全身が原因不明の激痛に襲われる線維筋痛症

先日、中国新聞に線維筋痛症についての記事がありました。

専門とする医療機関が少なく、適切な治療を受けられていないのが現実です。

当院にも線維筋痛症と診断されていなくても線維筋痛症に似た症状の方が通院されています。

欧米ではよく知られている病気ですが、日本ではまだまだ認知度が低いです。

全身が原因不明の激痛に襲われる病気です。

線維筋痛症

少しでも知って頂けたら幸いです。

以下、中国新聞の記事を抜粋します↓↓

1.病気の特徴を教えてください

患者は「ガラスが血管の中を流れているような感覚」「足の小指をタンスにぶつけた時の痛みがずっと続いているよう」と例えます。

しびれやこわばりなどが様々な部位にみられ、不眠や疲労感がつきまといます。自殺例もあります。

血液検査や画像検査では異常を見つけられないため適切な診断が出にくく、

首や腰の椎間板ヘルニアなど別の病気と診断されてしまうこともあります。

原因は不明で、「脳が何らかの異常を来している」という説が世界の定説になっており、

「中枢性過敏症候群」の一つと位置づけられています。

うつ病や更年期障害、機能性胃腸症も同症候群に含まれるとみなされています。

年齢を問わず、全ての世代で発症する可能性があります。

患者の6~8割が女性で、子どもにみられることも。

通常、慢性の腰痛や肩こりが引き金になり、10年以上かけて発症します。

このほか、不登校の子どもや交通事故に遭った人のうち、「全身が痛い」と訴えているのに検査でどこにも異常が見つからない場合は、線維筋痛症やその不完全型の可能性があります。

2.どのように診断するのですか

全身に激痛が走るのに、医療機関で原因が分からない場合は、線維筋痛症かその不完全型の可能性が高いと考えていいでしょう。

体の広範囲に痛みが3ヵ月以上続き、18ヵ所を押さえて、少なくとも11ヵ所が痛ければ線維筋痛症を発症しているとみなされます。

これは1990年に米国でできた診断基準です。

その後、問診で確認する基準も報告されましたが、診察時間が長引くという欠点があります。

私は90年の基準を使っています。

3.治療法を教えてください

治療の手順は線維筋痛症、不完全型とも同じです。

薬物治療と非薬物治療を併用します。

私が行う薬物治療は、まず11種類の薬に優先順位を付けています。

一つの薬について、投与する量を少しずつ増やし、途中で患者が満足できる鎮痛効果を得られるか、副作用で増量不能とならない限りは、必ず上限量まで使います。

薬が患者に合わない場合は、投与をやめて次の薬へ。

鎮痛効果が不十分な場合は、その薬の最適量を維持した上で、次の薬を追加します。

非薬物治療では、禁煙や有酸素運動、病気に関する患者教育が有効とされています。

喫煙者は非喫煙者と比べて症状が重く、受動喫煙も有害です。

子どもが発症した場合、保護者は特に注意してください。

私が2007年4月~13年6月に担当した線維筋痛症患者43人のうち、この方法で2人が治癒し、14人の痛みが30%以下に、7人の痛みが50%以下に改善されました。

不完全型ではさらに好成績が出ています。

4.患者の心構えは

残念ながら、線維筋痛症に苦しむ全ての患者に効く薬は、現時点で存在しません。

「4割の患者に有効であれば、効果が高い」というのが実情。

近く新薬も登場する予定ですが、決して万能薬ではありません。

効果のある薬と巡り合うまで、根気強く治療を続ける必要があります。

なかいし鍼灸院