放散痛の違いとは?痛みの広がり方・原因・見分け方を解説

関連痛と放散痛の違いとは?痛みの広がり方・原因・見分け方を解説

首から腕、腰から脚へと痛みが広がると、「関連痛なのか、放散痛なのか」「神経が悪いのか」と気になることがあると思います。

関連痛は原因となる部位とは異なる場所に感じる痛み、放散痛はある場所から周囲や離れた方向へ広がるように感じる痛みを表します。

両者は着目する特徴が異なり、用語の使われ方にも重なりがあります。

大切なのは、言葉の違いを知ることに加えて、どのような動作や姿勢で症状が現れるかを確認することです。

この記事では、基本的な違いから評価方法、なかいし鍼灸院の考え方、受診の目安まで説明します。

1.関連痛と放散痛の基本的な違い

1.関連痛と放散痛の基本的な違い

1-1.関連痛は原因とは異なる場所に感じる痛み

関連痛とは、痛みの発生に関係する部位とは異なる場所に感じられる痛みです。

筋肉だけでなく、関節、椎間板、内臓などに関係して起こります。

例えば、首や肩周囲の組織に関係する痛みを、頭部や腕に感じることがあります。

痛みを感じている場所を調べることは必要ですが、その場所だけが原因とは限らないという点が特徴です。

筋肉に関係する関連痛は、トリガーポイントという、刺激によって局所や離れた場所に痛みを生じさせる過敏な部位の研究でも扱われています。

1-2.放散痛は周囲や離れた方向へ広がる痛み

放散痛とは、ある場所から周囲や離れた部位へ広がるように感じられる痛みを表す言葉です。

腰からお尻、脚へと広がる痛みや、首から腕へ走るような痛みの説明に使われます。

神経に関係する痛みを説明するときにも用いられますが、「放散する」という表現だけでは、原因の組織や病気まで決まりません。

神経根性疼痛など、発生の仕組みを示す用語とは区別して理解する必要があります。

1-3.関連痛と放散痛の比較

比較項目

関連痛

放散痛

基本的な意味

原因とは異なる場所に感じる痛み

周囲や離れた方向へ広がる痛み

着目する点

原因部位と痛む場所の違い

痛みが広がる様子

関係する組織

筋肉、関節、椎間板、内臓など

神経や筋骨格系など、言葉だけでは決まらない

痛みの性質

鈍い痛み、重だるさなど

走る痛みや電撃痛などと表現されることもある

神経障害との関係

神経の病変がなくても生じる

神経に関係する場合もある

症状だけで原因を判断できるか

難しい

難しい

痛みの性質は参考となる特徴であり、表のように必ず分かれるわけではありません。

関連痛と放散痛は、原因を筋肉と神経に振り分けるための言葉ではありません。

2.関連痛と放散痛が起こる仕組み

2.関連痛と放散痛が起こる仕組み

2-1.関連痛と神経系の情報処理

身体からの痛みの情報は、神経系を通して脳へ伝わります。

関連痛を説明する代表的な考え方に、異なる組織からの情報が、脊髄などで共通の神経細胞へ集まる「収束投射説」があります。

情報を処理する過程で、刺激を受けている場所とは違う場所に痛みを感じる、という考え方です。

ほかの仕組みも提案されており、すべての関連痛を1つの仕組みで説明できる段階ではありません。

ここでいう神経系の働きは、神経そのものに病気や損傷があることとは別です。

【関連記事:関連痛とは?痛む場所と原因が違う理由・具体例・受診の目安を解説】

2-2.神経に関係して痛みが広がる仕組み

脊髄から枝分かれする神経の根元を「神経根」といいます。

神経根などに炎症や機械的な刺激が加わり、腕や脚へ痛みが広がることがあり、このような痛みを神経根性疼痛と呼びます。

一方、神経根障害は、神経根の病変によって筋力低下、感覚低下、反射の変化などが生じる状態を指します。

神経根性疼痛と神経根障害は同じ意味ではなく、痛みがあっても明らかな運動麻痺を伴わないことがあります。

また、「神経障害性疼痛」は、身体の感覚を伝える神経系の病変や疾患によって生じる痛みを指します。

痛みが広がっているだけで、この分類に当てはまると判断することはできません。

放散痛は広がり方の表現なので、すべてに共通する1つの発生機序があるわけではありません。

3.関連痛と放散痛が現れる代表的な部位

3.関連痛と放散痛が現れる代表的な部位

3-1.首から肩や腕に広がる痛み

首から肩、肩甲骨の周囲、上腕にかけて痛む場合、首や肩周囲の筋肉などが関係する痛みと、頚椎や神経根に関係する痛みの両方を考えます。

「腕まで広がるから頚椎症」「肩甲骨の内側だから筋膜」と、場所だけで決めることはできません。

例えば、首を動かしたときと腕を上げたときで症状がどう違うか、長時間同じ姿勢を続けると増えるか、といった情報も評価に役立ちます。

感覚が鈍い、物を落とす、手に力が入りにくいなどの変化があれば、痛みとは別に医師へ伝えることが大切です。

3-2.腰からお尻や脚に広がる痛み

腰からお尻、太ももの後ろへ広がる痛みでは、腰やお尻の筋肉、関節、椎間板などからの関連痛と、腰椎の神経根に関係する痛みが候補になります。

「坐骨神経痛」は、お尻から脚にかけての痛みなどを表す呼び方として広く使われています。

その呼び方だけで、どこにどのような問題があるかまで確定するわけではありません。

座る、立つ、歩く、腰を曲げるといった動作と症状の関係を確認し、身体所見と合わせて考えます。

3-3.内臓の病気で離れた場所が痛む場合

内臓に関係する痛みを、身体の表面や離れた場所に感じることもあります。

心臓の病気では胸だけでなく、腕、首、顎などに痛みが広がることがあります。

このため、肩や腕の痛みをすべて筋肉や神経の問題として扱うことはできません。

急な胸痛や息苦しさなどを伴うときの対応は、7章で説明します。

4.痛みの広がり方だけで判断できない理由

4.痛みの広がり方だけで判断できない理由

4-1.痛みの範囲や性質に重なりがある

鈍痛、重だるさ、電気が走るような痛み、しびれは、原因を考えるための情報です。

しかし、神経根性疼痛にも鈍い痛みが伴うなど、実際の症状は特徴が重なります。

線状に痛むか、広くぼんやり痛むかという違いも、診察を補う情報として扱います。

痛みの図と自分の症状が似ていても、それだけで原因となる筋肉や神経を決めることはできません。

当院でも痛みの広がり方や性質だけで分類せず、症状が現れる動きや姿勢を重視しています。

4-2.複数の組織が症状に関係することがある

神経に関係する問題と、筋肉などからの関連痛が同時に存在する場合もあります。

「神経か筋肉か」のどちらか1つに絞ることが、常に適切とは限りません。

当院では、神経由来と説明されている痛みやしびれについても、筋肉・筋膜などが症状に関係している可能性を考えて評価します。

動作や触診で普段の症状が現れるかを確認し、施術対象を検討します。

症状の再現は大切な評価材料ですが、それ自体が神経疾患を否定する検査ではありません。

画像に異常が写っている場合も、その所見で現在の症状をどこまで説明できるか、診察と合わせて考える必要があります。

筋肉・筋膜に関係する痛みと当院の施術については、こちらをご覧ください。

5.関連痛と放散痛の評価方法

5.関連痛と放散痛の評価方法

5-1.症状が現れる動作や姿勢を確認する

原因を考えるには、痛む場所に加えて「どのような条件で痛むのか」を把握することが重要です。

首を振り向くと腕まで痛むのか、机に向かっていると徐々に痛むのかでは、確認する動きや負担が異なります。

当院では、日常生活で困っている動作を伺い、実際に身体を動かしたときの症状や可動域を確認します。

動く方向によって痛みの範囲が変わるか、どこにつっぱりを感じるかなどから、負担がかかっている組織の候補を絞ります。

痛みを強く我慢して動く必要はなく、普段の症状が出る範囲を共有していただきます。

5-2.触診で普段の症状が再現されるか確認する

押されて痛い場所と、普段困っている痛みが再現される場所は、同じ意味ではありません。

当院では、動作分析で候補を絞ったうえで触診し、「いつもの痛み」「そこです」と感じる反応を重視します。

単なる圧痛だけでなく、普段の症状との一致を確認することで、施術する組織を検討します。

触診だけで結論を出さず、動作で得た情報と組み合わせることが基本です。

【関連記事:トリガーポイントの見つけ方|圧痛・動作・普段の痛みの再現から探す方法】

5-3.医療機関では神経学的所見や必要な検査を確認する

神経に関係する病気が疑われる場合、医療機関では筋力、感覚、腱反射などを確認し、必要に応じてMRIなどの検査を検討します。

画像検査はすべての人に必要なわけではなく、症状や診察結果、治療方針への影響を踏まえて選択されます。

明らかな運動麻痺がないことだけで、神経系の問題がないとは判断できません。

当院では明らかな運動麻痺の有無を重視していますが、ここで説明した詳細な神経学的検査を通常の施術で一通り行っているわけではありません。

病気の診断や神経障害の評価が必要なときは、医師による診察につなげます。

6.なかいし鍼灸院が重視する原因候補となる組織の評価

6.なかいし鍼灸院が重視する原因候補となる組織の評価

6-1.痛みの分類で施術方法を決めない

広島市中区のなかいし鍼灸院では、関連痛か放散痛かを厳密に分類してから施術方法を決めることはしていません。

当院が重視するのは、実際にどの動きで症状が現れ、どの組織を刺激すると普段の症状が再現されるかという点です。

明らかな運動麻痺がない場合には、筋肉・筋膜などへの施術を検討しています。

神経由来と説明されている症状でも、筋肉・筋膜の関与を評価するというのが当院の方針です。

医学的な診断を付ける評価と、鍼の施術対象を検討する評価は、役割を分けて考えています。

6-2.動作分析と触診に必要なエコー確認を組み合わせる

当院の評価は、まず普段の症状や生活動作を伺うことから始まります。

続いて動作分析で候補を考え、触診によって症状が再現されるかを確かめます。

必要に応じてエコーを使用し、筋肉・筋膜と周囲組織の位置関係、身体を動かしたときの組織の動きなどを確認します。

神経や血管の位置を確認することも、施術部位を考えるうえでの役割です。

エコーは組織を確認する手段であり、画像だけで痛みが神経由来か筋・筋膜由来かを断定するものではありません。

動作、触診、画像から得た情報を総合して施術対象を検討します。

6-3.痛む場所と原因となる場所の両方を考える

患者さんへの説明では、用語の違いよりも、「痛みが出ている場所と原因となる場所は違うことがあります」という考え方を中心にお伝えしています。

例えば、腕が痛む場合でも腕だけを確認するのではなく、首や肩を含めた動きと症状の関係を調べます。

一方で、痛む場所自体を施術対象から外すわけではありません。

症状が続いている部位の反応も確認し、離れた原因候補の組織と、実際に痛みを感じている部位の両方へ施術することがあります。

関連痛という名称に合わせて施術部位を固定せず、その方の症状に合わせて判断します。

7.関連痛や放散痛がある場合の受診と相談の目安

7.関連痛や放散痛がある場合の受診と相談の目安

急な胸の圧迫感や強い胸痛に、息苦しさ、冷や汗、腕や顎に広がる痛みなどを伴う場合は、119番へ連絡してください。

筋肉の痛みかどうかを自分で確かめたり、鍼灸院への相談の返事を待ったりせず、救急対応を優先します。

また、腰から脚への痛みとともに、急に尿が出にくくなる、尿や便を漏らす、股の間の感覚が鈍くなるといった変化が出た場合は、すぐに救急外来へ相談してください。

新たに手足に力が入りにくくなった場合や、筋力低下が進んでいる場合も、速やかな医学的評価が必要です。

急を要する症状がなくても、痛みが長引く、しびれが増える、生活に支障がある、原因が分からない場合は、整形外科などで相談しましょう。

受診時には、痛みの範囲だけでなく、発症時期、症状が出る動作、感覚や力の変化も伝えると役立ちます。

病院での検査や治療を受けても症状が残る場合は、その治療方針を踏まえながら、筋肉・筋膜などへの施術を検討します。

8.関連痛と放散痛に関するよくある質問

8.関連痛と放散痛に関するよくある質問

8-1.関連痛と放散痛は自分で見分けられますか

言葉の意味は整理できますが、痛みの広がり方だけで原因まで見分けることは難しいです。

どのような動作で症状が現れるか、筋力や感覚に変化があるかなども評価する必要があります。

8-2.しびれを伴う場合は放散痛ですか

しびれがあるだけで、放散痛と決まるわけではありません。

放散痛は痛みが広がる様子を表す言葉で、しびれの有無による分類ではありません。

痛みとしびれが同時にあるときは、感じる場所や経過、診察所見を合わせて原因を考えます。

8-3.筋肉が原因でも腕や脚に痛みが広がりますか

はい、筋肉に関係して、離れた腕や脚に痛みを感じることがあります。

トリガーポイントに関係する関連痛も、その一例として研究や臨床で扱われています。

腕や脚が痛むからといって、必ずその場所だけに原因があるわけではありません。

8-4.痛む場所を治療すればよいのでしょうか

痛む場所だけが施術対象になるとは限りません。

当院では、動作分析や触診から症状に関与する組織を考え、痛む部位と離れた原因候補の両方を対象にすることがあります。

どこに鍼をするかは、痛みの名前ではなく、実際の身体の反応から検討します。

9.まとめ

関連痛は原因とは異なる場所に感じる痛み、放散痛は周囲や離れた方向へ広がるように感じる痛みを表します。

両者の意味を理解することと、自分の痛みの原因を特定することは別です。

症状が続くときは、痛む場所に加えて、症状が現れる動作や姿勢、筋力・感覚の変化も確認し、必要な医学的評価を受けましょう。

なかいし鍼灸院では、名称による分類よりも、動作や触診による症状再現と筋肉・筋膜などの関与を重視して施術対象を検討しています。

LINEでのご相談

首から腕、腰から脚などに広がる痛みやしびれがあり、病院で検査や治療を受けても症状が残っている場合には、筋肉や筋膜などの組織が関係している可能性もあります。

当院では動作や姿勢、触診による症状再現、必要に応じたエコー確認から施術対象を検討しています。

ご自身の症状が当院の施術対象になるか判断に迷う場合は、LINEからご相談ください。

参考文献

1.Jin Q, et al. Referred pain: characteristics, possible mechanisms, and clinical management. Front Neurol. 2023;14:1104817.

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10338069/

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https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10348639/

3.International Association for the Study of Pain. Terminology. 神経障害性疼痛などの定義。

https://www.iasp-pain.org/resources/terminology/

4.NICE. Suspected neurological conditions: recognition and referral. NG127. 成人の神経根症状、筋力低下、馬尾症候群の受診判断。

https://www.nice.org.uk/guidance/ng127/chapter/Recommendations-for-adults-aged-over-16

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https://www.nhs.uk/conditions/heart-attack/

6.NICE. Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management. NG59. 画像検査の適応。

https://www.nice.org.uk/guidance/ng59/chapter/recommendations

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

筋膜性疼痛症候群(MPS)について詳しくはこちら

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