鼠径部の痛み(下)

鼠径部の痛みに対するトリガーポイント療法

トリガーポイントとは?

トリガーポイントとは

トリガーポイントとは、「痛みの引き金になる点」という意味です。

銃の引き金を引くと弾が遠くに飛んでいくのと同じように、トリガーポイントが引き金になり遠くの場所に痛みを飛ばします。

その遠くの場所に感じる痛みを「関連痛」といいます。

トリガーポイントと関連痛

痛みの発生場所、つまり「痛みの原因」がトリガーポイントであり、痛みを感じる場所、つまり「症状」が関連痛です。

痛い場所と痛みの原因が一致しないということです。

鼠径部の痛みでは、痛みを感じている場所が関連痛であり、トリガーポイントは他の場所にあります。

鼠径部の痛みのトリガーポイント

鼠径部の痛みのトリガーポイント

(✖:トリガーポイント 赤:関連痛)

トリガーポイントで赤く記されている場所が実際に痛みや凝りを感じている場所になります。

この筋肉は、腰の一番奥から鼠径部を通って大腿骨に付きます。

太ももを上げる働きがあり、この筋肉にトリガーポイントができると、歩く動作で痛みが現れます。

腰の筋肉でもあるため、鼠径部の痛みだけでなく、腰が痛くなる方は、このトリガーポイントが関係しています。

鼠径部の痛みのトリガーポイント

(✖:トリガーポイント 赤:関連痛)

また膝を伸ばす動きをするこの筋肉にもトリガーポイントができることがあります。

この図では、痛みが膝周りに出ていますが、鼠径部に出ることもよくあります。

スポーツ選手やヨガなど運動をする習慣のある方にできやすいトリガーポイントです。

鼠径部の痛みは、腰や内転筋など他の部位が原因のこともありますので、痛みの出る動きを確認して施術していきます。

トリガーポイントをエコーで確認

当院では、トリガーポイントを今までの経験則から探し出すだけではなく、超音波エコーを使って実際に目視することで、確実に痛みの場所を特定します。

近年の研究により、トリガーポイントは、筋膜、腱や靭帯など軟部組織(ファシア)にできることが解明されました。

鼠径部の痛みの場合は、筋膜にトリガーポイントができます。

筋膜の癒着

横に伸びる白い線が筋膜です。

右の方はその筋膜が白く太く写っています。

白く太く写る部分は、筋膜の癒着が起こっており、この部分がトリガーポイントです。

エコーで観察すると、トリガーポイント=筋膜の癒着であることがわかります。

筋膜とは?

筋膜とは、筋肉を包んでいる膜のことで、筋肉の中まで入り込んでいます。

筋膜はボディスーツのように全身に張りめぐらされていて、「第二の骨格」ともいわれる重要なものです。

筋膜は、外からの力を抵抗なく受け止めて形を変えることができます。

例えば、イスに座ったときのお尻の変形や猫背状態、肥満となり脂肪が増えたときなど、その体の状態に合わせて形を変えることができる立派な膜です。

また、強く引っ張られたときには、その力に耐えることもできます。

それは、筋膜がコラーゲンとエラスチンでできていて、弾力性に富んでいるからです。

コラーゲンとエラスチンがお互いに協力して、体の緊張をコントロールしているということです。

なぜトリガーポイント(筋膜の癒着)ができる?

悪い姿勢や繰り返し動作を長く続けると、体の一部分に負担がかかり、筋膜が自由に伸び縮みできなくなってしまいます。

自分の皮膚を手で摘まむと、しわができると思います。

このしわの状態が、よじれてしまった筋膜にも起こります。

これを筋膜の癒着といいます。(健康体でも筋膜の癒着はあります。)

筋膜の癒着状態が続くと、包まれている筋肉の動きも悪くなり、痛みが現れます。

トリガーポイントができあがった状態です。

トリガーポイント鍼療法は筋膜に直接アプローチできる

当院は、広島鍼灸業界で初めての導入となる、超音波エコーを用いて、筋肉や筋膜の状態、トリガーポイントの位置を確認し確実な施術を行っております。

最も悪くなっている部分に鍼を当てることで、筋膜の癒着が少しずつ取れていき、筋肉の柔軟性が良くなって、痛みや凝りが解消します。

  1. トリガーポイント、筋膜、凝りの見える化によって、確実に施術できる。
  2. 炎症の有無により、鍼の適応不適応の判断ができる。
  3. トリガーポイントに鍼を当てることで、痛みを共有することができる。

なかいし鍼灸院