自律神経失調症に対するトリガーポイント療法
トリガーポイントとは?

トリガーポイントとは、「痛みの引き金になる点」という意味です。
銃の引き金を引くと弾が遠くに飛んでいくのと同じように、トリガーポイントが引き金になり遠くの場所に痛みを飛ばします。
その遠くの場所に感じる痛みを「関連痛」といいます。
自律神経失調症と痛みは、関係ないように感じますが、トリガーポイントへの刺激が交感神経の緊張状態を抑え、副交感神経の働きを良くすることがわかっています。
当初のトリガーポイント療法は、痛みの治療を目的として行われていましたが、治療した患者さんの多くが内科的な機能の改善を訴え始めた。
トリガーポイントに鍼をすると、鼻づまり、唾液や涙の分泌、腸運動の亢進、排尿の亢進など副交感神経性の自律神経反射が起こることが判明した。
つまり、トリガーポイント鍼療法により、副交感神経の活動が強くなり、交感神経の活動が弱まるということである。
補足
30歳を過ぎると、誰でも副交感神経の活動が低下して、病気の回復が遅くなるだけでなく、免疫(リンパ)系の活動も低下して、様々な病気にかかりやすくなる。
定期的なトリガーポイント鍼療法で、自律神経機能を維持できれば、免疫系やリンパ系の活性を落とさずにすみ、病気にかかりにくく、もしかかっても治りやすい体力維持が可能になる。(東洋医学的には自然治癒力の向上)
参考文献:臨床家のためのトリガーポイントアプローチ
自律神経症状にトリガーポイント鍼療法が効果的な理由をおわかりいただけましたか?
なかいし鍼灸院では、症状に応じたトリガーポイントを探していきますが、その中でも首から背中にかけてのトリガーポイントを治療していきます。
トリガーポイントと関連痛
痛みの発生場所、つまり「痛みの原因」がトリガーポイントであり、痛みを感じる場所、つまり「症状」が関連痛です。
トリガーポイントを刺激すると、ズシーンと重く感じることがあります。
これが関連痛というものです。
この感覚が出た方が自律神経に作用しやすいです。
自律神経失調症のトリガーポイント
自律神経失調症の症状は様々なので、その症状に合ったトリガーポイントを探して施術していきます。
その中でも、めまいや耳の症状、動悸や冷や汗など、上半身に現れる症状に対しては、首こりの施術をします。
首こりの原因となるトリガーポイントをご紹介します。

(✖:トリガーポイント 赤:関連痛)
✖がトリガーポイントで赤く記されているところが実際に痛みや凝りを感じている場所になります。
これは、頭半棘筋という首筋にある筋肉で後頭部にかけて付いています。
この筋肉にトリガーポイントができると、後頭部やこめかみに症状が現れます。
つまり、首こりによる頭痛ということです。

(✖:トリガーポイント 赤:関連痛)
首の横にある胸鎖乳突筋のトリガーポイントです。
胸鎖乳突筋は、鎖骨から耳の後ろに付いていて、耳や目の症状に関係するトリガーポイントができやすい筋肉です。
めまい、耳鳴り、耳の閉塞感、頭痛などに関係します。

首こりにより、手のしびれやだるさが現れることもあります。
首の筋肉は後ろだけではありません。
横から前にかけても首の筋肉です。
首の前の筋肉にトリガーポイントができると、首や胸の圧迫感やしびれが現れやすくなります。
トリガーポイントの正体をエコーで確認
当院では、トリガーポイントを今までの経験則から探し出すだけではなく、超音波エコーを使って実際に目視することで、確実に凝りの場所を特定しています。
近年の研究により、トリガーポイントは、筋膜、腱や靭帯など軟部組織(ファシア)にできることが解明されました。
自律神経失調症の場合は、筋膜にトリガーポイントができます。
筋膜は、全身を包むタイツのようなもので、筋膜に異常(筋膜が縮こまる)が起こると、全身を締め付けてしまいます。
すると、筋肉が緊張し、交感神経の活動が強くなり過ぎる状態が続きます。
気持ちは休もうと思っても体の緊張が抜けないため、自律神経が乱れる原因となります。

横に伸びる白い線が筋膜です。
その筋膜を全体的に見て、より白く濃く写る部分は、筋膜の癒着が起こっていることを意味します。
つまり、トリガーポイントとは筋膜の癒着です。
筋膜の癒着=トリガーポイントを解消することで、自律神経の活動を正常に戻すことができます。
筋膜とは?
筋膜とは、筋肉を包んでいる膜のことで、筋肉の中まで入り込んでいます。
筋膜はボディスーツのように全身に張りめぐらされていて、「第二の骨格」ともいわれる重要なものです。
筋膜は、外からの力を抵抗なく受け止めて形を変えることができます。
例えば、イスに座ったときのお尻の変形や猫背状態、肥満となり脂肪が増えたときなど、その体の状態に合わせて形を変えることができる立派な膜です。
また、強く引っ張られたときには、その力に耐えることもできます。
それは、筋膜がコラーゲンとエラスチンでできていて、弾力性に富んでいるからです。
コラーゲンとエラスチンがお互いに協力して、体の緊張をコントロールしているということです。
なぜトリガーポイント(筋膜の癒着)ができるのか?
悪い姿勢や繰り返し動作を長く続けると、体の一部分に負担がかかり、筋膜が自由に伸び縮みできなくなってしまいます。
自分の皮膚を手で摘まむと、しわができると思います。
このしわの状態が、よじれてしまった筋膜にも起こります。
これを筋膜の癒着といいます。(健康体でも筋膜の癒着はあります。)
筋膜の癒着状態が続くと、包まれている筋肉の動きも悪くなり、凝りや痛み、しびれが現れます。
トリガーポイントができあがった状態です。
トリガーポイント鍼療法は筋膜に直接アプローチできる
なかいし鍼灸院の鍼治療は、トリガーポイント(筋膜の癒着)に直接アプローチできます。
最も悪くなっている部分に鍼を当てることで、筋膜の癒着が少しずつ取れていき、筋肉の柔軟性が良くなって、自律神経の乱れ、痛みや凝りが解消します。
- トリガーポイント、筋膜、凝りの見える化によって、確実に施術できる。
- 炎症の有無により、鍼の適応不適応の判断ができる。
- トリガーポイントに鍼を当てることで、痛みを共有することができる。
お電話ありがとうございます、
なかいし鍼灸院でございます。