線維筋痛症に対するトリガーポイント鍼療法の可能性

線維筋痛症は、原因がわからず根本的な治療法もない難病というイメージがありますが、痛みを軽くする方法は必ずあると思います。

あらゆる治療手段の組み合わせで、効果があるかないか、選んでいかなければいけません。

その治療手段の一つとして「トリガーポイント鍼療法」が有効です。

完治は難しい病気ですが、今ある痛み、シビレを少しずつでも改善していくことが重要で、治療は長くなりますが、生活の質は上がります。

実際に10回以上治療して痛みが緩和され、少しずつでも動きやすくなった方がおられます。

当初は触るだけでも激痛でしたが…

可能性はゼロではありません。ただ悪化するケースもあります。その時は中止すればいいのです。

目標は、「少しでも痛みが治まること」

周りに理解されない病気ですが、諦めず根気よく治療を継続することが必要です。

私がお役に立てればと思います。一緒に線維筋痛症と闘いましょう!!

少し線維筋痛症についてまとめてみました。

1.線維筋痛症とは

身体の広範囲が痛んだり、ひどい倦怠感、不快な症状が生じる病気です。

そして、一般的な血液検査や画像検査ではこれといった病変がありません。

そのため、きちんと線維筋痛症と診断されず、あらゆる病院にかかっている方も少なくありません。

線維筋痛症の痛みは、耐え難く、仕事や家事、普通の社会生活を送ることができなくなります。

日本では約200万人の患者さんがいると言われています。50~60人に1人の割合です。

2.線維筋痛症の症状

線維筋痛症の痛みは、いきなり広範囲に出るのではなく、局所の痛みがとれない状態が続き、徐々に痛みの範囲が広がっていくことが大半のようです。

慢性疼痛(3ヵ月以上痛みが持続している)

慢性局所痛症(肩こり、腰痛、膝痛など特定部位の痛みがとれない状態が続いている)

慢性広範痛症(全身の複数の部位に痛みが続いている)

線維筋痛症(特定部位だけでなく全身に原因不明の痛みが現れる)

主症状は、広範囲疼痛、疲労、睡眠障害です。

広範囲疼痛は、動かさないときでも起きる痛みで、触れられるだけで疼痛が増すのが特徴です。

骨折に相当するほどの痛みです。

この痛みは脳幹部の異常による中枢性疼痛と考えれれています。

基本的に非ステロイド性抗炎症薬、ステロイドホルモン、モルヒネは効果がないようです。

3.線維筋痛症に関連する症状

線維筋痛症に関連する症状には、以下の中枢の過敏状態が考えられています。

  • 慢性疲労性症候群…何らかの感染を繰り返した結果、日常生活に支障をきたす非常に強い疲労感が続く状態。
  • 過敏性腸症候群…下痢や便秘を繰り返し、腸の検査では異常はない。
  • 筋緊張性頭痛、片頭痛、顎関節症
  • 筋膜性疼痛症候群
  • むずむず脚症候群
  • うつ病、生理不順、外傷後ストレス症候群、科学物質過敏症など

まず、数年でこんなに多くの病気にかかることは通常考えられないので、線維筋痛症とこれらの関連疾患は、何か共通の原因、仕組みがあるのではないかと考えられています。

4.線維筋痛症の原因

問題は痛む部位ではなく、痛みを感じる脳に起きていると考えられています。

痛みを抑える仕組みが破綻し激痛が起きる(神経伝達の障害)ということです。

そのため、鎮痛薬だけでなくモルヒネのような麻薬も効きません。

痛みは、外部からの刺激が脳に伝わり感じます。脳にはその刺激に対して痛みを抑制する仕組みがあります。

  • エンドルフィンなどの内因性オピオイドを介するシステム
  • セロトニン、ノルアドレナリンが分泌されるシステム

このシステムが機能していないことが考えられます。

簡単にいうと、脳が痛みを感じるときに働く経路には、痛みの感覚を強めるアクセル経路と弱めるブレーキ経路があります。

アクセルが過剰でブレーキがきかない状態です。

そのため、末梢に異常がないのに脳に刻まれた痛みの記憶が再現され続けます。

5.線維筋痛症の診断

線維筋痛症は、一般的な血液検査や画像検査で異常が見つかりません。

主症状である痛みの範囲と程度で判断します。主観的な判断になります。

  1. 広範囲にわたる疼痛があること(右半身、左半身、上半身、下半身、体軸骨格のすべてに疼痛が認められる場合)
  2. 指を用いた触診により、あらかじめ決められた18カ所の圧痛点のうち11カ所以上に疼痛を認めること(指の圧力は爪が白くなる程度〈4kg/cm2〉)

広範囲な疼痛が3ヵ月以上続き、①、②の診断基準を満たすと線維筋痛症と判断する。

6.治療の進め方

痛みは身体をこわばらせ、さらに痛みを感じやすくします。

そのため、まずは強い痛みをやわらげること、現在の痛みを半分にすることを目標とします。

痛みが半分になれば、痛みによる二次的な問題も改善し、行動範囲が広がり自分でできることが増えます。

医師の指導のもとで行う薬物療法と当院のような鍼灸院などの二本柱で、日常生活に支障がない状態まで回復させていきましょう!

なかいし鍼灸院