筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の違い|痛みの範囲・診断・評価方法

筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の違い|痛みの範囲・診断・評価方法

「線維筋痛症と診断されたけれど、筋膜性疼痛症候群とは何が違うのだろう」と疑問に感じていませんか。

全身の痛みが続く中で、筋肉や筋膜について調べ、ご自身の症状との関係が気になっている方もいると思います。

筋膜性疼痛症候群(MPS)は局所・領域的な筋肉の痛みが典型で、線維筋痛症は広範囲の慢性的な痛みに、疲労や睡眠障害などを伴うことが特徴です。

一方、症状が重なる部分もあり、痛みの範囲だけで区別することはできません。

なかいし鍼灸院でも、慢性化した重症MPSと線維筋痛症は、症状だけでは区別しにくいと感じるケースを経験しています。

当院では診断名を改めて判断するのではなく、患者さんの痛みの状態や刺激への反応を確認し、鍼治療の適応と施術部位を評価しています。

この記事では、2つの疾患の医学的な違いと、当院で実際に行っている痛みの評価を分けて説明します。

1.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の基本的な違い

1.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の基本的な違い

1-1.筋膜性疼痛症候群とは

筋膜性疼痛症候群は、筋肉や筋膜に関連する痛みが続く状態で、「筋筋膜性疼痛症候群」とも呼ばれます。

特徴的な所見として、筋肉の中の帯状に緊張した部分や、その中にある刺激に敏感な部位であるトリガーポイントが挙げられます。

トリガーポイントでは、その場所の痛みだけでなく、離れた場所に痛みを感じる「関連痛」が生じることもあります。

痛みによって動かせる範囲が狭くなるなど、身体の動きに影響することもあり、単なる一時的な筋肉痛や肩こりと同じ意味ではありません。

MPSには、国際的に検証・統一された診断基準が十分に確立していないという課題があります。

特徴的な診察所見と症状を照らし合わせて評価する必要があります。

1-2.線維筋痛症とは

線維筋痛症は、広範囲に続く慢性的な痛みを中心に、強い疲労感、眠っても回復した感じがしない睡眠の問題、集中力や記憶力の不調などを伴う疾患です。

筋肉や筋膜だけの異常で説明する病気ではなく、痛みの情報を処理する仕組みや、刺激を痛みとして感じる感受性の変化などが研究されています。

痛む場所だけでなく、こうした全身症状も含めて評価することが大切です。

1-3.2つの疾患の違いを比較

比較する点

筋膜性疼痛症候群(MPS)

線維筋痛症

痛みの範囲

局所・領域的な痛みが典型

広範囲にわたる慢性的な痛み

主な評価

触診、症状の再現、動作など

痛みの分布、全身症状、持続期間など

圧痛の特徴

トリガーポイントに関連する限局した圧痛

広い範囲の圧痛や痛覚過敏

伴う症状

動作時痛、こわばり、動かしにくさなど

疲労、睡眠障害、認知症状など

診断基準

国際的に統一された基準が未確立

2016年改訂診断基準などがある

これは典型的な特徴を整理した比較です。

MPSにも睡眠の問題などを伴うことがあり、表の項目だけで機械的に分類できるわけではありません。

特に当院が経験する慢性化した重症例では、痛みが広範囲に及び、この違いが不明瞭になることがあります。

2.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症では痛みの範囲が違う

2.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症では痛みの範囲が違う

2-1.MPSは局所的な痛みから複数部位に広がることがある

MPSは、首や肩、腰など、一定の領域に生じる痛みが典型です。

関連痛によって、症状に関係する筋肉とは離れた場所に痛みを感じることもあります。

この「離れた場所に感じる関連痛」と、「複数の部位に痛みが存在する状態」は分けて考える必要があります。

痛む範囲が広いからといって、すべてを1か所のトリガーポイントからの関連痛と判断することはできません。

当院の臨床経験では、慢性化した重症MPSで、複数の筋肉・筋膜にまたがる広範囲の痛みを訴える方がいます。

その場合は、痛む場所を1か所ずつ確認するだけでなく、どの動作や姿勢で症状が変わるのか、触診によって普段の痛みが再現されるのかを確認します。

2-2.線維筋痛症では全身に広がる痛みが特徴

線維筋痛症の特徴は、身体の広い範囲に慢性的な痛みが存在することです。

診断では、痛みの分布とともに、疲労や睡眠の問題なども評価します。

当院では、線維筋痛症と診断された患者さんから、全身や下半身全体など、非常に広い範囲が同程度に痛いという訴えを聞くことがあります。

「ここが特に痛い」と1か所を指せる状態ではなく、広い範囲が同じように強く痛むため、施術対象を絞り込む評価も難しくなります。

これは、当院に来院した患者さんの痛みの訴えです。

下半身全体が痛いという訴えだけで、線維筋痛症の診断基準を満たすという意味ではありません。

2-3.痛みの範囲だけでは区別できない理由

「局所ならMPS、全身なら線維筋痛症」と、痛みの地図だけで判断することはできません。

当院が経験する重症MPSでも痛みは広範囲に及び、線維筋痛症と症状が重なります。

医学的にも、MPSと線維筋痛症の鑑別では症状の重なりが課題とされています。

当院では、ふくらはぎの肉離れの後に痛みが全身へ広がり、その後、医療機関で線維筋痛症と診断された患者さんを経験しました。

この経過については第5章で紹介します。

痛みが広がったときは、痛む場所の数だけで自己判断せず、広がり方や全身症状を医師に伝えることが大切です。

3.トリガーポイントと線維筋痛症の圧痛点の違い

3.トリガーポイントと線維筋痛症の圧痛点の違い

3-1.トリガーポイントは普段の症状の再現を重視する

圧痛点は、押すと痛みを感じる場所を指します。

一方、MPSで扱うトリガーポイントは、筋肉内の帯状に緊張した部分にある過敏な部位として説明され、局所の痛みや関連痛との関係が検討されています。

当院では、単に押して痛いかどうかだけでなく、患者さんが普段感じている痛みやしびれが再現されるかを重視しています。

例えば、触診した場所だけが痛むのか、普段悩んでいる場所にも同じような症状を感じるのかを確認します。

患者さんが「いつもの痛みです」「そこから響く感じです」と感じる反応は、施術部位を検討する材料になります。

この反応だけで病名を確定するのではなく、問診や動作時の症状と照らし合わせて評価します。

3-2.線維筋痛症の圧痛点とは

線維筋痛症では、過去に指定された圧痛点の数が重視されていました。

1990年の米国リウマチ学会(ACR)の分類基準では、広範囲の痛みに加え、指定された18か所のうち11か所以上に圧痛があることが条件とされていました。

この「11か所以上」という条件は、2016年改訂診断基準の必須条件ではありません。

2016年改訂基準では、痛みの分布、症状の重症度、持続期間などを組み合わせて評価します。

指定された圧痛点が痛むことと、筋肉の特定部位への刺激で普段の症状が再現されることは、同じ評価ではありません。

3-3.線維筋痛症では症状を再現する部位を探しにくいことがある

当院の臨床経験では、線維筋痛症と診断された患者さんで、広い範囲に圧痛があり、触れる刺激にも強く反応するケースがあります。

このような状態では、明確なトリガーポイント候補を絞り込むことが難しくなります。

どこを押しても痛い場合、「押した場所が痛い」という反応だけでは、普段の症状に関係する部位なのか判断しにくいためです。

当院では、刺激そのものによる痛みと、いつもの症状が再現される反応を、患者さんの感覚を確認しながら分けて捉えます。

重症MPSでも同様の難しさがあります。

明確な反応が得られないときに、強く押して無理に症状を再現させることはせず、問診や動作など、ほかの情報も合わせて評価します。

4.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の診断・評価方法

4.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の診断・評価方法

4-1.MPSの評価方法

MPSでは、痛みの経過を確認する問診、筋肉の触診、症状の再現、身体の動かしにくさなどが評価材料になります。

Simonsらの提案では、筋肉内の索状硬結、そこにある限局した圧痛、圧迫によって患者さんが現在の痛みとのつながりを感じること、可動範囲の制限などが挙げられています。

索状硬結とは、筋肉の中に帯状に触れる硬い部分のことです。

これらは評価の参考となる所見であり、世界共通の確定的な診断基準として統一されているわけではありません。

診察所見を組み合わせ、ほかの痛みの原因も検討する必要があります。

【関連記事:筋膜性疼痛症候群の診断・検査|
画像で異常がない痛みの評価】

4-2.線維筋痛症の診断基準

線維筋痛症の2016年改訂診断基準では、主に次の項目を確認します。

評価項目

確認する内容

WPI(広範囲疼痛指数)

過去1週間に痛みがあった部位数を0~19点で評価

SSS(症状重症度尺度)

疲労、回復感のない睡眠、認知症状などを0~12点で評価

全身性の痛み

身体を分けた5領域のうち、4領域以上に痛みがある

持続期間

症状がおおむね3ヶ月以上続いている

点数の条件は、「WPIが7点以上かつSSSが5点以上」、または「WPIが4~6点かつSSSが9点以上」です。

これに、全身性の痛みと持続期間の条件を組み合わせます。

5領域とは、左上半身、右上半身、左下半身、右下半身、体幹です。

顎・胸・腹の痛みは、WPIの評価には含まれますが、この5領域中4領域という条件の判定には含めません。

「痛い場所が多い」という理由だけで診断する基準ではありません。

自己採点だけで病名を決めず、診察を受けて医師に判断してもらうことが必要です。

4-3.診断名がついていても痛みの評価は必要

医師が病気を診断することと、鍼灸院で施術対象を評価することは、役割が異なります。

当院では、線維筋痛症については、すでに医療機関で診断された患者さんが来院しています。

当院で診断名を付け直したり、医師の診断を否定したりするための評価は行いません。

確認するのは、患者さんが今どこを痛がっているのか、動作や姿勢で症状が変わるのか、触診や鍼の刺激にどのように反応するのかという点です。

MPSか線維筋痛症かという診断名だけで施術方法を決めず、身体の状態から鍼治療の適応と対象部位を検討します。

5.重症MPSと線維筋痛症は区別が難しいことがある

5.重症MPSと線維筋痛症は区別が難しいことがある

5-1.重症MPSでも全身に近い範囲まで痛みが広がる

当院では、慢性化した重症MPSで、複数の部位に痛みがあり、安静にしていても痛みが続く患者さんを経験しています。

さらに刺激への過敏さが加わると、線維筋痛症の患者さんの訴えと重なる部分が増えます。

こうした経験から、当院では重症MPSと線維筋痛症を、症状だけで明確に区別することは難しいと感じています。

これは、2つの疾患が同じという意味ではありません。

医学的な特徴を整理することと、目の前の患者さんの痛みを明確に分類できることには違いがあります。

痛みが広い範囲に及ぶ場合は、局所の筋肉・筋膜だけですべてを説明しようとせず、医療機関での評価と合わせて考える必要があります。

5-2.肉離れをきっかけに全身へ痛みが広がった症例

当院では、ふくらはぎの肉離れの後、痛みが急速に全身へ広がった患者さんを経験しました。

当院でも治療を行いましたが、痛みの拡大を抑えることができませんでした。

そのため、県外の医療機関での診察を勧め、受診先で線維筋痛症と診断されました。

この症例で重要なのは、局所の痛みから始まっていても、その後の変化に応じて医療機関で再評価する必要があったことです。

肉離れの後に全身痛が生じたという経過だけで、肉離れが線維筋痛症の原因だったとは判断できません。

また、当初MPSと確定していた症例として紹介しているわけではなく、MPSが線維筋痛症へ移行したことを示す症例でもありません。

当院で対応しきれなかった経過も含め、痛みの広がりを見ながら、専門的な診断につなげることが必要だったと考えています。

5-3.2つの病気は併存する可能性もある

線維筋痛症と診断されていても、局所的な筋・筋膜の痛みなど、別の疼痛要因が存在することはあります。

2016年改訂基準でも、線維筋痛症の診断は、ほかの重要な疾患の併存を否定しないとされています。

そのため、新たに生じた痛みや、特定の動作で悪化する痛みまで、すべてを線維筋痛症によるものと決めつけないことが大切です。

当院では、日常の施術でMPSと線維筋痛症の併存を積極的に分類しているわけではありません。

診断名の組み合わせよりも、実際の痛みと刺激への反応から施術対象を検討しています。

6.線維筋痛症と診断された場合の治療の考え方

6.線維筋痛症と診断された場合の治療の考え方

6-1.病院で行われる治療

線維筋痛症では、患者さんへの病気の説明を基盤に、運動療法、薬物療法、心理療法などを症状に応じて組み合わせます。

欧州リウマチ学会連合(EULAR)の推奨では運動療法が重視されており、痛みや睡眠の問題、生活への支障に合わせて治療を調整する考え方が示されています。

運動は、痛みを我慢して一律に負荷をかけるという意味ではありません。

身体の状態に合わせ、担当の医療者と実施内容を相談します。

心理療法の1つである認知行動療法は、痛みへの対処方法や生活上の行動を整理するために用いられます。

痛みを「気のせい」と扱うための治療ではありません。

当院の来院患者では、薬物療法を中心に受けている方が多くみられます。

長期間痛みに悩んでいる方では、鍼治療や認知行動療法などもすでに経験しています。

これまで受けた治療と、そのときの効果や負担を確認することも、今後の対応を考えるうえで大切です。

6-2.線維筋痛症に対する鍼治療の位置づけ

鍼治療は、線維筋痛症の痛みに対する補助的な選択肢として検討されます。

EULARの推奨でも選択肢に含まれていますが、推奨の強さは限定的で、すべての患者さんへの効果が確立しているわけではありません。

当院では、線維筋痛症と診断されていても、筋肉・筋膜を評価して施術対象を検討する考え方はMPSと共通しています。

普段の症状に関係する部位を探し、患者さんの反応に合わせて鍼刺激を調整します。

筋肉・筋膜への鍼治療によって、線維筋痛症のすべての症状を説明したり、解消したりするという方針ではありません。

病院での治療を続けながら、痛みの軽減に向けて追加できる方法として適応を検討します。

【関連記事:トリガーポイント鍼治療とは?狙う部位・評価・一般的な鍼との違い】

6-3.鍼の刺激に対する反応には大きな個人差がある

当院では、線維筋痛症と診断された患者さんでも、鍼刺激への反応が両極端に分かれるケースを経験しています。

わずかな刺激にも強い痛みを感じ、鍼治療を受け入れられない方がいる一方、強い刺激にも耐えられる方がいます。

そのため、「線維筋痛症だから刺激に弱い」「MPSだから強い刺激が必要」と診断名で決めません。

確認するのは、刺激に耐えられるかだけでなく、施術中の苦痛や施術後の症状を含め、その刺激が患者さんにとって適切かどうかです。

強い刺激に耐えられること自体が、治療効果の高さを示すわけではありません。

痛みに過敏で鍼が大きな負担になる場合は、無理に継続せず、医療機関での治療やほかの方法を検討します。

7.なかいし鍼灸院が重視する痛みの評価と治療目標

7.なかいし鍼灸院が重視する痛みの評価と治療目標

7-1.診断名よりも痛みの状態と刺激への反応を重視する

広島市中区のなかいし鍼灸院では、診断名だけで施術部位を固定せず、患者さんごとの症状を確認します。

病院での診断を踏まえたうえで、問診、動作、姿勢、触診、刺激への反応から鍼治療の対象を検討します。

例えば、痛む場所を確認した後、その症状がどの動きで変わるのか、触診すると同じ症状を感じるのかを確認します。

痛む場所と症状に関係する部位が異なる関連痛も考慮します。

重症例では、痛みが広範囲にあり、どの部位も同じように痛むため、症状の再現を手掛かりにした評価が難しくなります。

その場合も、評価できていない部分を残したまま「ここが原因です」と断定することはしません。

7-2.超音波エコーで筋肉・筋膜を確認する

当院では、線維筋痛症と診断された患者さんにも超音波エコーを使用します。

筋肉・筋膜を含むファシアや周囲組織を確認し、施術部位の評価に活用します。

ファシアは、筋肉を包む筋膜だけでなく、周囲の組織をつなぐ結合組織を含む言葉です。

エコー画像は、触診だけでは分かりにくい組織の位置関係を確認し、患者さんと情報を共有する際にも使用します。

エコーは、MPSと線維筋痛症を区別するための検査として用いているわけではありません。

当院の臨床経験では、両者を区別できる特徴的なエコー所見は確認していません。

画像だけで痛みの原因を決めず、患者さんの症状や触診時の反応と合わせて判断します。

7-3.重症例では痛みを少しでも軽減することを目標にする

重症MPSや線維筋痛症では、まず目の前の痛みを少しでも和らげることを目標にします。

最初から痛みをゼロにすることだけを目指すのではなく、患者さんが現実的に達成できそうな目標を一緒に考えます。

例えば、「痛みの強さが少し弱くなる」「日常生活の負担が軽くなる」といった変化です。

患者さんが何を最も困っているのかによって、目標は変わります。

1回ごとの変化だけで結論を出すのではなく、治療経過を通して目標に近づいているかを確認します。

同時に、改善が乏しい場合は治療の負担と経過を見直し、痛みが急速に広がる場合は医療機関での再評価につなげます。

継続すること自体ではなく、患者さんにとって意味のある変化が得られているかを確認することが大切です。

【関連記事:筋膜性疼痛症候群は完治する?回復期間と通院・改善の目安】

8.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の違いに関するよくある質問

8.筋膜性疼痛症候群と線維筋痛症の違いに関するよくある質問

8-1.MPSが悪化すると線維筋痛症になりますか?

MPSが悪化すると必ず線維筋痛症になる、という進行経過は確立していません。

症状には重なる部分がありますが、痛みが広がったことだけで、別の疾患へ移行したとは判断できません。

痛みの分布や全身症状が変化した場合は、その経過を医師に伝え、再評価を受けてください。

8-2.全身が痛い場合は線維筋痛症でしょうか?

全身の痛みは線維筋痛症の特徴ですが、それだけで診断は確定しません。

痛みの持続期間、疲労、睡眠の問題などを含めて評価し、ほかの病気についても検討します。

すでに診断を受けている方も、これまでと違う痛みが出た場合は、担当医に変化を伝えてください。

8-3.線維筋痛症とMPSは同時に起こりますか?

併存する可能性があります。

線維筋痛症という診断名は、ほかの疼痛疾患の存在を否定するものではありません。

局所的な痛みについて、別の要因を評価する必要があるかは、症状と診察所見から判断します。

8-4.線維筋痛症でもトリガーポイントはありますか?

線維筋痛症の患者さんにも、局所的な筋・筋膜の痛みが存在することはあります。

押して痛い場所があるだけで、トリガーポイントと決めることはできません。

当院では、広範囲に痛覚過敏がある場合、普段の症状を再現する部位を明確に絞り込むことが難しいと感じています。

8-5.線維筋痛症でも鍼治療を受けられますか?

鍼治療を検討できる場合はあります。

当院では、刺激への過敏さや施術後の反応、身体の状態を確認して適応を判断します。

鍼が強い苦痛になる場合は、我慢して続けず、ほかの治療方法を検討します。

8-6.線維筋痛症の圧痛点は現在も診断基準に使われますか?

1990年の分類基準では、指定された18か所中11か所以上の圧痛が条件に含まれていました。

2016年改訂診断基準では、この圧痛点数は必須条件ではありません。

圧痛点の数だけで、ご自身の診断を肯定したり否定したりしないでください。

8-7.病院で線維筋痛症と診断された場合、MPSの検査も必要ですか?

すべての方に、一律に追加の検査が必要というわけではありません。

MPSには、1つの検査で確定できる方法がなく、問診や診察所見を組み合わせて評価します。

局所的な痛みや特定の動作で悪化する痛みがある場合は、まず担当医にその特徴を伝えてください。

当院では、筋肉・筋膜への評価が鍼治療の対象選びに役立つかを、症状に応じて確認します。

9.まとめ

MPSと線維筋痛症には、痛みの典型的な分布や全身症状、診断の進め方に違いがあります。

一方、当院が経験する重症MPSでは痛みが広範囲に及び、症状だけで両者を区別することが難しいケースがあります。

医学的な診断を受けることと、個々の痛みに対して施術対象を評価することは、分けて考える必要があります。

広範囲の痛みが続く方は、医療機関での評価・治療を継続し、痛みの広がり方や全身症状の変化を担当医に伝えてください。

そのうえで筋肉・筋膜への鍼治療を検討する場合は、診断名だけでなく、実際の痛みと刺激への反応から適応を確認することが大切です。

なかいし鍼灸院では、重症例ほど現実的な目標を設定し、少しでも痛みや生活の負担を軽減できるかを確認しながら対応しています。

LINEでのご相談

線維筋痛症や筋膜性疼痛症候群と診断され、痛みが長期間続いている方へ。

広島市中区のなかいし鍼灸院では、診断名だけで施術方針を決めず、痛みの状態や刺激への反応を確認しながら、鍼治療の適応を検討しています。

病院での治療を続けていても局所的な痛みが残る方や、ご自身の症状が鍼治療の対象になるか判断に迷う方は、LINEからご相談ください。

これまでの診断や治療内容、現在困っている症状をお知らせください。

参考文献

1.Steenら.Myofascial Pain Syndrome: An Update on Clinical Characteristics, Etiopathogenesis, Diagnosis, and Treatment.Muscle & Nerve.2025;71(5):889–910.

https://doi.org/10.1002/mus.28377

2.Wolfe F, et al. 2016 Revisions to the 2010/2011 fibromyalgia diagnostic criteria. Semin Arthritis Rheum. 2016;46(3):319–329.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27916278/

3.Wolfe F, et al. The American College of Rheumatology 1990 Criteria for the Classification of Fibromyalgia. Arthritis Rheum. 1990;33(2):160–172.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2306288/

4.筋膜性疼痛症候群(MPS)研究会.診断基準.

https://www.jmps.jp/medical/diagnosis

5.Macfarlane GJ, et al. EULAR revised recommendations for the management of fibromyalgia. Ann Rheum Dis. 2017;76(2):318–328.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27377815/

6.EULAR.線維筋痛症の治療推奨に関する患者向け資料.

https://www.eular.org/document/download/251/cfc1fc15-1cab-4262-b7f8-4d50cb60be84/267

7.日本大学医学部附属板橋病院.筋・筋膜性痛症候群.

https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/search/term/91

8.NCBI Bookshelf.Fibromyalgia.Endotext.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK279092/

運営者情報

運営者情報
会社名 株式会社HARI51「なかいし鍼灸院」
代表者 代表取締役・院長 中石真人
経歴 高陽東高校→明治鍼灸大学→朝日医療専門学校

トリガーポイント・ファシアリリース専門鍼灸院として、症状の改善はもちろん、自分の健康を自分の力でコントロールできる人を一人でも多く増やすことを理念に掲げ、日々施術にあたっている。

資格 鍼灸師・柔道整復師
創業 平成24年9月3日
所在地 広島市中区上八丁堀4-28松田ハイツ702
電話 050-1255-9166

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